朝起きてご飯をチンしようとしたが動かない。昨夜使ってなんでもなかったのにどうしたことだろう。
別のコンセントに差し込んだり、本体につながる電線の根元を引っ張ったり押し下げても、そして「奥の手」叩いてみても作動しない。かって旧式のテレビなどは「叩けば」なんとかなったものだ。
説明書を取り出し「故障だと思ったら」の項目をなぞっても原因となる項目がなく途方にくれる。
説明書の表紙には「購入日2020年11月」・「購入金額27,000円」と記入してあるから使い始めてこの4月で1年と4ヶ月しか経っていない。
前につかっていた電子レンジは10年以上は使い込んだ。そのレンジが不具合になったので、妻と共に量販店へ行って選んだのがこのオーブンレンジなのだ。
今までの解凍・温めだけでなく、「オーブンで調理する」・「グリルで調理する」という文言に惹かれ、値がはるが目をつぶり購入した。
その時は「これを使えば調理の巾が広がり、うまいものが食えるだろう」とのつよい期待があった。
しかし「オーブン」も「グリル」も使うことなく、「解凍」と「温め」だけに使用は限定されていた。
いつかはオーブンやグリルで調理しようとは思っていたが、その機会はなかなか訪れることなく過ぎてしまったのだ。
わが家での食事担当はわたしである。料理に興味や関心がつよいかというとそうでもない。
なにしろ未だもってレシピ本なしに作れるのは「野菜炒め」と「肉じゃが」・「おでん」・「即席ラーメン」ぐらいなもので、手慣れた「カレーライス」なんかもいちいち説明書にたよる始末なのだ。
レシピ本なしに「肉じゃが」をつくれると云ったが、これも「醤油は大匙で何杯だったか、味醂は、砂糖はどうだったろう」と、レシピ本を引っ張り出すことが多々ある。
調理の素養がないのだろう。「この調味料とこの調味料を合わせるとこういう味になる」との想像が及ばないのだ。
そこにいくとわたしの母はうまい料理を食わせてくれた。大匙や小匙を使っている場面は見たこともない。それでも煮物・煮魚など抜群の旨さだった。
それを当然のように食い、「うまい」と労わず過ごしたことが、申し訳なく悔いが残る。
いつまで経っても「おふくろの味」に追いつけずにいる。
高額のオーブンレンジを買ったが「宝の持ち腐れ」で、レンジ機能だけの使用に留まって、他の機能を使わないままに不具合になってしまった。
「ご相談センター」に電話し修理に来てもらうことにする。「1年の保証期間が過ぎているので、出張料は3,500円かかる」。「量販店の保証に入っていますか」。量販店で3,000円の保証料を払うと4年間は面倒を見てくれる。このオーブンレンジを買うまでは、店員が勧めるまま3,000円を支払い4年間の保証を受けていた。
電化製品は案外と長持ちして4年以上使っているので、今回は3,000円をケチったのである。
修理に来た技術者は、いろいろ試みた末「この部分に通電していない。これを交換すると15,000円になる。どうしますか」。
接触不良などの単純な不具合でなく、手がかかる故障だと判明した。名のある会社の製品なのに1年4ヶ月でぽしゃってしまい、保証期間がわずかに過ぎている。
悔しいが諦める他はないと断じて、出張料金3,500円・消費税を入れると4,000円に近い金を払ってお引き取り願った。
ないと不便なのでさっそく量販店に出向く。
今度ばかりは高望みせずに「チン」機能だけのレンジを選んだ。9,000円をすこしこえる価格である。3,000円の追加保証金を費やすのは業腹なので今回もやらない。
悔しく損をした気分で4月を送ったのである。
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