シニア花井の韓国余話

韓国交流50年の会社経営を引退しソウル定住の日本人が写真とともに韓国の案内をします。

韓国経済に次々と襲い掛かる悪材料 

2015年07月11日 08時46分30秒 | Weblog
体質改善が急務
 韓国政府で経済の司令塔を努めるチェ・ギョンファン経済副首相兼企画財政部(省)長官は7月9日、「さまざまな困難があると思うが、追加補正予算をタイムリーに執行し、投資活性化対策が効果を上げれば、今年は3%台の成長を達成できるのではないか」と述べた。
 しかし、韓国銀行の李柱烈総裁は正反対の発言を行った。同日の金融通貨委員会で政策金利を年1.5%に凍結することを決めた後の記者会見で、李総裁は今年の経済成長率を2.8%と予測した。輸出不振が続いたことに加え、中東呼吸器症候群(MERS)による消費低迷が予想よりも深刻で、3%成長は困難だと判断した格好だ。
 韓銀は中国の景気低迷などで、成長率はさらに低下しかねないとみている。チェ副首相が成長率を押し上げる武器として考えている追加補正予算についても、李総裁は「計画通りにタイムリーに執行されれば、政府の予想通りに成長率を0.3ポイント高めることが可能だが、だからといって成長率は3%台には達しない」と述べた。韓銀関係者は「政府が予想する3.1%という今年の成長率予測は政府の意志が込められた目標値と言える。今年の3%成長が不可能だとは言えないが、達成が困難であることも事実だ」と指摘した。
 韓銀の予測通りならば、今年の韓国経済は2008年の世界的な金融危機以降では、12年(2.3%)、13年(2.9%)に続き、2%台の成長にとどまることになる。輸出不振と内需低迷というダブルパンチが韓国経済の体力を急激に低下させており、MERSや干ばつなど突発的な要素で「四面楚歌」の状態に追い込まれたからだ。
■MERSが成長率0.3ポイント押し下げ
 李総裁は2%台の成長というショックを和らげようとしてか、「MERSと干ばつなど短期的なショックによる影響が大きい」と強調した。韓銀の徐英京副総裁補は「MERSで0.3ポイント、干ばつで0.1ポイント成長率が押し下げられる。一時的な成長率低下だ」と指摘した。
 しかし、韓国経済の不振要因である輸出と内需の同時低迷は一時的な要因ではなく、構造的な問題であることから、経済専門家は大きな懸念を抱いている。
年初来6カ月連続で輸出が減少し、今年第1四半期(1-3月)の韓国上場企業の増収率は12年半ぶりの低水準だった。輸出不振の理由は、中国、欧州など輸出市場の成長鈍化、急激な円安で日本企業が価格競争力を回復した点、中国など後発走者による技術水準の追い上げなどが複合的に作用した結果だ。その上、急速な高齢化と家計債務の急増などで内需はなかなか増えないままだ。
 こうした中、今年5月まで39カ月連続の経常収支黒字という最長記録を打ち立てたが、輸出よりも輸入が大幅に減少したために生じた不況型黒字だ。韓銀は今年の経常収支黒字が過去最高の980億ドルに達するとみている。今年4月に韓銀が今年の成長率を3.1%と予想した際、経常収支黒字の予測値は960億ドルだった。成長率予測が低下したにもかかわらず、黒字幅の予測は20億ドル増えたことになる。
■経済の体質改善を
 李総裁は同日、ギリシャ問題について、「メッセージははっきりしている。一国の経済体質を強固なものにすること、健全性を高めることがどれだけ重要かを示している。つらくても構造改革が伴わなければならないことを示す代表的な例だ」と指摘した。
 韓国経済が潜在成長率に満たない2%台の低成長から脱する道も構造改革にあるというのが李総裁の持論だ。李総裁は「潜在成長率と実際の成長率の差を縮める上で望ましい方法は(短期的な浮揚策ではなく)労働市場の生産性向上など経済体質を強化することだ」と述べた。これは経済専門家が指摘し続けている経済課題でもある。
 LG経済研究院のシン・ミンヨン経済研究部門長は「韓国経済の実力は3%台の成長を維持するにはつらい状況だ。毎年の恒例行事のように追加補正予算を組み、成長率を確保している状況で、短期的な景気浮揚では流れを変えることはできない」と指摘した。
李陳錫(イ・ジンソク)記者
韓国大手新聞 朝鮮日報15年7月10日記事抜粋



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