(韓国大手新聞、朝鮮日報 11.6.20記事抜粋)
李明博(イ・ミョンバク)大統領は6月17日、全部処(省庁)の長官や次官を集めたワークショップで「きょう(国民元老会議で)各界の重鎮から話を聞いたが、国民は今、国全体が腐り切っていると感じているという」「最近の混乱ぶりを目の当たりにして、国民は非常に当惑し、心配している。国はいったいどうなるのかという声も出ているし、国全体が汚職だらけのように考えられている」「ここに集まった人たちから、まずは心を入れ替える時間を持つことが重要だ」などと述べた。
国民はここ数カ月間、毎日のように公務員や政府関係者の汚職に関するニュースを目にしてきた。公務員の汚職は権限が大きいほどひどくなるものだが、それほど大きな権限のなさそうな部処も例外ではない。ここ数年間に公務員の汚職があらゆる部処、あらゆる職位に広まっているのだ。700カ所以上ある公共機関のうち、汚職とは無縁と考えられていた気象庁でさえも、数年前に気象観測機器を購入した際、汚職があったことが摘発された。
監査院は公務員の汚職を監視する最高の監査機関だ。大統領府(青瓦台)から独立を維持すべきとして、大統領首席秘書官が監査院長に就任するのを拒絶したこともある。その監査院の監査委員OBが貯蓄銀行から不正な金を受け取り、後輩の現役監査員に圧力を行使したとして身柄を拘束された。また別の監査委員2人も、監査を受ける政府機関や企業の関係者に会っていたとして批判を受けている。監査院による監査結果を確定する権限を持つ次官級の監査委員も、6人のうち3人が同じような疑いの目を向けられている。金融監督院は貯蓄銀行の汚職に関係していたとして、元院長をはじめとするOBや現職10人以上が取り調べを受けている。
収賄などの見返りも、形だけの監査、情報流出、政策の変更、家族の人事請託など、非常に多岐にわたる。検察や裁判所も前官礼遇(政府高官が退官後も同じような待遇を受けること)という形で身内への行き過ぎた配慮、退任後の生活保障といった汚職にまみれている。国税庁や公正取引委員会からは元幹部はもちろん、中間管理職だった人物も法律事務所(ローファーム)や民間企業で顧問などを務め、数億ウォン(1億ウォン=約740万円)の年収を手にしている。彼らがそれほどの高収入を得られる理由は、以前に勤務していた部処と関連した事件を引き受けられるよう、かつての後輩たちに直接話ができるからだ。これは決して秘密でも何でもない。官僚や公務員の汚職を監視すべき機関がこのような状況にあるとしたら、現場の公務員がもっとひどい状況にあるのは容易に想像がつく。
先日、サムスングループ系列企業の役員が、協力会社などから酒やゴルフなどの接待を受けていたことが摘発されると、李健煕(イ・ゴンヒ)サムスン電子会長はグループ各社の社長を集め「サムスングループ全体に不正腐敗が広まっているようだ」と叱責した。サムスンは内部での監査システムがしっかり機能していると評価されていた。中小企業の社長らは「(大企業の役員たちに)ルームサロン(高級個室バー)で酒を飲ませ、ゴルフをさせるのに金を使うのはごく当たり前のこと」と話す。つまり中小企業は、大企業の接待を行い、大企業は公務員の接待をする腐敗の連鎖が完全に根付いているのだ。経済が発展して国のレベルが上がれば、それに伴って社会からは汚職が減るはずだが、韓国では逆に経済規模が大きくなるにつれ汚職が広まっている。
トランスペアレンシー・インターナショナルが毎年発表する世界の腐敗認識指数(CPI)によると、韓国は昨年5.4を記録したが、これは調査対象178カ国中39位で、経済協力開発機構(OECD)加盟30カ国の平均(6.97)にも満たなかった。韓国のCPIは2009年から2年連続で下落している。
成長動力の維持、福祉の整備、さらには南北統一への備えなど、韓国には課題が山積みされている。しかし、最優先の課題は汚職や腐敗の根絶だ。まずは福祉だけでも汚職を根絶しなければ、巨額の政府支出が弱者ではなく、ずる賢い人間に流れてしまうだろう。また懸念すべき点は、この国では汚職や腐敗に対する警戒心が完全に緩んでしまっていることだ。政官界、財界、法曹界だけでなく、学界や文化界など、あらゆる分野がすでに汚職に染まっている。歴史を振り返ると、汚職や腐敗を抱えたまま長く持ちこたえた国などないのは自明のことだ。今なお分断状況にある大韓民国は、かつての強大国も腐敗によって崩壊した事実を改めて思い起こさなければならない。
