選挙ブログ

選挙を中心に政治の話題を取り上げていきます

06水俣市長選

2006-02-06 | 熊本・鹿児島・沖縄
 2月6日、産業廃棄物の最終処分場の建設問題を争点に、水俣市長選が行われた。


=産廃処理場問題=

 問題が発覚したのは、おととし2004年3月。
処分場建設に伴う環境影響調査方法書の縦覧がはじまったことによる。
 計画を進めていたのは産業廃棄物処理会社IWD。

 建設予定地は市街地から車で約20分、汚泥・廃油を埋め立てる管理型処分場、浸出水を処理する施設などが計画されていた。

 建設予定地は水俣市の水源の一つで、山のふもとには湧水箇所が21か所もあり、湧き出た水は湯出川に流れ出し、水俣川と合流して水俣市の上水道取水口に至る。
 水源が汚されることは、水俣市民の飲み水が汚されることにつながる。

 水俣市の最終処分場は、熊本県内だけでなく九州一円からの産業廃棄物受け入れを予定されている。

=各陣営の対応=

【現職・江口】

 水俣市には処分場の許認可権がないとして、前市長は「中立」を表明していた。

【新人・宮本】

 前水俣市教育長の宮本勝彬が「建設反対」を掲げて、市長選への立候補を表明。

【民主・吉田】

 市長選出馬を見送った民主・吉田正和水俣市議会議員は、同じく反対派の宮本勝彬を全面支援。

 反対派が一本化され、争点は完全に絞られた。

=開票結果=

当選  宮本勝彬  112 無・新 =民(支援)

落選  江口隆一   77 無・現 =自・公(推薦)
  
落選  斉藤英雄    1 無・新

(投票率79%)


 選挙の結果、宮本が大差をつけて現職・江口に勝った。
 前回江口を押した浮動票が宮本に流れ、組織票もが切り崩される結果となった。

=見解=

 生活に根ざした争点、とりわけ身体の安全に係る争点が設定されれば、ガチガチの自民組織でも、あえなく崩壊してしまう。
 また、住民の政治意識に火をつけ、陳情型ではなく政策型の選挙になり、野党も比較的公平な土俵で戦うことができる。
 重要なのは、抽象論ではなく、具体論である。

06花巻市長選

2006-02-05 | 青森・岩手・秋田
 2月5日、花巻市長選挙が投開票された。
 旧花巻市・大迫町・石鳥谷町・東和町の合併による、初代市長を決める選挙。
 県議補選との同日選となった。

=構図=
  
 候補者は、前県議・瀬川滋、県住宅供給公社・県土地開発公社の元理事長・福岡勝夫、前花巻市議・大石満雄であった。
 いずれも旧花巻市出身、旧3町の動向も大きな焦点だ。
 自民・社民が福岡を支持、民主が大石を推薦、瀬川は無所属を強調する。
 
 新たに加わる旧3町の有権者数は大迫57百、石鳥谷130百、東和87百
 旧市内では一定の得票を見込む3氏。
 政策面で大きな争点が見られない中、有権者が何を判断基準に据えるのか注目される。


=前回開票結果=

当選 渡辺勉   147 無・新 =民
落選 福岡勝夫 138 無・新 =自・社・公
落選 瀬川満雄 113 無・新
 
=展開=

【民主=大石】

 大石は、同党の県議補選候補予定者と東和地域の同じ会場で、時間差で決起大会を開いた。
 だが、同地域出身の補選候補予定者が先に大会を終えると、多くの市民が退席。
 有権者が「政党」と「地域」を区別していることを強く印象づける場面だった。

  三者三様の選挙態勢が構築される中、それぞれがメリットとデメリットを抱えた難しい戦いを強いられている。

 大石陣営は「市民党」を掲げるが、後援会組織や支援団体には古くからの自民党支持者も名前を連ね、民主党が前面に出ることは避けたい思惑もうかがえる。

【自民・社民=福岡】

 福岡陣営は、県議補選との絡みで難しいかじ取りを迫られている。
 自民・社民が県議補選でそれぞれ公認候補を擁立し、市長選は「非民主」で共闘する。
 複雑な構造となっている。
 それでも、政党の組織力と連動して支持拡大を図るメリットは多い。

