日本人の歴史認識についてどうも不可思議な思いがずっと続いている。きっかけは、古い記憶。それ以来だから、最近やたらと発言するどこかの女性大統領の影響では決してない。30年以上も前になるが、マイアミで一人の日本人男性にあった。彼は当時アメリカの不法滞在者であった。ビザが切れたまま、すでに20年近くたち、アメリカで子供まで誕生させていた。彼はオートレーサーで世界にその名を知られた男でもあった。今では誰もその名前や人柄を思い出す人はいない。だが、この男性をモデルに大藪春彦が「汚れた英雄」という小説を書き、角川が映画化した。ひょっとするとそこから思い出す人がいるかもしれない。男の名前は「伊藤史郎」。彼の生き様は歴史のなかで光と影が交錯していた。 . . . 本文を読む