韓国大手紙・ 朝鮮日報12年6月5日記事抜粋
ある中堅企業で派遣社員として働くキム・ソンギョンさん（27・仮名）は、月収が140万ウォン（約9万2500円）だ。営業部で事務を務め、雑用をこなすのがキムさんの仕事だ。首都圏にある四年制大学を卒業したキムさんは、何度も就職活動に失敗した後、今の職に就いた。一度は故郷の大田市に帰ることも考えたが、両親に合わせる顔もなく、ソウルにとどまった。
キムさんの生活は非常に苦しい。ワンルームの家賃として月50万ウォン（約3万3000円）を支払うと、90万ウォン（約5万9000円）が残るが、1日の平均生活費2万ウォン（約1300円）を差し引くと、残るのは毎月30万ウォン（約2万円）だけだ。キムさんは「服1着さえ買うのが難しく、文化生活はほぼ不可能だ。良い職場に転職しなければならないが、年を取ってほぼ諦めた」と話した。
■共稼ぎ必至
キムさんのケースは決して例外ではない。韓国の給与労働者の半分以上が月収200万ウォン（約13万2000円）未満であることが分かった。
本紙が統計庁の統計ポータルサイトに掲載された地域別雇用調査の賃金統計を分析した結果、昨年第4四半期（10－12月）現在で、給与労働者（自営業などを除き、うち他人に雇用され、給与を受け取る人）1731万人のうち、940万人（54.3％）が月収200万ウォン以下だった。
月収200万ウォンは、4人家族が基本的な生活を営むことのできる金額だ。統計庁の家計収支動向などによると、月200万ウォンを受け取り、税金、保険料、ローンの利払いなど計30万ウォンを差し引くと、170万ウォン（約11万2000円）が残る。これは基礎生活保障（生活保護に相当）の対象となる最低生計費149万5000ウォン（約10万円）に迫る水準で。子どもの塾の費用、貯蓄などの費用を賄うことは難しい。夫婦は共稼ぎをしなければ、生活していけない。
それは統計からも読み取れる。昨年時点で配偶者がいる1162万世帯のうち、43.6％が共稼ぎ世帯だ。しかし、女性が共稼ぎに出たとしても、10人中8人（76.7％）は月収200万ウォン未満の低賃金の職に就くしかない。LG経済研究院のイ・グンテ研究委員は「家長の稼ぎでは生活が難しいため、女性が就職しているが、良い職場がなく、所得格差を解決できずにいる」と指摘した。
■非正社員問題の核心
今回の統計で、月収200万ウォン未満の940万人のうち、臨時職・日雇い（大半が非正社員）は473万人、常勤職（大半は正社員）は467万人で、その差は6万人しかなかった。しかし、雇用形態別に見ると、月収200万ウォン未満の人の割合は、臨時職・日雇いで524万人（87.7％）、常勤職で42.2％と大きな差が出た。臨時職・日雇いの場合、10人中9人が月収200万ウォン以下ということになる。
今回の統計では、大卒以上の27％の月給が200万ウォンを下回った。
低賃金問題は、正社員では改善が見られるが、非正社員では改善が見られず、所得格差の拡大が進んでいることがはっきりとした。第4四半期（10－12月）を基準に2010年と昨年を比較すると、月収100万ウォン（約6万6000円）未満の雇用は11.3％減少し、月収400万ウォン（約26万4000円）以上の雇用は11.6％増えた。しかし、臨時職・日雇いに限定すると、月収100万ウォン以下の減少幅は6.5％、月収400万ウォン以上の増加幅は5.3％にとどまった。現代経済研究院のイ・ジュンヒョプ研究委員は「雇用の質的改善が常勤職（正社員）中心に進んだ結果だ」と説明した。
■雇用の質、OECD加盟国で最低
経済協力開発機構（OECD)によると、2009年現在で韓国の低賃金（中間賃金の3分の2未満）労働者の割合は25.7％で、OECD加盟国で最高だった。ベルギー（4.0％）、ノルウェー（4.0％）など欧州各国だけでなく、米国（24.8％）、英国（20.6％）、カナダ（20.0％）などよりも高かった。失業率はOECD加盟国で最低水準だが、雇用の質は最低であることを示している。
こうした分析について、韓国政府はこれまで「公式統計ではなく、数値がねじ曲げられている」と反論してきた。しかし、給与労働者の2人に1人の月給が200万ウォンを下回るという今回の統計は、OECDなどの分析を証明するものだ。
イ・グンテ研究委員は「政府は雇用統計の数値に執着するのではなく、雇用の質を高める方向へと政策を転換すべきだ」と指摘した。
