動物たちにぬくもりを!

動物愛護活動の活動経過や日々の出来事、世の中の動き等幅広く紹介します。

もう猫は飼わないと決めていたが、気持ちを抑えきれず迎えた子

2021-02-17 05:51:09 | 新聞記事・Webニュース・テレビ・書籍・ブログなど

もう猫は飼わないと決めていたのに…
抱っこしたら気持ちを抑えきれず 今では理容室の看板猫に

2021年2月6日(土) まいどなニュース

北海道で理容室を営む嵯城さんは17年間一緒に暮らしてきた愛猫のミャーちゃんを亡くした。
もう一度猫と暮らしてみたいけど、飼うと別れがやってくる。
そう思うと、次の猫を飼う気になれずにいた。
しかし、地方紙に掲載されている里親募集の記事にはいつも目を通していた。

■17年間可愛がってきた愛猫を亡くす
嵯城さんは、2015年7月22日に愛猫のミャーちゃんを亡くした。
17歳だった。
ミャーちゃんは、当時5歳だった長男がマンション裏で段ボールに入っていた子猫を発見し、息子から「お世話をするから飼っていい?」と懇願されたので飼った猫だった。
ミャーミャー鳴くから、息子が「ミャーちゃん」と名付けた。
ミャーちゃんは、5歳くらいの時に腎臓の病気になり手術をしたのだが、無事に帰ってきた時は、みんなで大喜びしたという。
ミャーちゃんは、家族のアイドルだった。
生き物は亡くなると悲しいので飼わないでおこうと思っていた嵯城さんだが、飼わなければ飼わないで寂しい。
地元紙を見ていたら、そこにアニマールという旭川市の保護施設の情報が載っていた。
アニマールでは、犬や猫を保護しているが、里親が決まらなければ殺処分になる。
里親はWebサイトで募集している。
嵯城さんは、アニマールにいる猫を見に行くことにした。

■見るだけのつもりが…
2015年7月31日、アニマールに行くとたくさんの猫がいた。
見るだけのつもりだったが、抱っこすると飼いたくなった。
嵯城さんは、ミャーちゃんに似た柄の猫を引き取ることにした。
生後2カ月くらいで、とても小さかった。
どこかの家で産まれた猫で、飼い主が持ち込んだという。
人懐っこい猫だった。
アニマールでは2時間の講習を受講すると里親になれるので、嵯城さんが受講。
ミャーちゃんが亡くなった時に、キャリーケースやトイレなどのグッズを捨てたので、ダンボール箱に入れてもらってきた。
次男が、好きなアイドルの愛称にちなんで、ななまるくんと名付けた。


きりりとした男前、なな丸くん

■2匹目も譲渡してもらうことに
ななまるくんを家に連れて帰った1時間後、嵯城さんは、もう一度アニマールに行った。
兄弟のように一緒にいたもう1匹の猫を譲渡してもらうためだった。
虎太郎くんはななまるくんと同じケージで暮らしていた猫で、片手に乗るくらいの大きさだった。
柄が虎に似ていたので、奥さんが虎太郎という名前にした。


端正な顔立ちの虎太郎くん

虎太郎くんはダンボールに入れてもらってきたが、帰りの車の中でフタを留めていたテープをはがして外に出ようとして、抑えるのが大変だったという。
2匹は、血はつながっていないが、ずっと一緒にいたので兄弟のように仲が良かった。
嵯城さんは理容室を経営しているが、ななまるくんは、猫好きなお客様が来ると店に出てくる。
人懐っこいので、接客上手誰にでもスリスリする。
おやつをくれる人が分かっていて膝に乗る。
虎太郎くんは、身体は大きいが少し臆病な性格。
家族には懐いているが、他人が来たら隠れてしまう。


後からやってくるミルクちゃんと3ショット(右から虎太郎くん、ミルクちゃん、なな丸くん)

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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犬を自由にさせすぎると起こる危険なこと3選

2021-02-16 05:59:41 | 新聞記事・Webニュース・テレビ・書籍・ブログなど

犬を自由にさせすぎると起こる危険なこと3選
 犬を自由にさせすぎるのはいけないこと?

