シニア花井の韓国余話

韓国交流50年の会社経営を引退しソウル定住の日本人が写真とともに韓国の案内をします。

所得がなくなると健康保険料が2倍に!?

2012年01月31日 14時45分43秒 | Weblog
  (韓国大手新聞、朝鮮日報 12.1.29記事抜粋)
福祉問題専門記者による深層リポート
ずさんな健康保険料賦課
 昨年9月に会社を退職し、現在は失業状態にあるソウル市西大門区在住のKさん(51)は、27万4890ウォン(約1万8200円)と記載された地域健康保険料の支払い請求書を見て驚いた。職場にいた時は毎月12万ウォン(約8000円)、給料の5.64%が健康保険料として差し引かれていたが、退職後はマンションや自家用車を所有しているという理由で、毎月の保険料が2倍以上に跳ね上がったのだ。Kさんは「失業して所得が全くない場合は、仕事がある時よりも保険料を減額すべきではないか」と怒りをあらわにした。
 このようなことが起こるのは、サラリーマンの健康保険料率と、自営業者など地域健康保険の保険料率との計算方法が異なるからだ。サラリーマンは毎月の給与に一定の保険料率を掛けて保険料が決まる。しかし地域健康保険の場合は所得を正確に把握できないため、所得と資産(不動産や自家用車など)を基に計算される。2005年からは計算の基準となる不動産価格を実際の取引価格にすることが取り決められ、それに伴って地域健康保険料も引き上げられることになった。だが、政府はこの計算方法について対策や見直しを一度も行っていない。
 こうした不合理な健康保険料算定制度のため、サラリーマンと地域加入者の双方が不満を募らせている。とりわけベビーブーム世代の多くが退職の時期を迎えている中で、彼らが抱く不満は保険料の滞納につながっている。
■退職者にとって自営業の子どもは親不孝者
 昨年8月に会社を退職したLさん(58)は、サラリーマン時代に毎月20万ウォン(約1万3300円)ずつ納めてきた健康保険料を、今は一切支払う必要がない。息子がサラリーマンのため、その被扶養者に入っているからだ。ただしこれは資産が9億ウォン(約6000万円)以下、金融所得が4000万ウォン(約265万円)以下の場合に限り適用される。一方、退職者の子どもがサラリーマンでない場合は事情が異なる。Kさん(59)は現在、地域健康保険に毎月18万ウォン(約1万1900円)を支払っているが、これはサラリーマン時代の11万ウォン(約7300円)を大きく上回っている。Kさんは「子どもがサラリーマンかどうかで保険料が大きく異なるのはおかしい」と不満げに語った。
 被扶養者かどうかを判断する金融所得(銀行などからの受取利息や株の配当など)の基準が4000万ウォンとなっているのも納得し難い。例えば銀行に9億5000万ウォン(約6300万円)を預けている場合、利息が3800万ウォン(約252万円)となるため、(被扶養者になれば)保険料は払わなくても良い。しかし10億ウォン(約6630万円)を預けている場合は利息が4005万ウォン(約266万円)となるため(被扶養者にはなれず)、毎月19万ウォン(約1万2600円)の健康保険料を支払わねばならない。
 被扶養者制度は、健康保険料を納める加入者の両親、子ども、兄弟姉妹であれば、保険料を支払わなくても良いという制度だ。しかしこれはサラリーマンだけに適用され、地域健康保険にこの制度はない。1977年までは、サラリーマンの家族であっても被扶養者になれるのは両親と子どもだけだったが、現在はこの範囲が兄弟姉妹にまで拡大された。そのため、多い場合は1人のサラリーマンが12人の被扶養者を持つケースもある。政府は健康保険を統合する際、地域との公平性を考慮し、被扶養者制度に手を加える必要があることを認識していたが、サラリーマンの反発を恐れ、これまで放置してきた。
■年収500万ウォン以上は高所得者
 住宅の内装などを手掛けるKさんは、事業による所得がここ数年は401万ウォン(約26万5800円)ほどだったが、昨年から521万ウォン(約34万5400円)に増えた。それに伴いKさんが納める健康保険料は昨年11月まで2万3000ウォン(約1530円)だったのが、今では6万2000ウォン(約4110円)へと一気に増えた。所得が30%増えたのに対し、保険料が3倍近くも跳ね上がったのだ。
 Kさんは「所得が521万ウォンなら毎月の収入は43万ウォン(約2万8500円)という計算だが、健康保険料が6万2000ウォンになると、収入の13%も支払うことになる」として、保険料の支払いを拒否している。
 このようなことが起こるのは、地域加入者の場合は年収500万ウォン(約33万円)を基準に保険料の計算方法が異なるからだ。500万ウォン以下の場合、所有する不動産が1億ウォン(約663万円)であれば保険料は1850ウォン(約123円)だが、500万ウォン以上の場合は、同じ不動産を所有していても保険料は7万4000ウォン(約4900円)へと一気に値上がりする。そのため専門家は「高所得と低所得を判断する基準が500万ウォンになっていること自体が問題」と指摘する。
 年収500万ウォン以下の低所得層は、子どもが生まれれば保険料が値上がりする。3年前に結婚したある夫婦は、昨年子どもが生まれたのを機に保険料が1540ウォン(約102円)上がった。この夫婦は「サラリーマンや自営業者は家族が増えても保険料は値上がりしない。なぜ低所得者だけが家族の数によって保険料を余分に支払わねばならないのか」と不満をあらわにした。一方、就職に失敗して両親と暮らしているKさんは、29歳から30歳になった途端に、保険料が9520ウォン(約631円)から1万1560ウォン(約766円)へと2040ウォン(約135円)値上がりした。Kさんは「年齢によって保険料が上がるのは、20代よりも30代の方が収入が多いと考えられているからだが、これはまさしく机上の空論による賦課方式だ」と語る。
■自家用車を所有していれば保険料も追加で賦課
 日雇いで働くSさん(32)は、仕事場に通うため20万ウォン(約1万3300円)の中古車を購入した。すると保険料がこれまでの2万6000ウォン(約1720円)から4万8000ウォン(約3180円)に値上がりした。差額の2万2000ウォン(約1460円)は自家用車を所有しているという理由で賦課された分だ。Sさんは「保険料を1年間払うと車代と同じになる」と不満げに語った。借金をして住宅を購入しても、財産が増えたと見なされ保険料が上がる。Mさんは昨年11月、伝貰(チョンセ=高額の保証金を預ければ、その運用益で家賃負担が不要となる韓国独特の賃貸制度)の保証金相場が高騰したため、(伝貰をあきらめ)1億ウォンを借金してマンションを購入したところ、保険料が一気に上昇した。Mさんは「借金を財産と見なすのは、税法上の常識から考えてもおかしい」と話した。
(投稿者注)
韓国は所得のない人にも、財産の多寡で保険料を算定するが、それは、韓国は国民総背番号制だからだ。不動産、自家用車の購入も全て住民登録番号で確認される。


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