「心のバリアフリー化」を図るための研究報告書が発行された。
次のタイトル書である。
心のバリアフリー化に関する促進・啓発事業企画実行委員会 委員長 坂巻 熙(さかまき ひろむ)編「平成22年度心のバリアフリー化に関する促進・啓発事業」平成24(2012)年2月29日刊(社会福祉法人 日本身体障害者団体連合会)
本誌の「第2章 座談会 心のバリアフリーに関するアンケート調査をめぐって」(p.63~p.107)から興味深い発言を引用する。
その第7回目。
細川瑞子氏(全日本手をつなぐ育成会中央相談室長)は、知的障がい者に直接触れて理解を進めるのが一番と以下のように述べる。(p.83~p.84)
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【引用始め】(p.83~p.84)
細川:
いろいろなところでバリアフリー教室等が行われるようになりました。
例えば車いす・アイマスクのような体験できる障害と違って、知的障害者は疑似体験が難しい。
一番重要なのは、直接に触れてもらうことです。
触れてもらって、慣れてもらうことが非常に重要。
それによって次第に分かるようになります。
交流という教育の段階、子どもの段階からの交流が重要です。
また、最近非常に活発になっている、知的障害のある“本人の会の活動”も重要です。
親の方からも、子どものことを説明する、「この子はこういう問題があるから、こう接してもらうとありがたい」と、積極的に知ってもらうという意見もあります。
外出や社会参加が確実に増えてきています。
地域で実践を重ねている相談員も多くなっています。
町の中の表示やコミュニケーションボード等、いろいろなツールが広がってきています。
社会のバリアフリー化が進展しています。
そのような積み重ねの結果として、震災において避難所に障害の子どもが受け入れられて、そのお陰で周りの気持ちも優しくなったといった事例もあります。
さりげない声掛けとか、見守りとか、必要な支援について聞いてくれる人が増えています。
一方、気になることがあります。
若い親御さんたちは、社会に対する働きかけが弱くなっていないかという心配がある。
啓発については、常に絶えず継続していかなければいけない。
【引用終わり】
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障がい者の理解啓発を図るには、人任せでなく積極的に社会へ働きかけを続けていくことが必要である。
それは一人ではできない。
育成会の組織があればこそ、力を発揮することになる。
育成会活動を地域で地道に継続してゆく。
地域の人々にその活動が見えるようなれば理解が進むはずである。
(ケー)