ある中堅企業で派遣社員として働くキム・ソンギョンさん（27・仮名）は、月収が140万ウォン（約9万2500円）だ。営業部で事務を務め、雑用をこなすのがキムさんの仕事だ。首都圏にある四年制大学を卒業したキムさんは、何度も就職活動に失敗した後、今の職に就いた。一度は故郷の大田市に帰ることも考えたが、両親に合わせる顔もなく、ソウルにとどまった。
キムさんの生活は非常に苦しい。ワンルームの家賃として月50万ウォン（約3万3000円）を支払うと、90万ウォン（約5万9000円）が残るが、1日の平均生活費2万ウォン（約1300円）を差し引くと、残るのは毎月30万ウォン（約2万円）だけだ。キムさんは「服1着さえ買うのが難しく、文化生活はほぼ不可能だ。良い職場に転職しなければならないが、年を取ってほぼ諦めた」と話した。
■共稼ぎ必至
キムさんのケースは決して例外ではない。韓国の給与労働者の半分以上が月収200万ウォン（約13万2000円）未満であることが分かった。
本紙が統計庁の統計ポータルサイトに掲載された地域別雇用調査の賃金統計を分析した結果、昨年第4四半期（10－12月）現在で、給与労働者（自営業などを除き、うち他人に雇用され、給与を受け取る人）1731万人のうち、940万人（54.3％）が月収200万ウォン以下だった。
月収200万ウォンは、4人家族が基本的な生活を営むことのできる金額だ。統計庁の家計収支動向などによると、月200万ウォンを受け取り、税金、保険料、ローンの利払いなど計30万ウォンを差し引くと、170万ウォン（約11万2000円）が残る。これは基礎生活保障（生活保護に相当）の対象となる最低生計費149万5000ウォン（約10万円）に迫る水準で。子どもの塾の費用、貯蓄などの費用を賄うことは難しい。夫婦は共稼ぎをしなければ、生活していけない。
それは統計からも読み取れる。昨年時点で配偶者がいる1162万世帯のうち、43.6％が共稼ぎ世帯だ。しかし、女性が共稼ぎに出たとしても、10人中8人（76.7％）は月収200万ウォン未満の低賃金の職に就くしかない。LG経済研究院のイ・グンテ研究委員は「家長の稼ぎでは生活が難しいため、女性が就職しているが、良い職場がなく、所得格差を解決できずにいる」と指摘した。
■非正社員問題の核心
今回の統計で、月収200万ウォン未満の940万人のうち、臨時職・日雇い（大半が非正社員）は473万人、常勤職（大半は正社員）は467万人で、その差は6万人しかなかった。しかし、雇用形態別に見ると、月収200万ウォン未満の人の割合は、臨時職・日雇いで524万人（87.7％）、常勤職で42.2％と大きな差が出た。臨時職・日雇いの場合、10人中9人が月収200万ウォン以下ということになる。
今回の統計では、大卒以上の27％の月給が200万ウォンを下回った。
低賃金問題は、正社員では改善が見られるが、非正社員では改善が見られず、所得格差の拡大が進んでいることがはっきりとした。第4四半期（10－12月）を基準に2010年と昨年を比較すると、月収100万ウォン（約6万6000円）未満の雇用は11.3％減少し、月収400万ウォン（約26万4000円）以上の雇用は11.6％増えた。しかし、臨時職・日雇いに限定すると、月収100万ウォン以下の減少幅は6.5％、月収400万ウォン以上の増加幅は5.3％にとどまった。現代経済研究院のイ・ジュンヒョプ研究委員は「雇用の質的改善が常勤職（正社員）中心に進んだ結果だ」と説明した。
■雇用の質、OECD加盟国で最低
経済協力開発機構（OECD)によると、2009年現在で韓国の低賃金（中間賃金の3分の2未満）労働者の割合は25.7％で、OECD加盟国で最高だった。ベルギー（4.0％）、ノルウェー（4.0％）など欧州各国だけでなく、米国（24.8％）、英国（20.6％）、カナダ（20.0％）などよりも高かった。失業率はOECD加盟国で最低水準だが、雇用の質は最低であることを示している。
こうした分析について、韓国政府はこれまで「公式統計ではなく、数値がねじ曲げられている」と反論してきた。しかし、給与労働者の2人に1人の月給が200万ウォンを下回るという今回の統計は、OECDなどの分析を証明するものだ。
イ・グンテ研究委員は「政府は雇用統計の数値に執着するのではなく、雇用の質を高める方向へと政策を転換すべきだ」と指摘した。