【無所属=瀬川】
 
 瀬川も、旧3町への浸透は大きな課題となる。
 石鳥谷で開いた総決起大会には、瀬川と親類関係にある自民・鈴木俊一衆院議員の敦子夫人が来賓出席した。
 以前から後援会のある東和地域を除き、他の旧2町には強固な地盤がない。
 県議時代の増田知事とのパイプを強調する。

=県議補選=

 05年12月19日、自民党花巻市支部長・照井昭二が健康上の理由で県議を辞職し、定数3の花巻選挙区は欠員2となった。
 市長選の前哨戦に奔走していた各党関係者らは、補選との両面対応へ軌道修正、走り陣立てを迫られた。

 補選の候補者は、自民党公認の前花巻市議・大和一信、社民党公認の元花巻市議・木村幸弘、無所属のNPO法人・事務局長高橋博之、民主党公認の旧東和町長・小田島峰雄の4人であった。

 今回当選しても任期は1年余り。
 花巻選挙区は次期統一選で稗貫と合区になり定数4となる。
 各党・各陣営にとって先を見据えた戦いとなった。

【自民=大和】

 議席を失うと衆院4区の県議が1人となる自民党。
 照井の後継に若手経営者らの名前も浮上したが調整は難航し、最後は同支部幹事長の大和が出馬を買って出る形となった。
 玉沢徳一郎党県連会長が「国政とのパイプ」を強調した。

【民主=小田島】

 迎え撃つ民主党は、花巻・稗貫で現職2人を抱える。
 今回は議席を「4分の3」に伸ばす好機。
 小田島の総決起大会には党県連の国会議員、県議1が集結し、組織挙げての戦いをアピールした。

 花巻の現職・木戸口英司、稗貫の佐々木順一と地盤が重ならない東和から候補を擁立したのも、本選を見据えてのことだ。
 党花巻市支部代表の木戸口は「旧新進党時代は花巻で2議席を獲得した実績もある」と、党基盤拡大へ自信を見せた。

【社民=木村】

 統一地方選を見据えていた社民党花巻支部幹事長・木村は前倒しで出馬。
 05盛岡選挙区補選で1議席を減らし、退潮傾向の同党にとって是が非でも欲しい議席である。
 03統一選では、70票差で涙をのんだ。
 小原宣良・党県連合代表は強い意欲で、統一選に向けても盤石の態勢を整える。

【無所属=高橋】
 
 無所属の高橋は、次期統一選を目指していた。
 当選後は増田直系の政和会入りを明言しており、市長選候補予定者では瀬川滋と近いスタンス。
 1年2カ月を超す「つじ立ち」で支持を広げ、草の根の集票を目指す。

=開票結果=

当選  大石満雄  253 無・新  =民
落選  福岡勝夫  191 無・新  =自・社・公
落選  瀬川 滋   157 無・新

(投票率70.56%)

当選 高橋博之  145 無・新
当選 小田島峰雄 128 民・新
当選 木村幸弘  116 社・新
落選 大和一信   90 自・新 =公



06津市長選

2006-02-05 | 三重・奈良
 2月5日、津市長選挙の投開票が行われた。 

 津市長選の争点は「旧10市町村の融和」だった。
 構図は、自民の元県議・溝口昭三・元津市議・小倉昌行、民主の元県議・松田直久というものだった。

 松田は、生まれが旧津市だが、県議時代は旧一志郡を地盤にした。
  松田直久は、民主党系県議団から出馬要請を受け、民主党を離党、県議を辞職して津市長選への立候補を決めた。
 民主は、当初は旧津市選出の県議の擁立を目指したが、県議が固辞。
 第二の候補だった松田を擁立した。
 松田は、北川正恭代議士(県知事)の私設秘書。
 99県議選に旧一志郡から出馬して初当選、現在2期目。
 
 新・津市の有権者は旧津市は13万人,旧久居市・一志郡の一部・安芸郡で10万人である。
 県議時代の選挙区外である旧津市で苦戦すると見られた。
 それを、連合三重、民主党、県議会会派の新政みえ等の組織力が補填した。
 旧津市外が選挙区であることが、「10市町村の融和」に説得力を持たせた。

 自民党系の溝口昭三・小倉昌行は川崎二郎代議士系であるが候補の一本化には至らず、分裂選挙を余儀なくされた。

=開票結果=
 
当選 63388 松田直久 無・新 =民

落選 46846 溝口昭三 無・新

落選 37050 小倉昌行 無・新

(投票率66.52%)

