楽々雑記

「楽しむ」と書いて「らく」と読むように日々の雑事を記録します。

食いしん坊の本。

2009-01-11 23:13:03 | Weblog
実家からの帰りの電車内で読んだブログにスーザン・ソンタグの文章が引用されていて思わず声が出た。正月早々思わぬところで大好きな言葉に出くわすのは吉兆かもしれないと勝手に思い込み、家に帰ってすぐに本棚を探して久しぶりに読み返した。
『若い読者へのアドバイス……』というその短い文章は、何度読んでも刺激的だ。ブログで引用されていた旅についての言葉も大好きだけれど、本について書かれた言葉も大好きだ。「本をたくさん読んでください。本には何か大きなもの、喚起を呼び起こすもの、あるいは自分を深めてくれるものが詰まっています。その期待を持続すること。二度読む価値のない本は、読む価値はありません(ちなみに、これは映画についても言える事です)。」
元旦の翌日から仕事に出る相方を送り出してから、正月の雰囲気を味わうつもりでもなかったけれど銀座に行った。松屋で古書市のインフォメーションを見つけて何とはなしに会場へ向かい棚に並んだ沢山の本を眺めていると1冊の本に目が留まった。関西の小冊子『あまカラ』の小島政二郎の連載をまとめた『第2 食いしん坊』。どんなものかとページを捲ろうしたらと携帯電話が鳴った。正月の酒を飲もうと誘っていたAIKからだったから早々にレジで会計を済ませた。頭の中は実家から持ち帰った牛タンの味噌漬けともろみ酒に切り替わりながら、この本は二度読む価値があるのだろうか、とふと思う。そして、二度読んだ本がどれだけあっただろうか、そもそも最後まで読んだ本がどれだけあったのかと思いながら早速、地下鉄の車内で初めのページを少しだけ読んだ。「早く読む価値を確かめなくては」と心の中で笑いながら、自分にとっては何か大きなものがあると思い込むことに決めた。

正月雑記。

2009-01-07 00:08:58 | Weblog
気付けば正月が終わった。過ぎてしまってから振り返っても何をしたか思い出せない。ただ飲んで食べて年賀状を書いたり読んだりしただけだ。付け加えるなら食べすぎ飲みすぎで少々苦しくなったことくらい。これといって何もしないのが正月のあるべき姿か、寝坊と朝風呂、そして昼寝。
一昨年、実家の玄関にかかっていた青森から送られてきたという注連飾りを羨ましく眺めていたら、昨年末に実家から注連飾りが届いた。箱を探ると端布でできたような鞠があり、さらに探ると麻原酒造のもろみ酒が見えた。漸く目当ての品が見えてひと安心したことをこうして書いていて思い出した。
勿論、酒があるからといって正月になるわけではない。相方が隣の店で扱っている「真工藝」の牛の置物を買ってきた。型染めの模様と表情が何ともよい。カレンダーや牛を彫った年賀状も用意した。意外と正月への備えをしていることに気付くけれど、過ぎてしまえば正月に何をしたか覚えていない。毎回その繰り返しかもしれない。
昨年末に銀座「たくみ」でカレンダーを購入した時、店の方が「このカレンダーも来年で販売を終えるんです」と教えてくれた。きっと気付いた時には販売が終わっているかもしれない。そうやって時間が過ぎていることに少しでも自覚が持てるようになりたい。そう思いながら何年が経ったのか、それもやはり思い出せず、年の初めからがっかりする。