このたびの東北・関東大地震による<大津波>で、岩手県大船渡市の吉浜湾で操業する漁師の大半は難を逃れたそうです。
それは、過去の教訓による【一瞬の判断】だったそうです。
11日午後2時46分、ワカメの間引きをしていた漁船が約10隻操業していたところに、地震が襲ってきたようです。
漁師の一人は『いつもの地震と違った。』
『船底からガタガタと大きな音がした。湾を囲む岬の森から、スギの花粉が山火事の火の粉のように舞いあがっているのが見えた。』
船上には、奥さんと息子さんも同乗しており、船長は陸と反対方向の沖合へ船速を急がせたといいます。
そして、水深約70㍍地点で停泊したところで待機していたところ、15分後に<津波>が押し寄せてきたそうです。
この時は、水面の上昇に合わせて船全体が浮き上がっただけで全く揺れなかったそうです。
別の漁船の船長は、3トンの船も地震で大きく揺れたそうです。
この時、船長の頭をよぎったのは、昔から聞かされた知恵だったそうです。
『水深の深い沖なら、津波は高くならない。』
それもこれも、先輩漁師から『昭和3年(1933)の三陸大津波で、沖に出ていて助かった。』と聞いていたからです。
二人は、沖合で待機し、翌日の夕方漁港に戻ると漁港にいた漁船はすべてひっくり返り、漁協が入居している2階建ての建物屋上に小型漁船が乗り上げていた。
これまで、どのようにシケていても、どのような台風が来ても船が壊れることはなかったといいます。
水産庁では、平成17年(2005)3月20日の【福岡西方沖地震】を受け、ガイドラインンを策定。漁船などが陸上よりも避難海域に逃げる方が早い場合は<水深50㍍より深い海域へ避難し、大津波警報が出された場合は、さらに、深い海域へ避難するようにと指導していました。