シニア花井の韓国余話

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【社説】「人材移籍料」構想が浮上する中小企業の苦境

2012年05月28日 19時57分40秒 | Weblog
  韓国大手紙・ 朝鮮日報12年5月26日記事抜粋
韓国雇用労働部(省)のイ・チェピル長官は記者懇談会で「大企業が中小企業の経験者を引き抜く場合、(大企業が)中小企業に移籍料を支払う案を検討している」と述べた。イ長官は「大企業は最近、新入社員の選考よりも経験者の随時採用を行うことが多く、中小企業は人材流出に悩んでいる」と指摘した。プロスポーツ界での移籍料のように、大企業が中小企業の人材をスカウトする場合には、中小企業に一定の補償を行うべきだという構想だ。
 大企業が新規事業に進出したり、既存事業を拡張したりするたびに、中小企業がじっくりと育成した人材が引き抜かれ、論議を呼んでいる。2010年からサムスン電子、LG電子がスマートフォンに関するソフトウエア開発人材を拡充し、中小のITベンチャー企業は人材流出に苦しんでいる。金型、機械、製薬の各業種でも、大企業による人材引き抜きが深刻で、中小企業の反発が相次いでいる。
 中小企業は、中心的な研究人材、設計人材が数人抜けただけで、会社が回らなくなるほどの打撃を受ける。中心的な人材が去れば、技術も同時に流出し、企業の生存も危うくなる。このため、数年前から中小企業界の一部で移籍料の導入を求める声が出始めた。大企業の無差別な人材引き抜きに歯止めをかけるとともに、それでも人材が流出する場合には、中小企業が補償金で新たな人材を育成し、活路を見いだせるようにするのが狙いだ。
 移籍料導入の必要性には理解すべき部分もあるが、検討すべき点も多い。大企業の人材引き抜きと中小企業が自分から大企業に移籍する場合を区別するのは困難だ。中小企業の社員がよりよい待遇を求め、職場を変えることを問題視し、それを阻むことなどできようか。一度中小企業に就職したからといって、ずっと中小企業で働かなければならないわけでは決してない。
 しかし、移籍料構想が検討されるほど中小企業が困難に直面している現実も無視してはならない。人材が必要だからといって、大企業が中小企業の人材を根こそぎ引き抜いて、中小企業が競争力を失えば、大企業の競争力も揺らぐことになる。大企業は中小企業の人材を独占しようとするのではなく、中小企業が優秀な人材を育成し続けられるよう支援する方策をまず探るべきだ。




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