2021年2月1日(月) わんちゃんホンポ

「愛犬は家族も同然」と感じながら、犬と一緒に暮らしている飼い主さんが多いですよね。
家族なんだから人間と同じように、自由に室内の空間を過ごしてもらいたいと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「ケージに閉じ込めておくのは可哀想」また「いつでも好きな場所に移動でいるようにしてあげたい」などと思う気持ちもよくわかります。

愛犬を自由に過ごさせる時は目を離さないように
愛犬専用のお家となるケージやハウスを使用せず、室内完全フリーで過ごさせるのであれば、四六時中、飼い主さんは愛犬から目を離さずに、事故防止に努めなければいけなくなると思います。
どんなにしつけがしっかり入った賢いワンちゃんだったとしても、飼い主さんでも驚いてしまうような突然の出来事が起こってしまったら、驚いた愛犬がどんな危険な行動をとってしまうかはわからないと思います。
お散歩中であれば、リードをつけての行動になるので、愛犬が自由になりすぎることもないと思いますが、室内では自由気ままに過ごしているワンちゃんもいるはず。
しかし、室内にも危険はつきものです。
犬を自由にさせすぎることで室内で起こってしまう可能性がある、危険なことを考えてみましょう。

犬を自由にさせすぎると起こる危険なこと3選

・誤飲・誤食
犬と一緒に暮らしていると、愛犬が危険なものを飲み込んでしまわないよう、注意している飼い主さんが多いはず。
床に落ちたものはすぐに拾う、また愛犬が届いてしまう場所に物を置かないなど気を配る毎日ですよね。
実際、犬と暮らすようになってからのほうが、自宅内がすっきりと片付いて綺麗だというご家庭もあるのではないでしょうか?
しかし、愛犬を自由にさせすぎていると、床に何かが落ちていても、飼い主さんより愛犬が先に気づいてしまうこともあると思います。
落ちている物が愛犬自身のオモチャであれば問題ないですが、着替える際にうっかり落としてしまったアクセサリーや、料理中に玉ねぎなどの犬が中毒を起こしてしまう食べ物を落としてしまう可能性もゼロではないと思います。
特にキッチンは気づかないうちに、人の食べ物が落ちていてもおかしくない場所です。
危険が伴う場所には犬が立ち入れない工夫をしておくと良いでしょう。

・事故
愛犬を自由にさせすぎていると、室内であったとしても事故を起こしてしまう危険性があります。
室内で起こってしまう事故は飼い主さんの目が届いていないからこそ起こるもの。
ソファからの落下事故であれば、骨が細い小型犬は骨折の可能性もありますし、コンセントへの噛みつきは感電の恐れ、また最悪は火災事故の原因になってしまうケースもあります。
愛犬自身にしてみれば、ちょっとしたいらずらであったとしても、観葉植物や家具、クッションなど、なんでも噛みついて破壊し飲み込んでしまう恐れも。
上記の誤飲・誤食と繋がりますが、犬が飲み込んではいけないものを飲み込んでしまうと、可哀想な思いをするのは愛犬自身です。
愛犬を室内で自由にするときは、飼い主さんの目の届く範囲にいてもらうのがベストですね。

・ストレスを感じやすくなる
愛犬に室内を自由に過ごしてもらうことは、飼い主さんの目が届く範囲であれば悪いことではないと思います。
しかし、愛犬だけの「お家」となるケージやサークルなどのハウスも用意してあげましょう。
犬にとってハウスは自分だけの落ち着ける場所であり、犬自身のテリトリー。
犬は縄張り意識がとても強く、テリトリーを守ろうとする習性があります。
ハウスを用意することなく、室内を自由にさせすぎていると、部屋全体が自分の縄張りとなってしまうのです。
本来、狭く薄暗い空間を好む犬にとって、広い部屋全体が縄張りとなってしまうと、落ち着くことができません。
広すぎるテリトリーを守ろうとすること自体にも疲れてしまいますし、室内のほんの少しの変化に過剰に反応してしまいます。
疲労やストレスを癒すことができない環境で過ごす状態が続くと、ゆくゆくは体調不良にも繋がってしまう可能性があります。
愛犬だけの落ち着く場所として、ハウスを用意してあげましょう。

