術後2年……

2022年02月25日 | Weblog

 

 一昨年2月に肺ガンの摘出手術をうけた。

抗がん剤投与・放射線治療の必要はなく、経過観察だけに留まり、2ヶ月に一回だったのが、3ヶ月そして4ヶ月に一度となり、今年に入ってからは6ヶ月に一回となった。

年に一回、市の「健康診査」を欠かさず受けていたので、「早期発見」が幸いし命を長らえられたのである。

若いころは粋がって「医者嫌い」を標榜し、いま思えば鼻持ちならない青臭い時期があった。それが終生つづいていたなら、とっくに命を終えていたにちがいない。

 

 わたしが40代半ばに、妻が看護師に復帰し病院勤務についた。妻はわらび座に入る前、現役の看護師だった。わらび座では「医療部」に在籍したことはあったが、わらび座生活後半には、人手を多く要する「営業部」へ配属。

わらび座を辞した後「昔取った杵柄」の看護職に復帰したのである。

妻が勤務する病院が、わたしの職場に近接していたので、わたしは妻の勤める病院に通うようになった。

当時のわたしは、「コレストロール値」が高く、薬剤治療を受けていたので定期的に通院していたのだ。

その折節に「胃」や「腸」の検査を勧められ、「念のためやってみようか…」と、胃と大腸の検査を受けた。

父は胃ガンで61才の若さで他界していたし、わらび座に在籍しているわたしより若いTさんが、大腸ガンで亡くなったという便りもあり、「検査」に前向きになったのだ。

苦しい思いをしての胃カメラ検査、胃は異常なかったが、「大腸にポリープがある。ポリープを放置するとガン化する」との見立て、一日の入院、内視鏡でポリープを切除してもらったのは、40代後半であっただろうか。

ポリープが出来やすい体質らしく、その後も2年に一回ほどの「大腸ファイバー」・内視鏡検査で、小さなポリープを数回切除している。

思い立って検査しなかったら、多分「大腸ガン」で「人生50年」を終えていただろう。

 

 医療の進化のおかげで、大腸ガンは未然に防げたし、肺ガンは無事摘出してもらえた。

いずれも「早期発見」のたまものである。

だが寄る年波だ、妻と高齢の二人暮らし、いつなにが起こるか分からない危惧はある。

わたしは母親から引き継いだのであろう「糖尿」の気があるほか、いくつかの内臓疾患をかかえている。

妻はわたしほどに内臓疾患はないが、過去に数度大きな手術を受けており、その後遺症なのか腰や足の不調がある。

足腰の痛みで出歩くことは少ないが、掃除・洗濯に精を出し、洗濯物を二階のベランダへ運ぶのに、スムーズにとはいかないが階段の昇り降りに不自由はない。

一方わたしは足腰の痛みはなく、病が進行しないよう一日一万歩を歩いて運動療法を欠かさない。雨風雪が吹き募ろうがなんとかやっている。

今年の2月は平年の気温を上回っているそうだが真冬である。雪が降り北風が強い日がしばしばあった。

そんななかで休まず歩きつづけるには訳がある。

「きょうは雨」あるいは「風が吹く」などを理由にやめてしまうと、やめる口実をいつも思いつき継続できなくおそれがあるのだ。

わたしは「タバコをやめたい」と、何年にもわたってやめる挑戦をした経験がある。「この一箱を吸い切ったらやめる」。そして箱が空になる。仲間が煙を吐いているとついつい意地汚く「一本ゆずってちょうだい、これでやめるから」と貰いタバコを繰りかえす。

「みんなに迷惑をかける」との口実で、「最後の一箱だぞ」と買う。買った一箱の一本を吸って、「これで終わり」との強い決意で、残りを水浸しにしたのは幾たびか。そしてまた「こんどこそ一本だけ」との口実で、またまた一箱購入、一本吸って「これでおさらば」と水浸しの刑に処す。

何度も繰りかえすうち「勿体ないことだ。水浸しにしなくても、必要としている人はいるだろう」。これも世のため人のためと、駅のベンチや公園の椅子に置き去りにすることを思いつく。

置き去りにするタイミングはこれでなかなか難しい。目ざとい親切な人が「もしもし忘れものですよ」と、声掛けしないように気をつけ、気苦労が多いのだ。

苦労せず気やすく置き去り出来たのは電話ボックスである。

しかし家に帰ってしばらくたつと「あのタバコはどうなっただろう」。おめおめと電話ボックスに出かけ、公園のベンチを訪ねる。「あった、あった」と勇んで一服したことは数知れない。

なにしろ「これ一本」、「あと一本」でやめる・やめられるとの口実で自分を納得させての所業は何年も繰り返されたのである。

 

 だからはげしい寒さの季節、口実は「打ち出の小槌」を振るようにさまざまに思いつく自分である。

そんな己を知る身であるから、一回でも口実を考えついて「一万歩ウォーキング」を休んだら、「打ち出の小槌」が大活躍するのが目に見えているのだ。

2年前の2月、手術当日と翌日の2日間をのぞいては、「一万歩ウォーキング」はつづいており、そのおかげであろう、今年2月の市の健康診査での数値は、血糖値は高めであるが、他は正常値に収まっている。

 

 

 

 

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