シニア花井の韓国余話

韓国交流50年の会社経営を引退しソウル定住の日本人が写真とともに韓国の案内をします。

【社説】支離滅裂な次期戦闘機事業では領空を守れない

2013年08月21日 11時13分16秒 | Weblog
韓国大手新聞 朝鮮日報13年8月19日記事抜粋
 韓国防衛事業庁は8月18日、韓国史上最大の兵器導入事業である次期戦闘機(FX)事業の価格入札(交渉)で、これまで選定が有力視されていた欧州航空防衛宇宙会社(EADS)のユーロファイターが、入札書類の不備で事実上脱落したことを明らかにした。防衛事業庁はEADSにユーロファイターの単座型(操縦席が一つ)45機、複座型(操縦席が二つ)15機を要求したが、EADSは最終入札の際、書類に複座型を6機しか記載していなかったという。複座型は単座型に比べて高価なことから、防衛事業庁はEADSが価格条件を意図的に変更したと判断したのだ。
 この結果、次期戦闘機候補は米国ボーイング社のF15SEに絞られることになった。当初から有力視されていた米国ロッキード・マーチン社のステルス戦闘機・F35Aは、韓国側が提示していた「60機に8兆3000億ウォン(現在のレートで約7300億円、以下同じ)」という価格条件を上回ったため、最初に脱落していた。
 巨額の政府予算が投入される次期戦闘機事業では、かつてF16とF18のどちらを導入するかで激しい駆け引きが続き、結果的に感情的なしこりが残ってしまったが、今回もそうなる可能性が出てきた。しかも今回は韓国がなぜ最初から8兆3000億ウォンという額を決めて次期戦闘機の導入を目指したのか、その根本理由からして忘れ去られそうな状況になっている。
 次期戦闘機の導入は、核兵器という非対称兵器の導入を目指す北朝鮮に対抗するため、韓国空軍が制空権を確保することが最も大きな理由だったはずだ。現代の戦争で戦闘機がこの使命を果たすには、まずは敵のレーダーに捕捉されないステルス性能が絶対に必要だ。ステルス戦闘機は北朝鮮の防空網を無力化するため、北朝鮮政権に対して大きな圧力となることが期待されている。
 次期戦闘機導入の理由は北朝鮮の脅威だけではない。4-5年後には日本がF35を配備している可能性が高く、また中国とロシアによるステルス機の開発も一層進むだろう。このような状況の中、韓国の次期戦闘機事業でステルス性能を持つ機種が候補から外れた。現実的な脅威と潜在的な脅威の双方に対応するという次期戦闘機事業の根本目的が、結局は見失われてしまう形となったのだ。
 現時点で唯一の候補となったF15SEは、従来のF15の機体の一部に手を加え、新たに塗装を施してステルス性能を持たせる予定とされているが、これでは本来必要とされているステルス機能は非常に限定的なものとならざるを得ない。しかもこの機体は現時点ではまだ実際に存在もしていない。さらには最先端のステルス時代、1970年代に開発された機体を使用することに国民が納得できるかどうかも疑問だ。
韓国の今の財政状況で、次期戦闘機を導入するための予算を上積みするのも簡単なことではない。F35は米国との政府間契約となる対外有償軍事援助(FMS)方式が適用されるため、米国メーカーが韓国の予算に合わせて価格を調整することもできない。一方のユーロファイターとF15SEはステルス機能を確実に持つとは断言しがたい。つまり現時点ではこれといった打開策が見当たらないのが実情だ。このままでは国民の税金を大量に投入しても、空軍力を当初の目標通り強化できなくなる恐れさえ出てきた。今の状況を打開するため韓国政府は、本来の事業目的をあらためて検討し直すことも含め、果敢な決断を下す必要があるのではないか。今のように支離滅裂な状況だけは何としても避けなければならない。





最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。