シニア花井の韓国余話

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無知な保守、革新なき保守【コラム】        

2014年10月27日 16時34分29秒 | Weblog
韓国大手新聞  朝鮮日報14年10月26日記事抜粋
 保守系知識人の一人、李相敦(イ・サンドン)中央大学名誉教授が「勉強する保守-危機の保守、本で道を問う」という書評集を出した。李会昌(イ・フェチャン)大統領候補の政務特別補佐官、与党セヌリ党の政治刷新特別委員会委員などを務め政治に携わったものの、「ポリフェッサー(政治参加する教授)」と批判され自ら大学を去った李相敦氏。「合理的で知的な背景を持つ保守政権が韓国にも登場するよう祈っているが、今は進むべき道をなくした心情だ」と吐露した。
 韓国の保守政権は哲学やビジョンがなく、そうした面で無知だという李相敦氏の指摘は共感できる。国や社会の中長期的な方針をめぐり、党内で激論が繰り広げられる米国の共和党や英国の保守党とは違い、韓国のセヌリ党が権力構造や選挙公認方式など自分たちの利害関係がかかっていない根本的な問題をめぐって深く議論したという話は聞いたことがない。セヌリ党内には次期大統領選の有力候補とされている政治家の派閥があるだけで、欧米の保守政党のように政治的スペクトルに基づいて競争する複数の政治グループは見当たらない。昨年9月に金武星(キム・ムソン)現党代表が主導した「近現代史教室」には100人を超える現役議員が参加したが、先日取りざたされた韓国史教科書国定化問題一つとっても、国家的課題であるにもかかわらずセヌリ党がこれに真正面から取り組んだという話は聞こえてこない。
 「無知な保守」よりも深刻なのは「革新なき保守」だ。金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)歴代大統領の「進歩政権」が10年間続いた時代は、まだ政権奪還を目標とする保守革新の動きがあった。ソウル大学のパク・セイル教授が率いる韓半島(朝鮮半島)先進化財団を中心に「先進化論」がまとめられ、進歩左派から転向した保守活動家が現場で活動する「ニューライト運動」が活気を吹き込んだ。ところが、いざ保守政権が立つと、むしろ保守革新は急激に動力を失っていった。先進化されないまま先進化論は立ち消えとなり、ニューライト運動は名望家数人を上位職に据えて以降は影を潜めている。少し前にセヌリ党で立ち上げられた「保守革新委員会」は飾りとして「革新」の前に「保守」を付けただけで、イメージアップ以上の真の保守革新には関心がなさそうだ。保守系知識人集団も国政運営から排除され、保守政権にプレッシャーを掛けたり引っ張っていきながら方向性を示すという役割は全くできずにいる。
 「革新なき保守」を支えているのは、彼らと闘うべき進歩左派の衰えだ。大統領選挙で2度も敗北した新政治民主連合は理念と政策を捨て、臥薪嘗胆(がしんしょうたん)の日々を送るのではなく、暇さえあれば街に飛び出して形勢逆転のチャンスをうかがうという安易な道を選んだ。進歩左派の知識人たちも研究室やシンクタンクで研究に取り組むのではなく、簡易投稿サイト「ツイッター」でツイート(書き込み)することに夢中になっている。彼らは自力による政権奪還を事実上放棄しているため、その悪影響は保守右派にも及んでいる。
 韓国の保守は支離滅裂な進歩派のおかげで、再び政権に就く可能性が高いと思われる。そうして政権の重要ポストを分け合い、執権勢力から与えられるうまみを吸い続けることだろう。だが、無知で革新を怠る保守政権が国を先進国に導けるとは思えない。現在のこの国の保守勢力は、自分たちが将来、歴史の中でどのように評価されるのか考えたことがあるのだろうか。
世論読者部=李先敏(イ・ソンミン)部長





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