楽々雑記

「楽しむ」と書いて「らく」と読むように日々の雑事を記録します。

野毛の居酒屋。

2009-01-26 23:53:01 | Weblog
横浜で仕事を終えたけれど、少し早いので折角だから一杯飲んで行こうと思い立った。KSKに野毛が如何に楽しいかを聞かされていたので、どうやっていくのか尋ねると「今日はむり」という返信が戻ってきた。場所だけ聞きたいのだけれど、と思っていると「桜木町へ行くように」と間髪を入れずに電話がかかってきた。帰宅ラッシュの京浜東北線に乗って二駅目で下車する。駅前にある「野毛への近道」と書かれた地下道を抜けて暗くなった道をトボトボと歩くがそれらしい場所に辿り着かない。諦めようと思いながら大きい道へ出ると看板が立派な古本屋が目に入った。飲めないのならば、と店に入り棚をひとしきり眺めた。なかなか面白い。佐野繁次郎が装丁を手がけた武田泰淳『士魂商才』は安価で気になるが状態の悪さに諦めると、すぐ近くに色川武大『喰いたい放題』を見つけた。こちらは値段が折り合わないと思いながら中を捲っているうちに一杯飲みたくなってきた。
本屋の交差点の近くにある古い一軒屋の前を通ると少しだけ賑やかだ。間違いなく中では人が酒を飲んでいるのだけれど、暖簾もかかっていない扉を開けるのはいかがなものか、と思いつつも結局引き戸を開けると中では楽しげに酒を酌み交わされていた。一つだけ空いていた席に腰を下ろして酒を注文するとつまみが出てきた。なるほどそういうシステムかと感心していると、卯の花にたまねぎの酢漬け、鱈豆腐と納豆が間を置いて出てきた。ゆっくりとコップの酒を飲み干すと鉄瓶から注ぎ足される。2杯飲んで二千円でお釣りがきた。何だか楽しくなってきたが、相方との約束を思い出して東急線に乗るために日本大通り駅へ向かうと本来の目的地だった野毛が見えた。次は間違うことはないだろう。いや、今日も間違いではなかったな、と思い返しながらガランとしたみなとみらいを早足で駅へ急いだ。