くりぃーむソ~ダ

気まぐれな日記だよ。

狼おとこ(4)

2022-02-12 19:18:46 | 「狼おとこ」
「あの話って」と、アリエナが考えるように言った。
 ダイアナの部屋にいる二人は、鍛冶屋で槌を振るっているトン、テンという音を耳にしながら、並んで窓の外を見ていた。ベッドの上には、作りかけのパッチワークが、無造作に置かれていた。
「異端審問官が来るんだって。あんたんとこに泊まってた詩人が、そう言ってたらしいわよ」
「わたし、知らない」と、アリエナは首を振った。「異端って、魔女とかのこと――」
「そう。よく神父様がお説教で言ってるじゃない。悪さをする魔女のこと」
「この町にもいるのかしら」
「さあね――」と、ダイアナが不意に窓から目を離して、アリエナにあそこを見て、と指を差した。
「え、なに」
 ダイアナが指を差したのは、こちらに歩いてくる女の人だった。その人は、男物のズボンを履き、たっぷりとした、これも男物のシャツを着ていた。髪はろくに手入れもしていないらしく、ぼさぼさで、ただ後ろでひとまとめに束ねているだけだった。歩調に合わせて左袖がぶらぶら遊ぶのは、よく見ると、彼女の左腕が肘の先からなくなっているからだった。
「オモラさんじゃない」と、アリエナは言った。
「そう」と言って、ダイアナは急に小声になった。
「まだわたし達が生まれる前だけど、その時にも一度、この町に異端審問官が来たらしいの。
 ほらあそこ、今は井戸になってるけど、その昔はあそこに処刑台があったらしいわ。審問官達が裁判で有罪になった魔女を、その処刑台で火あぶりにしたんだって――」
「じゃ、やっぱりこの町にも――」
「ちょっと待って、あわてんぼうね。それはうんと昔の話し。
 わたし達がまだ生まれる前――そう、わたしの父さん達がまだ子供の頃の時代ね――異端審問官が来て、異端者狩りをやったんですって。
 その頃は、まだ古い占いなんかが残っていて、子供達も『お告げ遊び』とかいうやつで、よくみんなと遊んでたらしいわ。でね、それが審問官に見つかって、こんな破壊的なことを子供に教えるのは魔女しかいないって、町中の女達に試練を課したんですって。
 そこからは、わたしもよくは知らないんだけど、どうも手を後ろで縛って、沼に突き落としたらしいわ」
「え、そんなことしたら、死んじゃうじゃない」と、アリアナは驚いて聞き返した。
「そう。でも、もしも浮かび上がったりしたら、それこそ有罪を宣告されて、火あぶりにされちゃったのよ」
 アリエナはごくりと生唾を飲んだ。
「でね、あの人のことだけど」と言って、ダイアナは窓の外をのぞいたが、オモラの姿は階下の鍛冶屋に入って、見えなかった。
「あの人のことだけど、その魔女狩りの最中、もうひとつの事件があったの」
「もうひとつの事件?」
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よもよも

2022-02-12 06:11:32 | Weblog
やれほれ。

そう言えば変だと思うんだけど、

どうしてコンビニのコーヒーは冷やしていてもにコーヒーで、

元々冷やしてるコーヒーが売ってるのに、

アイスコーヒーが売ってるの??

ろくに調べたわけじゃないけど、

飲み比べると確かに味が違うんだよね。。

冷えたコーヒーは濃いんだけれど、

アイスコーヒーは飲み口がいいんだわ。。

ま、好みで買い分ければいいんだろうね・・・?
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