貝類、魚類が影響を受けやすいことが分かりました。
そして、人間への影響はまだ確認されてなく、調査中だとしている。でも、思い起こせば、高度成長時代の水俣病でも貝類から魚類に化学物質が食物連鎖の過程で高濃度化され、蓄積され、それを人間が食べて発症していることが分かっている。因果関係を明確にするには時間がかかるでしょうが、もっと真剣にならないと。地球温暖化による異常気象と化学物質汚染は地域限定ではなく、全世界に一気に襲いかかるから、のんきではいられない。
地上の水は海に流れ出す。化学物質が全世界の海に集結している。しかし、現段階で過剰な心配や排除を行うべきではない。環境評価、調査に全力を尽くすべきだ。
2015/8/30 日本経済新聞の朝刊に「漂う海洋ゴミ 募る懸念 今年度から南極海でも調査」という記事が掲載されています。少し紹介します。網掛けは記事内容。
環境省は2010~14年度の5年間、毎年、全国7つの海岸(茨城県神栖(かみす)市、石川県羽咋(はくい)市、兵庫県淡路市、山口県下関市、長崎県対馬市、鹿児島県南さつま市、沖縄県石垣市の海岸)で、漂着した海洋ゴミを調査してきた。
日本国内の海岸には、ポリ袋やペットボトル、家具やタイヤなどの粗大ゴミ、注射針などの医療廃棄物まで、様々なゴミが流れ着くという。5年間に集めた漂着ゴミは、合わせて約48.1トン。最も多かったのはプラスチック類で、7地点を平均すると、ゴミの重量の47.3%をしめている。
個数にすると6~9割に上る。街中で落ちたり捨てられたりしたゴミが用水路や川に入って海に流れ込んだり、海水浴場で捨てられたゴミが海に漂流したりしたと考えられるが、詳しい実態は不明だという。
アザラシやウミガメが漁網に絡まったり、魚や鳥が微細なゴミを誤飲したりする被害も後を絶たない。
海を漂流するプラスチックからは、有害物質のポリ塩化ビフェニルが高い濃度で検出されている。プラスチックを誤飲した海鳥の脂肪に、体内で溶け出した有害化学物質が濃縮されているという報告もあり、海の生態系への影響を懸念する声が強まっている。
問題なのは、波や紫外線などの影響で細かく粉砕され、直径5ミリメートル以下になったマイクロプラスチックだ。海流によって遠方まで運ばれる。微細なマイクロプラスチックは、プランクトンが体内に取り込んだり、魚がエサと間違えて食べたりしていることが分かってきているという。プランクトンから小さな魚、大きな魚、そして哺乳動物のクジラへの食物連鎖が始まっているということだ。
どうもマイクロプラスチックは、他の有害な化学物質を吸収しやすいため、結合して有害物質となりながら、このまま浮遊密度が増え続ければ、単純に心配だ。大学の調査でもマイクロプラスチックが見つかった範囲は確実に広がっているらしい。
昨年、国連環境計画が発表した報告書によると、歯磨き粉、洗浄ジェル、顔用クレンザーなどにはプラスチックの粒子が含まれている。こうしたプラスチック粒子も生活排水に混ざって海に流出している可能性がある。
海の汚染対策は、多くの国が協力して大掛かりに調査を進めなくては実効が上がらない。国際的な法律や制度も未整備だから、これからできるだけ早く整備して、海洋汚染の問題を明らかにし、解決していかなくてはならないと思います。
昔から歯ぎしりがすごくて、歯が短くなり、最近、フッ素たっぷりの歯磨きを使うことにしたのですが、「研磨剤少量」とか「研磨剤無し」の歯磨きがあることが分かりました。知らなかった。この研磨剤もプラスチックだったのですね。
コラム・エッセイを紹介します。参考になると思います・
「内分泌かく乱化学物質が野生生物にもたらすリスクを予測し管理することはできるか?生態毒性コンサルタントイギリス ピーター・マッティーセン」
「魚類の繁殖におよぼす内分泌かく乱化学物質の影響 長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科 附属環東シナ海環境資源研究センター征矢野 清 (2013年3月7日 掲載)」