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朴大統領の人を見る目の未熟さ、再び白日の下に【社説】 

2015年12月22日 18時45分08秒 | Weblog
 韓国大統領府は12月21日、新しい経済副首相に与党セヌリ党の柳一鎬議員、副首相にソウル大学のイ・ジュンシク教授を内定するなど、6人の閣僚級人事を行った。現政権の任期が残りわずか2年となった今、経済状況は不透明さを増し、危機感はますます高まっている。そのような中で今回の人事が行われるわけだが、その顔触れを見ると、果たして今の深刻な危機的状況を打開できる人物が選ばれたのか、あらためて疑問を感じざるを得ない。
 経済政策を担当する柳氏は、朴槿恵(パク・クネ)大統領の当選直後に突然抜てきされた政治家だ。租税研究院長や財政学会副会長などを歴任していることから、今の経済状況を打開するのに必要な基本認識は持っているだろう。しかし現在の韓国経済は、1997年のアジア通貨危機当時に匹敵する非常事態だ。とりわけ造船や建設、重工業などの主力分野では主要企業の業績が極端に悪化しているため、まずはこれらを整理する作業から始めなければならない。また1200兆ウォン(約124兆円)規模とされる一般家庭の負債も、このまま放置すれば金融危機の引き金になりかねない。経済政策のトップはこれらの懸案に対処すると同時に、「低成長プラス物価下落」という現在の韓国経済における根本的な問題も解決していかねばならない。
 今の危機的状況はマクロ経済や金融、財政の専門性や識見はもちろん、これに行政面での経験まで兼ね備えた人物が全力を尽くしたとしても、解決は決して簡単ではない。ところが今回経済副首相に内定した柳氏は、マクロ経済政策や金融政策の経験がどう考えても不十分だ。政権末期になると官僚たちも仕事に対するモチベーションが下がってくる。その官僚たちを動かす統率力や組織管理の能力についても柳氏は検証されていない。今年3月から8カ月間、国土交通部(省、以下同じ)長官を務めただけの柳氏に何か実績があるとすれば、チェ・ギョンファン経済副首相が進めた住宅景気浮揚策を実行した程度だ。しかもわずか2カ月前に国会議員選挙への出馬に向け国土交通部長官をいったん辞任しておきながら、今回再び戻ってくるという身の処し方も見た目が良くない。
内定指名を受けた柳氏は「最近の経済状況はかつての(アジア通貨)危機当時と共通点が多い。必要な対応策を事前にしっかりと進めていきたい」と発言した。しかし山積する懸案を解決できるだけの強い行動力やリーダーシップが柳氏にあるかどうかは今なお疑問が残る。「経済が危機的状況で夜も寝られない」と語る朴大統領が、何度も検討した末に選んだ人物が側近の政治家という点もふに落ちない。
 イ・ジュンシク副首相内定者についても同じだ。現在与野党は歴史教科書国定化問題に加え、労働や福祉などの懸案でも厳しく対立している。そのような中、イ氏がこれらの懸案にしっかりと対応できるか疑問が残る。イ氏は主に産学交流を通じた工学分野の改革に当たってきた学者であり、政治における能力は未知数だからだ。一方で産業通商部長官には周亨煥企画財政部第1次官、行政自治部長官にはホン・ユンシク元国務調整室第1次官といった官僚が指名されたが、この人選は近く行われる人事聴聞会を意識しただけという印象を拭い切れない。セヌリ党から比例代表で当選した姜恩姫議員が女性家族部長官に内定したことも、趙允旋、金姫廷長官に続く与党の女性議員らの経歴を積み上げるためだけとみられかねない。官僚社会における腐敗対策として成立したいわゆる「キム・ヨンラン法」の施行を前に、それを実行する国民権益委員会の委員長には、かつて朴大統領が理事長を務めた正修奨学会のソン・ヨンフン弁護士が内定したが、これもどこか疑念を拭い切れない人選だ。
 国民は彼らについてこれらの心配や疑問があったとしても、取りあえずは政権末期に山積する数々の懸案を解決できるかしっかりと見守るだろう。彼らが自らに与えられた役割をしっかりと果たせなければ、今回もまた人事の失敗が繰り返されたという厳しい批判にさらされ、そうなれば朴大統領の人を見る目の未熟さも再び白日の下にさらされることになるはずだ。
韓国大手新聞 朝鮮日報15年12月22日記事抜粋

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