まとめ

ケージやサークルなどに愛犬に入ってもらうのは、なんとなく閉じ込めているような印象を持たれる方もいるかもしれません。
しかし、犬にとってハウスは「落ち着くことができる自分だけの空間」なのです。
もちろん、一日中、ハウスの中に入れておく必要はありません。
お留守番の時や就寝時、また、どうしても愛犬を見ていられない時などは、イタズラや事故防止ために入っていてもらうと安全を守ることができます。
自由な時間も大切ですが、愛犬を守るためにもハウスに入ってもらう時間を作ることをお勧めします。

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野良猫は「ほとんど生き残れない」、殺処分より多い交通事故

2021-02-15 05:48:26 | 新聞記事・Webニュース・テレビ・書籍・ブログなど

【獣医師の告白】
野良猫は「ほとんど生き残れない」
なぜ殺処分より交通事故死が多い?

2021年2月1日(月) 石井万寿美 | まねき猫ホスピタル院長 獣医師

コロナ禍で、ストレスを感じ、そして孤独を味わっている人も多いでしょうね。
そんな中、屋根や車の上でのんびりしている野良猫を見ると、「いいなぁ」と思っていませんか。
しかし、猫の殺処分の数より、交通事故死の方が多いという現実があります。
そして、1〜3月に交通事故死が増えるのです。
今日は、それはなぜなのか理由を見ていきましょう。


(写真:PantherMedia/イメージマート)

◆猫の殺処分の数より交通事故死が多い
「大分市猫の適正飼養・管理ガイドライン」によりますと、交通事故などによる猫の死体の回収頭数は、2013年度2631頭、殺処分数が725頭です。
2012年度も交通事故などによる猫の死体の回収頭数は2757頭、殺処分数は905頭です。
表を見ていただければ、交通事故死は殺処分数よりずっと多いことが分かります。


「大分市猫の適正飼養・管理ガイドライン」より

決して大分市だけ特別にこういう状況なのではなく、全国的にも同様の傾向が見られています。

◆なぜ、猫の交通事故が多いのか?
野良猫は、交通事故で命を落とす子が多くいます。
その理由はなにかを見ていきましょう。
・発情

(写真:アフロ)

人の月経周期は、約1カ月ごとで、犬は半年ごとなので、猫も時間周期で発情が来るように思われがちです。
しかし、猫は時間ではないのです。
日に当たることで、発情が来ます。
猫は季節繁殖動物で、一定の季節に繁殖活動を行う動物なのです。
長日性季節繁殖動物と呼ばれて「日照時間」が長くなるとメス猫が発情するのです。
簡単に説明すると、猫は、自然界では日照時間が長くなると雌が発情します(人工的な環境によって、光に当たる時間が長いと発情します)。
1月から9月が猫の発情期間なのです。
発情期になると、雌は交配相手を求めて活発に動き回ります。
1回の発情期で複数の雄と交配するので、周りに雄が集まってきて雌を取り合いするので、相手を求めることに没頭して交通事故に遭いやすいのです。
それに加えて、1~3月は比較的暗くなるのも早いので、交通事故も増えるのでしょう。

・真空行動

(写真:アフロ)

猫の行動の中に「真空行動」というものがあります。
それを見ていきましょう。
真空行動とは?
飼い猫でも、なにも環境の変化などがないのに突然、全速力で走り回る子もいます。
夜中の運動会といわれる行動ですね。
そして、突然、この行動も終わります。
飼い主から見れば、発作などの病気かもと思うこともあるほどに激しいです。
このような「大暴れ」を「真空行動」と呼びます。
なぜ真空行動をするか?
猫はもともと「狩り」をする動物です。
飼い猫や保護猫で餌をちゃんともらっている場合は、狩りなどをしなくてもいいわけけです。
捕獲するネズミに気づかれないように飛びかかるとか、迫りくる危険から身をかわすといったこともなく、のんびりと暮らしています。
そんな生活をしていると鬱積したエネルギーが爆発して、真空行動をするのです。
室内飼いの子が、この真空行動を家でする場合は、もちろん交通事故になりません。
一方、外にいる地域猫などが、「狩り」をしたい欲求が強くなると、危険な環境下で、このような真空行動をしてしまいます。
そのため、周りが見えなくなり交通事故に遭う危険性があるのです。

