【自民党】
自民党執行部は郵政法案反対の前職・山口に離党を勧告した。
同時に、無所属で立候補した場合の除名処分も示唆した。
そんな中、山口は自民党員として立候補する方針を固めた。
党本部から県連への締め付けは厳しいものとなった。
一方、郵政法案に賛成した前職・七条明が2区での公認を得た。
県連会長の北岡秀二参院議員は、参院本会議で法案採決時に退席した。
北岡は、処分も覚悟の上で、党本部への反発し、山口支援を決めた。
【組織】
県建設業協会は自民公認への推薦を決めた。
小泉改革を全面的に支持するわけではないが、民主支持はできない。
これ以上公共事業の予算を減らさないため、自民党との関係は切れないのだ。
民主支持に動けば、予算が削られてしまう。
県医師連盟は県内の医師約1400人が加入する。
上部組織の日本医師連盟は、各都道府県が推薦する小選挙区の候補をそのまま推薦するという異例の方針を決めた。
徳島県連盟は、2区の会員の意見を尊重して郵政反対の山口推薦を決めた。
1、3区も混迷した。
民主前職・仙谷や、民主新顔・仁木への推薦という声も一部からあがった。
仙谷は民主党きっての厚生関係の政策通、仁木は医師出身である。
医療関係の政策の面から、両者の推薦を主張する声があったのだ。
【公明党】
徳島公明は、2区で自民党公認の前職七条明の推薦を決めた。
山口・七条の双方から推薦依頼が出され、自主投票という見方もあったが、最終的には、中央の方針に従った。
公明は2区で、00総選挙時に1万8千票、03年にも1万9千票の比例票を集めた。
03総選挙では、公明の全面支援を受けた山口が、民主前職・高井美穂に約1万票差で競り勝ち、公明票が勝因の一つとされた。
山口にとって公明の推薦がないのは大きな痛手となった。
【社民党】
社民党は小選挙区には独自候補を擁立せず、比例区に的を絞った。
「心情的支援」にとどめながらも、社民の支持者らが民主候補を応援することに前向きの姿勢を示した。
社民の比例得票は、03総選挙で8千票、04参院選は9千票だった。
【1区】
徳島1区の民主前職・仙谷由人は、四国比例ブロックに重複立候補せず、小選挙区のみに立候補した。
民主は03総選挙で、四国の13選挙区の候補者全員を比例名簿1位に並べた。
仙谷は四国内の民主党候補で唯一小選挙区で当選した。
仙谷 由人 6万8千<民・前>
岡本 芳郎 5万5千<自・前>
上村 秀明 1万0千<共・新>
徳島市…岡本5万4千 仙谷6万7千
【2区】
2区の公認・七条明が比例順位単独1位となった。
党本部は全国11ブロックすべてで女性を1位にする方針だったが、郵政民営化法案に反対した前職・山口俊一の対立候補として最優先された形だ。
七条は03衆院選の1区から重複立候補して復活当選。
2区の山口俊一が今回、郵政民営化法案に反対票を投じて公認を外されたため、七条が急きょ2区の「刺客」に指名されて重複立候補が決まった。
地元での選挙戦は中選挙区時代以来、12年ぶりとなる。
徳島自民は、三木武夫派と後藤田正晴派が主導権をめぐって争った「阿波戦争」で知られる。
七条は吉野川下流の上板町、それに対して山口の出身地は上流の池田町である。
皮肉にも2人は、阿波戦争を終結に導いた盟友同士でもある。
県議時代、七条は三木派、山口は後藤田派だった。
24年前、42人の県議で戦後生まれは2人だけであった。
1歳しか年の違わない2人はひそかに意気投合した。
83年、私的勉強会「翔の会」を結成した。
それを、4年後、11年ぶりに自民会派の統一に結びつけた。
その後、山口は90衆院選、七条は93衆院選でともに国政に進出した。
2人は政争劇の火消し役に徹することで階段を駆け上がった。
徳島自民は山口、七条両者当選の方針を決定した。
七条は比例四国ブロックの名簿上位なので、2区では山口を当選させ、七条を比例で復活当選させるシナリオだ。
03衆院選において、山口の得票数は7万2千で、次点の民主・高井美穂との差は約9600だった。
自民分裂となれれば民主に議席を奪われかねない。
逆に高井は、自民対立にスポットが当たり、存在感が薄れる可能性もあると分析していた。
山口 俊一 6万3千<無・前>
高井 美穂 4万7千<民・前>
七条 明 4万4千<自・前>
山本千代子 0万5千<共・新>
鳴門市…高井1万0千 七条1万0千 山口1万1千
阿波市…高井0万7千 七条0万9千 山口0万8千
板野郡…高井1万7千 七条1万8千 山口1万4千
三好郡…高井0万8千 七条0万4千 山口2万1千
自民徳島は、党本部の圧力に屈せず、所期の目的を達成した。
しかし、県連内に深刻なあつれきが生じてしまった。
七条明陣営は、県連への不満をぶちまけた。
七条は2区の自民党県議の応援を受けられなかったのだ。
03知事選以降、主な選挙で勝利を収め、勢力の立て直しを進めてきた県連。
山口支援はこの流れを止めたくなかったことの現れである。
かつて一枚岩だった党本部と地方組織との関係が崩壊し始めたのは明らかだ。
郵政法案をめぐり、県連内部もねじれにねじれた。
そもそも県連は、党本部に郵政民営化反対の要望書を提出していた。
法案賛成の前職はいずれも、最初は民営化反対派・慎重派だった。
県議も、県議会で慎重審議を求める意見書を決議しながら、衆院選では候補者と一緒に「郵政改革断行」を叫んだ。
民主党に負けるわけにはいかないのである。
【3区】
後藤田正純 8万9千<自・前>
仁木 博文 6万0千<民・新>
青木 利男 0万6千<共・新>
小松島…後藤田1万3千 仁木0万9千
阿南市…後藤田1万6千 仁木1万4千
吉野川…後藤田1万6千 仁木0万9千