シニア花井の韓国余話

韓国交流50年の会社経営を引退しソウル定住の日本人が写真とともに韓国の案内をします。

世界の投資家たちから過小評価される韓国大企業 

2015年07月26日 20時08分05秒 | Weblog
2014年7月 サムスン電子・現代自動車・SKハイニックス・現代モービス・ポスコ・ネイバー
14年12月 サムスン電子・現代自動車・SKハイニックス・韓国電力公社
15年7月 サムスン電子・韓国電力
 ブルームバーグ通信は、株式の時価総額ベースで毎日全世界の500大企業のランキングを集計する。1年前には500位圏内に韓国企業が6社入っていた。それが徐々にランク外へと去り、7月にはサムスン電子(42位)と韓国電力公社(464社)の2社を残すのみとなった。
 自動車、造船、鉄鋼、石油精製、化学、機械など韓国経済を率いてきた大企業の株式が低迷している。ポスコをはじめ、現代自動車、現代モービス、LG電子、LGディスプレー、大宇造船海洋などの大型株は連日安値を更新中だ。投資家は「韓国を代表する企業の株価が過去の高値水準に比べあまりに下落したため、今が底値だと思い買いを入れるが、株価は底を抜け、地下に潜ってしまう展開だ」と不安に震える。
 韓国投資証券の文星弼(ムン・ソンピル)常務は「韓国を代表する企業は輸出主体の製造業だが、世界的な景気低迷、円安などで輸出が不振となり、企業価値が低下した」と指摘した。
 一方、製薬、バイオ、化粧品などの業種は連日株価が好調だ。ユギョンPSG資産運用のカン・デグォン本部長は「低金利で市中に大量の資金が供給されたものの、買い付けるべき株式がないため、一部の成長が期待される中小型株に資金が集中し、株価が急騰している」と分析。その上で、「低成長の流れの中で成長に対する渇望が強まったことで起きた現象だ」と指摘した。
■銀行株、ロシア、ギリシャより低評価
 「韓国の銀行の株価がロシアやギリシャに及ばないというのは話にならない」(トラストン資産運用のイ・ソンウォン副社長)
 ウリィ銀行、ハナ金融持株、KB金融持株など韓国を代表する銀行株の株価純資産倍率(PBR)は0.52倍だ。PBRは株価と1株当たり純資産を比較した指標で、PBRが1を下回れば、株価が純資産に比べ過小評価されていることを示す。イ副社長は「大手銀行のPBRは直ちに企業を解体し、資産を分配した場合、現在の株価よりも多額の配分が受けられるほど低評価されている。韓国の銀行のPBRはロシア(0.92倍)、ギリシャ(0.55倍)を下回っており、理性的には理解不能だ」と話した。
 ハナ大投証券のハン・ジョンテ研究員は「銀行業の今年の予想PBR(0.5以下)はアジア通貨危機以降で最低水準だ。金融業が大きな衝撃を受けた2008年の世界的な金融危機でも銀行のPBRは0.53倍だった」と指摘した。
 銀行のPBRだけが低迷しているわけではない。金融情報業者、FNガイドによると、株価指数「KOSPI200」の構成銘柄で業績予測が示された178社のうち、1年先の予想PBRが1倍を切った企業が全体の47%に当たる84社もあった。韓国を代表する株価指数であるKOSPI200の構成銘柄の約半分が清算価値以下で取引されていることになる。例えば、ポスコは21日に19万8000ウォンで引けたが、同社株価が20万ウォンを割り込むのは2005年6月(18万3000ウォン)以来のことだ。
 企業価値よりも過小評価された株式を買い、適正評価を受けるまで待つ「バリュー投資家」は、韓国を代表する企業の株価がほぼ底値だと考えて買いを入れたが、株価が一段安となり慌てている。信栄証券のキム・チャンヨン顧客資産運用部長は「韓国の製造業は品質がやや劣っても割安な中国と品質でリードし価格差も縮めている日本に挟まれたサンドイッチ状態だ。競争力強化と構造調整など企業の体質改善が進まなければ、今後の株価上昇は望めない」と述べた。
■製薬・バイオ銘柄に買い
 韓国の主力産業で株価が低迷しているのとは対照的に、製薬、バイオ、化粧品などわずかでも成長可能性が見える業種の株価が日に日に上昇している。
 ある資産運用会社のマネジャーは「最近バイオ企業は赤字でも時価総額が1兆ウォン(約1070億円)に達するケースが相次いでいる。大学教授3人がバイオベンチャーを設立すると言っただけで、すぐに200億ウォンの企業価値が付く状況だ」と語った。まだ会社も設立されておらず、成否も不明なのに「バイオ」という理由だけで巨額の企業価値が認められていることになる。14年まで営業損益が赤字のC社は製薬・バイオ業種という理由だけで、年初来で株価が10倍になった。
 VIP投資諮問のチェ・ジュンチョル代表は「現在韓国の株式市場は少数の銘柄だけが高い収益率を上げているが、残る銘柄は不振で、株価の両極化が進んでいる」と指摘した。
■外国人の割安大型株狙い
 国内機関投資家も株価が低迷する大型株を11兆ウォン(約1兆1800億円)以上売却した。一方、外国人投資家は年初来、有価証券市場(メーンボード)で大型株を8兆7700億ウォン(約9400億円)買い付けた。韓国経済の将来が明るいとは言えないにもかかわらず、買いを入れる理由については、短期的に収益率が低迷しているものの、投機的な投資スタンスで買い付けたのではないかとの見方がある。
 英フィナンシャル・タイムズは最近、サムスン物産と第一毛織の合併を阻止しようとしたエリオット・マネジメントの試みは失敗したが、韓国は企業価値が低すぎ、支配構造は経済協力開発機構(OECD)加盟国で最悪の状況にあるため、ヘッジファンドによる攻撃から決して逃れられない」と報じている。
李敬恩(イ・ギョンウン)記者 , パク・スンヒョク記者
韓国大手新聞 朝鮮日報15年7月26日記事抜粋



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