◆猫のなきがらを見つけたら?
路上で傷ついた猫や息絶えた猫を発見しても、どうしたらよいか分からないという人が多いでしょう。
もしすでに息絶えているようであれば、その地域の清掃局が担当です。
息がある、もしくは生死が分からない場合は、動物愛護センターが担当であるケースが多いようです。
地域の行政によって名称が違うこともあります。
その他には、道路は、管理者によって異なり高速道路と国道などの国土交通省管轄なら、道路緊急ダイヤルで対処してくれます。
番号は全国共通「#9910」。
通話は無料で受付は24時間です。
使用できる電話はNTTの固定電話、ドコモ、au、ソフトバンク各社の携帯、各携帯電話会社の電波を使用している格安SIM携帯(IP電話は使用できません)。

◆野良猫を交通事故に遭わせないためにできること
野良猫がこの世からいなくなると、つまり、全ての猫が完全室内飼いになると、交通事故に遭うことはないです。
いま、そうは言ってもなかなか難しいですね。
それで私たち人間にとって、他にできることは、以下のことです。
・野良猫の不妊去勢手術
発情期になり、雌猫が、雄を求めて動き回ると交通事故に遭うリスクが高まります。
不妊去勢手術をしておくと、少しはそのリスクを減らせます。
・ドライバーの人は、猫の行動を理解する
安全運転で走行していても、猫は1~3月、特に活発になるので、猫がいそうなところは特に注意してくださいね。
そして、真空行動をとって、急に走り出す動物だということも覚えておいてください。
猫は、突然に突っ込んでくる動物だということなのです。

◆まとめ

(写真:TopPhoto/イメージマート)

野良猫は、餌や水、そして寝る環境にも恵まれていません。
その上、動くと交通事故に遭う可能性もあります。
人知れず、路上でなきがらになっていることもあるのが現状です。
そんなことを踏まえて、野良猫がいない日本になることを願っています。

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は栄養療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医師さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らす。
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東京・小岩で猫8匹が連続不審死について

2021-02-14 05:47:13 | 動物実験・動物虐待

【獣医師の告白】
野良猫は「ほとんど生き残れない」...東京・小岩で猫8匹が連続不審死

2021年2月5日(金) 石井万寿美 | まねき猫ホスピタル院長 獣医師

かつて、人と猫が共存していた地域で、猫はネズミをとって人に喜ばれていたといいます。
こういう地域の野良猫は、人間との関係性もよく、自由でいいな、と思っていませんか?
ところが、共存がうまくいっている地域ばかりではありません。
ある地域の猫に悲劇が起こりました。
東京都葛飾区鎌倉と江戸川区北小岩の地域で、2020年の暮れあたりに、野良猫が8匹、体調が急変して死亡しました。
この記事を読むとなんとも痛ましいですね。
これがもし事件で、故意にやった何者かがいるとしたら、動物愛護法に違反します。
それは警察にお任せするとして、今日は、亡くなった猫の状態と地域猫について考えます。


