著作物の「盗用」への対応

2021-09-25 23:00:36 | 契約法・税法

【例題】Aは、イラスト作成を趣味としており、自分が作成したイラストをpixivにアップロードしていた。ある日、Aは、自分が作成したイラストαを、Bがブログにアップロードしているのを見つけた。

 

[侵害①-1:著作権者の複製権]

・「著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。」(著作権法21条)。ここでいう「著作者」とは「著作権のうち複製権に係る著作権者」を意味する。□岡村138,146

 

[侵害①-2:著作権者の公衆送信権]

・「著作者は、その著作物について、公衆送信…を行う権利を専有する。」(著作権法23条1項)。ここでいう「公衆送信」には、インターネット等を用いた「自動公衆送信」を含む(著作権法2条1項9号の4)。

 

[侵害②:著作者人格権]

・公表権:「著作者は、その著作物でまだ公表されていないもの…を公衆に提供し、又は提示する権利を有する。」(著作権法18条1項1文)。

・氏名表示権:「著作者は、その著作物の原作品に、又はその著作物の公衆への提供若しくは提示に際し、その実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利を有する。」(著作権法19条1項1文)。

 

[効果①:差止請求権]

・著作権法上の権利は準物権的性格を持つため、当然に差止請求が認められる。明文でもその点が確認されている。「著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、その著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。」(著作権法112条1項)。□岡村405、459

 

[効果②:損害賠償請求権]

・著作権法上の権利は排他的支配権であるため、その侵害は不法行為(民法709条)となる。□岡村405,468

 

[効果③:名誉回復等措置請求権]

・「著作者又は実演家は、故意又は過失によりその著作者人格権又は実演家人格権を侵害した者に対し、損害の賠償に代えて、又は損害の賠償とともに、著作者又は実演家であることを確保し、又は訂正その他著作者若しくは実演家の名誉若しくは声望を回復するために適当な措置を請求することができる。」(著作権法115条)。□岡村405,495

 

岡村久道『著作権法〔第5版〕』[2021]

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