 自民は、県都津市の首長を奪われた。
 民主は、四日市・鈴鹿・伊勢に次いで津を制覇した。

 松田は、旧久居市・郡部で優位に立ち、旧津市でも、連合三重や民主党支持者を固め、互角の戦いを演じた。

 自民党は両氏に推薦は出せず、自民系の票は分断され、意外な票差で敗れた。

=見解=

 自民分裂を横目に、民主票を固めての勝利。
 理想的な勝利である。
 松田市長は、公約に掲げた「地域融和」のい手腕をふるってもらいたい。
 合併で広大となった市域、とりわけ、救急医療体制の整備が喫緊の課題だ。


=安濃・奄芸・一志=

 安濃郡は、津市が独立後、新町と15村から構成された。
 現在その全域が津市となっている。

 奄芸郡は、白子町と14村から構成された。
 現在、白子町などは周辺と統合して鈴鹿市、残りの地域は津市となっている。

 一志郡は、久居町と38村から構成された。
 久居町は、周辺を合併し、久居市となる。
 東南部は松阪市に併合され、久居市を含む残りの地域は津市となっている。


06都城市長選

2006-02-05 | 大分・宮崎
 
 2月5日、都城市長選挙の投開票が行われた。
 旧都城市・山之口町・高城町・山田町・高崎町の合併による選挙であった。


=前回市長選=

 04年11月28日、都城市長選挙投開票が行われ、前県議の新人・長峰誠(35)が、42歳年上の、6選を目指した現職・岩橋辰也(77)を破った。

 長峰は全国最年少の市長となった。
 九州では幸山政史・熊本市長(39)、江口隆一・熊本県水俣市長(39)と共に3人目の30代市長となった。
 岩橋は九州最高齢の市長であった。

 岩橋は、JA都城を中心に800を超す企業・団体の推薦と保守系市議の大半の応援を得て、徹底した組織選挙を展開、市政継続を強調した
 盤石の体制であった。

 長峰は「多選批判と世代交代」・「市政刷新」を訴え、精力的な「草の根選挙」で勝利した。

【前回の開票結果】
 
当選  長峯 誠 323 無・新

落選  岩橋辰也 290 無・現

投票率58.53%

=構図=

 市長選には元県議・堀之内憲一氏と、旧都城市長・長峯誠の一騎打ち。

 堀之内は、新たな開発よりも既存商店街の活性化を優先する「コンパクトシティ」の実現を目指す。
 農家を中心に支持を広げる。
 前回長峯に破れた元都城市長・岩橋辰也の支援も受けた。

 長峯は、都城インターチェンジ周辺への企業誘致・雇用創出、行財政改革を提唱する。
 前回同様「若さ」を押し出して、改革の必要性を訴えた。

 
=開票結果=

当選  長峯 誠  675  無・新

落選  堀之内憲一 289  無・新

(投票率70.41%)

 合併まで旧都城市長を務めた長峯誠が、元県議の堀之内憲一を大差で破り当選、新市の初代市長となった。


=見解=

 長峯市長は、元参議院議員・長峯基を父に持つ。
 松下参議院議員、江藤拓衆議院議員とは盟友関係にある。
 (江藤は、自民党議員であり、様々な理由から表立って活動できない)
 長峯基と上杉の対立の原因には諸説あるが、年齢の近い長峯誠・松下新平と江藤拓との接近が、江藤隆美と対立関係にある上杉を刺激したとの説が有力である。
 
 「多選・高齢」現職が、長年培ってきた組織を率いて圧勝する。
 そのような構図が、保守王国・宮崎でも崩れつつある。 
 
 元自民系の若手が、自民本流にいる大物を、自民の一部も含めた大きな枠組みで倒す。
 組織力では、長峯陣営を、旧市長陣営がそれを圧倒していたのは明白である。
 構造自体は、松下の参院選と同じである。
 組織にとらわれ硬直化しないことを願いつつ、長峯市政に注目していきたい。

  
 また、宮崎県知事選において、出身地である都城で東躍進が伝えられる。
 激しい市長選が、既存組織外にいる市民の政治意識に火をつけた結果ではないだろうか? 
 前回市長選から投票率が大幅に上昇している。
 それにもかかわらず、堀之内の得票が岩橋の得票と変わらない。
 前回棄権した票は、長嶺に回った。
 
 延岡市長選と合わせて、東の躍進の一因に、市長選があったとみる。