睡眠薬をのんだのに、一睡もできなかった。
明るくなると、ウォォン、ウォォンみたいな悪声でわたしを起こしにくる由紀夫の声が、今日はしない。
由紀夫は、もう二度と鳴かない、と思ったら、また涙があふれてきた。
何故か、3匹の猫たちも、由紀夫の亡骸を寝かせている1階には降りて来ない。
いつもは、階段を頻繁に上がり下りするのに。
そして、誰も鳴かない。
家の中が静けさに耐えられず、
イアホンでスキータ・デイヴィスの「The End of the World」を聴く。
そもそも心身のバランスを崩していた上に、由紀夫の死……
自分を支えられない感じだ。