李明博(イ・ミョンバク)大統領は6月17日、全部処(省庁)の長官や次官を集めたワークショップで「きょう(国民元老会議で)各界の重鎮から話を聞いたが、国民は今、国全体が腐り切っていると感じているという」「最近の混乱ぶりを目の当たりにして、国民は非常に当惑し、心配している。国はいったいどうなるのかという声も出ているし、国全体が汚職だらけのように考えられている」「ここに集まった人たちから、まずは心を入れ替える時間を持つことが重要だ」などと述べた。
国民はここ数カ月間、毎日のように公務員や政府関係者の汚職に関するニュースを目にしてきた。公務員の汚職は権限が大きいほどひどくなるものだが、それほど大きな権限のなさそうな部処も例外ではない。ここ数年間に公務員の汚職があらゆる部処、あらゆる職位に広まっているのだ。700カ所以上ある公共機関のうち、汚職とは無縁と考えられていた気象庁でさえも、数年前に気象観測機器を購入した際、汚職があったことが摘発された。
監査院は公務員の汚職を監視する最高の監査機関だ。大統領府(青瓦台)から独立を維持すべきとして、大統領首席秘書官が監査院長に就任するのを拒絶したこともある。その監査院の監査委員OBが貯蓄銀行から不正な金を受け取り、後輩の現役監査員に圧力を行使したとして身柄を拘束された。また別の監査委員2人も、監査を受ける政府機関や企業の関係者に会っていたとして批判を受けている。監査院による監査結果を確定する権限を持つ次官級の監査委員も、6人のうち3人が同じような疑いの目を向けられている。金融監督院は貯蓄銀行の汚職に関係していたとして、元院長をはじめとするOBや現職10人以上が取り調べを受けている。
収賄などの見返りも、形だけの監査、情報流出、政策の変更、家族の人事請託など、非常に多岐にわたる。検察や裁判所も前官礼遇(政府高官が退官後も同じような待遇を受けること)という形で身内への行き過ぎた配慮、退任後の生活保障といった汚職にまみれている。国税庁や公正取引委員会からは元幹部はもちろん、中間管理職だった人物も法律事務所(ローファーム)や民間企業で顧問などを務め、数億ウォン(1億ウォン=約740万円)の年収を手にしている。彼らがそれほどの高収入を得られる理由は、以前に勤務していた部処と関連した事件を引き受けられるよう、かつての後輩たちに直接話ができるからだ。これは決して秘密でも何でもない。官僚や公務員の汚職を監視すべき機関がこのような状況にあるとしたら、現場の公務員がもっとひどい状況にあるのは容易に想像がつく。
先日、サムスングループ系列企業の役員が、協力会社などから酒やゴルフなどの接待を受けていたことが摘発されると、李健煕(イ・ゴンヒ)サムスン電子会長はグループ各社の社長を集め「サムスングループ全体に不正腐敗が広まっているようだ」と叱責した。サムスンは内部での監査システムがしっかり機能していると評価されていた。中小企業の社長らは「(大企業の役員たちに)ルームサロン(高級個室バー)で酒を飲ませ、ゴルフをさせるのに金を使うのはごく当たり前のこと」と話す。つまり中小企業は、大企業の接待を行い、大企業は公務員の接待をする腐敗の連鎖が完全に根付いているのだ。経済が発展して国のレベルが上がれば、それに伴って社会からは汚職が減るはずだが、韓国では逆に経済規模が大きくなるにつれ汚職が広まっている。
トランスペアレンシー・インターナショナルが毎年発表する世界の腐敗認識指数(CPI)によると、韓国は昨年5.4を記録したが、これは調査対象178カ国中39位で、経済協力開発機構(OECD)加盟30カ国の平均(6.97)にも満たなかった。韓国のCPIは2009年から2年連続で下落している。
成長動力の維持、福祉の整備、さらには南北統一への備えなど、韓国には課題が山積みされている。しかし、最優先の課題は汚職や腐敗の根絶だ。まずは福祉だけでも汚職を根絶しなければ、巨額の政府支出が弱者ではなく、ずる賢い人間に流れてしまうだろう。また懸念すべき点は、この国では汚職や腐敗に対する警戒心が完全に緩んでしまっていることだ。政官界、財界、法曹界だけでなく、学界や文化界など、あらゆる分野がすでに汚職に染まっている。歴史を振り返ると、汚職や腐敗を抱えたまま長く持ちこたえた国などないのは自明のことだ。今なお分断状況にある大韓民国は、かつての強大国も腐敗によって崩壊した事実を改めて思い起こさなければならない。