(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

■東京・小岩で猫8匹が連続不審死の様子
それでは、どんな事件だったのか、見ていくことにしましょう。
寅次郎(別名グリ)、シマちゃん、ミーちゃん、クロちゃん、げん、ちび、くろ、とら。
命を落とした8匹にはみんな名前があった。
人によって別の呼び方をするケースもあった。
東京都葛飾区鎌倉と江戸川区北小岩にまたがって昨年11~12月にかけ、突如、体調が急変して死亡した「地域猫」たちだ。
(略)
「測定機械が想定する数値を超えていましたからね。猫は腎臓の弱い動物で、機能悪化は死に直結しうる。また徐々に悪くなってゆくケースは見たり触診してわかりますが、そうでもなかった。いわゆる急性腎不全です」(同医師)
複数の住民が別々の病院で診察を受けている。
いずれも腎臓の状態を示す尿素窒素の値が基準値を大きく上回り、基準上限の4倍以上にあたる計測不能値が出たケースもある。
どうすれば、これほど悪化することが考えられるのか。

「《東京・小岩》猫8匹が連続不審死!苦しみ悶える姿に涙、看取った住民の悲痛」より

要約すると、東京・小岩の辺りで、8匹が、野良猫8匹が、立て続けに腎臓不全で急に亡くなりました。
その他にも行方不明の猫がいるといいます。
原因は、はっきりしていませんが、何か毒物を食べた疑いがあるということです。
猫は、犬に比べて腎不全になる子は、多いですが、それはほとんどが加齢のためです。
若い猫は、一般的には普通に飼っていれば、あまり腎不全にはなりません。
寅次郎(別名グリ)ちゃん、シマちゃん、ミーちゃん、クロちゃん、げんちゃん、ちびちゃん、くろちゃん、とらちゃんのご冥福をお祈り申し上げます。

■腎不全とは、どんな病気か?
それでは、腎不全とはどんな病気が見ていきましょう。
腎臓は、尿の生成、老廃物や毒素を尿の中に排出します。
それに加えて、ホルモンの分泌などを行っている臓器です。
そこが、ちゃんと働かなくなるのです。


(写真:アフロ)

■腎不全の原因
・加齢
・薬物などによる中毒
・外傷
・ショック
・細菌や猫伝染性腹膜炎(FIP)のウイルスの感染
・心筋症
などです。

■腎不全の症状
腎不全に至る時間経過により「急性腎障害」と「慢性腎臓病」に分けられます。
進行すると腎不全となり、老廃物を十分に排泄できなくなるため尿毒症の症状が現れます。
「急性腎障害」
数時間から数日という短期間で腎臓の働きが低下します。
・数日などのうちに、オシッコが少ない
・数日などのうちに、オシッコが出ない
・食欲不振
・嘔吐
・末期になると、尿毒症になり痙攣
今回の事件のように重篤なケースは、死に至ることもあります。

「慢性腎臓病」
長い経過をたどり腎臓の働きが徐々に低下して腎不全に至ります。
猫のシニアの子に多い病気です。
・初期は無症状
・飲水量が増え、尿量が増えます(多飲多尿)
・体重減少
・嘔吐
・貧血
末期になると、命にかかわります。

■腎不全の治療
原因がわかっている場合は、早期にその治療をします。
一般的な腎不全の治療法
・点滴(静脈点滴や皮下点滴など)
体液を増加させることで尿量を増やすことで老廃物の排泄をさせます。
・腸内でタンパク質を吸着させ、便として体外に排泄させるような薬
・腎高血圧をふせぐために降圧剤
慢性腎不全は、猫に多い病気で、このために亡くなる子は、多くいます。
一方、急性腎不全は、慢性腎不全に比べて、それほど多くありません。
原因を突き止めて、対処すれば、回復することもあります。
ただ、急死した猫たちは、尿素窒素が、140mg/dl以上あったようなので、尿毒症を起こしている可能性が高いですね。
尿毒症の症状は、痙攣、知覚障害などがあり、猫が苦しまないように、点滴を多くして痛みなどを取ることも大切ですね。

■地域猫とは?

