弥生3月のご馳走

2022年03月25日 | Weblog

 

 3月になっても寒さは厳しく、春はまだまだ先だと思っているうちに、庭の梅の蕾が膨らみ、10日を過ぎると満開になった。

ほどなくして近くに住む知人が、まだ蕾の堅い「菜の花」を届けてくれた。江戸川土手に群生しているのを摘み毎春持ってきてくれるのだ。

さっそくお湯をグラグラ沸き立てくぐらせると、春の野の青さが目にしみる。小分けにして10日間ほど味わった。

家から5分ほど歩くと江戸川に行き着く。堤防は土に覆われ分厚く高くいろんな草花が生い茂る。

つくし、たんぽぽ、そして菜の花が春の訪れを告げ、まもなくすると小さな鎌を携え「ノビル」や「ヨモギ」を摘む人たちが行き来しだす。

 

 わたしは気が向くとウォーキングコースとして堤防へ上る。遠くに東京スカイツリー、秩父の山並みやひょっとすると富士山が遠くに望めることもある。

春にはヒバリが高い空で甲高い声、初夏にはツバメが素早く飛び交う。広い河川敷では、野球・サッカー・ゲートボールで大賑わいだ。

江戸川の流れは光を照り返しゆったり流れ、堤防はウォーキングコースとしては最適なのである。

たまにしかウォーキングコースとしないのは、江戸川は全国に6河川しかない「スーパー堤防」であることにある。高さは10メートルを超え、階段を一直線に登ると息切れしてしまう。風がもろに吹きつけると進むに難儀する。

無風で日差しがゆるやかな日、ゆるやかなスロープ(車が昇り降りできる坂)をゆるゆる登れば息切れせず堤防の真上に着く。

ジョギングをする人はひきもきらずにいる。わたしもかって65才頃までこの堤防上を走っていたものだ。

母が飼っていた小型犬を連れ、堤防の中段に自転車をおきウォーミングアップを丹念にして川上に向かって走りはじめる。

堤防上はコンクリートで固められているから、足腰の保護のため草が茂る中段を走っていた。小型犬は後になり先になって共に走る。JR武蔵野線の鉄橋までは片道5㌔、往復して10㌔を走りぬけば汗びっしょりだ。整理体操をし犬を自転車のカゴに入れ家路につく。

思い起こせばその頃、自転車を押し堤防の急斜面を登っても、息切れなんかしていなかったように思う。

やはり「寄る年波には勝てず」、無理は利かなくなったものよ。

 

 堤防は軽快な自転車で疾走する人、ジョギング・ウォーキングそしてただなんとなく歩く人、そして先ほど触れたように、野草を刈る人などさまざまだ。

この時期に群生する「菜の花」は、堤防全面にあるのかと云えばそうでもない。あっちに一群がり、こっちにちょびっと、とまだら模様に芽を出している。多分「ノビル」も「ヨモギ」もそうなのだろう。

それらを摘んで春のご馳走としていただけるのがありがたい。

 

 春のご馳走と云えば「菜園」でも思いがけない贈り物がある。

冬枯れした畑地に取り残した「白菜」や「山東菜」、「小松菜」などが数株づつ残っていた。育ちそこないひねこびた株をそのままにしていたのだ。

3月の陽光を受け葉の間から茎が伸び花芽をつける。花が咲かないうちに摘み取って食べられるのだ。一つの株から次から次へと茎が伸びるので、葉物野菜を買わずにすむ。「春菊」も摘みのこしたものを寒さ除けカバーをかけておいたら生き残って、盛んに新芽を伸ばし始めた。

そんなこんなで春の陽光の贈り物が来月4月までつづきそうだ。

おまけに庭の甘夏の木には、100個ほどの実がたわわに稔り、それも食べごろとなった。近所にもお裾分けしたが、毎日食していても食い切れないほどだ。

 

 限りある年金生活のなか、大自然の恵みで豊かさを感じる3月を迎えている。

 

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