シニア花井の韓国余話

韓国交流50年の会社経営を引退しソウル定住の日本人が写真とともに韓国の案内をします。

【コラム】韓国は「年寄りの国」になるのか

2012年01月12日 14時19分03秒 | Weblog
(韓国大手新聞、朝鮮日報 12.1.8記事抜粋)
 韓国の人口統計で珍しいことが起った。統計庁は、2005年に「韓国の総人口は2018年から減少する」との見通しを示していた。人口学者たちも「大韓民国はこれにより衰退する」と予言した。不動産景気が後退して、税金を納める若者が減り、経済成長率は底を突くとの暗い見通しだった。しかし、統計庁は1月7日「人口の減少開始時期は2031年で、13年も先送りされた」と発表した。ここ数年で出産率が上昇してきたほか、海外に流出するばかりだった人口が流入に転じ、平均寿命が2.1年延びたことが原因だ、と明らかにした。これは、誰もがホッと胸をなで下ろしたくなるような歴史的な統計だ。しかし、さらに5年後にはどのような統計が出されるかは誰にも分からない。「人口との戦争」が終わったわけではないためだ。韓国が世界有数の低出産国になったのは、自然にもたらされた結果ではない。政府の政策の失敗が生んだ、痛い「人災」だった。1983年7月30日、韓国の人口で4000万人目となる子どもが生まれた。しかし、この子どもの誕生を祝う者は誰一人としていなかった。むしろ「人口爆弾」がもたらす未来について心配したのだ。当時の人口統計を担当した経済企画院は、韓国の人口が2000年には5000万人を突破し、50年には6000万人に達すると発表した。狭い国土に人口だけが増え過ぎて、中には住めなくなる人が出てくるに違いないと予想した。これにより、1960年代初めから施行されていた産児制限政策に、さらに拍車が掛かる結果となった。子どもを3人産めば、医療保険はもちろんのこと、有給休暇も与えないことにした。さらには、ソウル駅などに、時々刻々と増え続ける人口を表示する人口警告時計台が立てられたほか、映画館にはコンドームの自動販売機までが登場した。しかし、これは大失策だった。目先の人口増加だけを心配し、夫婦が2人目を産まないほど出生率(合計特殊出生率)が低下しているという事実には目をつぶった。働き手、税金を納める人が少なくなる未来社会を全く予想していなかったのだ。未来を読む能力があまりに不足していたということだ。官僚たちがわれに返ったのは、それから20年後のことだった。政府は2000年代後半には少子・高齢化対策を打ち出した。しかし、最近になって出生率がやや上向きになってきたことで、少子化対策さえもうやむやになっている。とはいえ、底を打った出生率が上昇したところで、依然として世界最低水準であることには変わりない。低出産の主犯だった経済企画院の後身である企画財政部(省)は、いまだに自分たちの過ちに気付いていない。出生率の低下には特効薬がない。よって百薬を使ってでも、この流れを食い止めなければならない。にもかかわらず、保育施設などに対する予算はあまり増えていない。国公立保育園の定員は、幼児全体のわずか6%にとどまっている。子どもを生まないのは、大都市に住む高学歴の中産層だ。ところが、保育費支援の対象は低所得層に限られていて、少子化対策にはなっておらず、低所得層に対する支援事業に様変りしてしまっている。人口を減らすことは簡単でも、増やすことは難しい。だが、やや出遅れた感はあるものの、大統領府は3―4歳の子どもの保育費を支援するとの方針を打ち出した。所得下位層の70%にだけ与える現在に比べ、年間3000億ウォン(約200億円)の支出が増えるだけだ。にもかかわらず、その資金が後々大変なことになると主張してはさじを投げてきた。若い韓国にするのか、それとも年寄りだらけの韓国にするのか。今こそ韓国の未来を選択しなければならない時期だ。                          金東燮(キム・ドンソプ)保健福祉専門記者


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