くりぃーむソ~ダ

気まぐれな日記だよ。

狼おとこ(2)

2022-02-10 22:07:13 | 「狼おとこ」
「離せ! 町の働き盛りが戦争に行っているからって、あんな無責任なやつにわし達の運命をまかせてたまるものか」
 離せ、懲らしめてやる、と叫び暴れるじいさんを横目に、町長が手首を押さえながら立ち上がった。
「大丈夫ですか、ケントさん」と、鍛冶屋で見習いをしているバードが訊いた。
「ああ、ほんの打撲だよ。ちょっと手首が痺れたがね――」
 こりゃ話になんねぇな、と誰かがつぶやいた。ぜいぜいと息を切らせたフランクじいさんは、両腕を取られながら連れて行かれた。
 集まっていた男達もそれぞれに別れ、最後に残ったバードも、ちょこんとお辞儀をして走り去った。
「無責任なやつか」と、ケントは困ったようにつぶやくと、宿屋のドアを開けた。
 その時、

「すみません」

 と、か細い声が聞こえた。
 なんだろうと振り返ると、みすぼらしい身なりの少年が立っていた。
「なにか用かね」と、ケントは眉をひそめながら訊いた。
「すみません。宿に、泊めてもらえないでしょうか」
「――なぜだね」
「……」
 少年は、色のあせた帽子を取ると、胸の前でもどかしそうに握りながら、自信なさげに目をきょろきょろさせていた。
「きみのほかに、誰かいるのかね」と、ケントは言った。
「いいえ、ぼく一人だけです」
 少年の声は弱々しく、最後の部分はよく聞こえなかった。帽子を持つ手はかすかに震え、怯えの色がありありと見えていた。
「泊めるわけにはいかん。うちは、まっとうな宿屋なんでね」と、ケントは首を振った。

「お金なら、持ってます――」

 閉まりかかったドアを必死でつかみながら、少年は食い下がるように言った。
 再びドアを開けたケントは、驚いたような目で見上げる少年を、力まかせに突き飛ばした。
 ごろりと後ろへ仰向けに倒れた少年の姿を、ケントは勢いよく閉めたドアで断ち切り、終わりまで見届けることをしなかった。
 開店前で、がらんとした食堂兼酒場のカウンターに腰をおろすと、ケントは思い出したようにまた立ち上がり、水を一杯ぐびりと飲み干した。
 はぁ――と、ケントは満足のいった息をつくと、先ほど突き飛ばした少年のことが気にかかった。年の頃なら、娘と同じくらいか。と、そんなことを考えた。

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よもよも

2022-02-10 06:23:34 | Weblog
やれほれ。

首都圏まで大雪になる? かもって

ちょっとした警戒に入ってるけど、

さすがに2月にもなると氷点下の気温が

ふた桁からひと桁になってきて、

そろそろ雪が溶け出すかなって、地味に期待してきた。。

まだまだ感染者数も突き抜け続けて、

なんか底が見えないんで、

またぞろ北海道20日の蔓延防止が延長するかもしれないわ・・・。

でもさ、一時期下火になってきた時はある程度日常が戻ったけど、

テレワークだの出勤回避だの、

感染うんぬんじゃなくっても続けりゃいいのに・・・。

やったりやんなかったりで、面倒なんだよなぁ。。
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