柳美里の今日のできごと

福島県南相馬市小高区で、
「フルハウス」「Rain Theatre」を営む
小説家・柳美里の動揺する確信の日々

悲しい夢

2016年10月28日 09時53分14秒 | 日記
夢の話。

16年間話していない妹と普通に話している。

母が、川崎のユザワヤで買った花柄の布で姉妹お揃いのドレスを作ってくれたらしく、さっそく袖を通し、二人で親類縁者が集まるパーティーに出掛ける。

わたしも妹も10代で(妹は3歳下)音楽に合わせてくるくるくるくる踊る。

気がつくと、横浜のゴミだらけの家の中で、洗濯物やら毛布やらにくるまって、犬の仔みたいに眠っていた。

ここで、東由多加の死を知らされ、わたしは号泣する。

母には、夕飯前に出掛けるなんておかしい、と止められるが、洗濯物の山の中から黒っぽい服を探し出して、急いで身に付け、素足に黒いパンプスを履いて外に飛び出す。

坂道を降りる。
たぶん、東京麻布の飯倉片町の辺り。
むかし、わたしが東京キッドブラザースの研究生だったとき、この辺りに「ラフォーレミュージアム飯倉」という劇場があって、キッドは公演をしたことがあるな、と記憶を辿りながら歩く。
いつの間にか、わたしの周りは喪服姿のひとでいっぱいで、顔を見ると、みな、東京キッドブラザースのかつての劇団員や研究生やスタッフのひとたち。

横断歩道を渡ろうとしたら、信号が赤に変わって、隣に立っているひとを見ると、キッドの制作をしながら舞台にも立っていた北村易子さんだった。

北村さんは、黒いヴェールの付いた帽子をかぶっている。

「北村さん、行くんですか?」とわたしは訊ねる。

「偲ぶ会だから、一応顔を出すだけ。歌ったりおしゃべりする気分には、とてもなれないから」北村さんはわたしの方を見ずに言うと、パンプスのヒールをコツコツ響かせて早足で歩き出す。

そうか、みんなが向かっているのは、お通夜や告別式ではなくて、東由多加を偲ぶ会なんだ、だとしたら、遺体はもう火葬されてしまったのかーー、と思ったら、両膝が震えて、喉が締め付けられて、前に一歩も進めなくなって、蹲った。

目覚める。

吐き気がする。

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