(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

この事件があった小岩の猫たちは、「地域猫」とあります。
この「地域猫」とは、どんな猫かを見ていきましょう。
地域猫とは、飼い主のいない猫で、猫好きの人が、外や庭先で、餌をやったりして面倒を見ています。
場合によっては、動物病院に治療に連れて行く、不妊去勢手術をするなどしています。
その地域猫がなぜ、問題になるのかを見ていきましょう。
・地域猫の問題点
地域には、猫が好きな人ばかり住んでいるわけではありません。
猫が嫌いな人、猫アレルギー体質の人などが混在して生活しています。
その上、猫が、ウンチやオシッコを庭や玄関などでするので、その処理がたいへんです。
たとえば、猫嫌いな人の庭に毎日、猫がトイレをしに行き、そして大切にしていた草花が枯れてしまうと、近所間でトラブルです。
さらに、猫アレルギーの人は、猫の毛がベランダなどにあると、アレルギー症状で呼吸困難になる人もいます。
・地域猫活動
飼い主のいない猫、いわゆる野良猫を勝手気ままに放置するのではなく、猫の嫌いな人にも、ある程度許容してもらえる「地域猫」として一定の管理をして見守っていき、不妊去勢手術をしながら、将来的には野良猫を減らして、飼い猫だけにいこう、という考えです。
まだ、地域猫活動がうまくなっていないところも多く、今回の事件のことも考えて野良猫について、関心を持っていただければ、と思っています。

■まとめ
野良猫は、勝手気ままに生きているわけではないです。
飼い猫の平均寿命は10年以上ありますが、野良猫は、厳しい環境下で、ほとんど生き残れないです。
餓死、交通事故などもありますが、今回のように、不審な病状によって野良猫が苦しみ悶えて亡くなることがない世の中になることを望んでいます。
野良猫を作ったのは、人なのです。
野良猫を見たら、このような問題を孕んでいることを多くの人にもっと知っていただくことで、少しずつ野良猫に理解のある世の中になると信じています。

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は栄養療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医師さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らす。
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猫8匹が連続不審死!(東京)

2021-02-13 05:46:15 | 動物実験・動物虐待

《東京・小岩》猫8匹が連続不審死!
 苦しみ悶える姿に涙、看取った住民の悲痛

2021年2月3日(水) 週刊女性PRIME

寅次郎(別名グリ)、シマちゃん、ミーちゃん、クロちゃん、げん、ちび、くろ、とら。
命を落とした8匹にはみんな名前があった。
人によって別の呼び方をするケースもあった。
東京都葛飾区鎌倉と江戸川区北小岩にまたがって昨年11~12月にかけ、突如、体調が急変して死亡した「地域猫」たちだ。
一帯は京成小岩駅に近く、半径100メートルにおさまる狭い範囲。複数の住民が「毒入りのエサを食べさせられたのではないか」と疑念を抱いている。
現場を訪ねると、路地でお母さんたちが立ち話をしていたり、昔ながらの商店街に活気があふれるなど下町風情の残る街だ。

◆ありえないほど腎臓の数値が悪い

妹猫さくらをかわいがったという寅次郎(住民提供)

「寅次郎」(推定1~2歳、オス)を看取ることになった山口忍さん(51)が振り返る。
「世話していた3匹のうちの1匹が寅次郎で、昨年12月上旬に突然姿を消しました。たっぷりエサを食べる子で体重は6・5キロぐらいあったと思いますが、見つけたときはやせ細り、それでもエサを食べようとしないんです。水も飲まず、動きが遅くなっていて、動物病院に連れていくと、“ありえないほど腎臓の数値が悪い。いますぐ痙攣(けいれん)を起こして死んでもおかしくない”と言われました」
地域猫とは、殺処分を避けるため、地元自治体と市民団体、住民らが協力してその生命をまっとうさせる飼い主のいない猫を指す。
繁殖を防ぐため不妊・去勢手術を施し、その証として片耳の先端にV字の切り込みを入れる。
手術費用の負担やエサやり、ふん尿などの掃除は心ある地域住民が担っているのが現状だ。
いわば善意に支えられて地域全体で飼っている猫だから、地域猫というわけ。
寅次郎を病院に連れて行った前出の山口さんは、 「1パーセントでも助かる可能性があるならば治療してあげたいです」 と治療費の費用負担を決めた。
3日間、点滴と吐き気止めを処方してもらったが、腎臓の数値は思うようには改善しなかった。
「最期は私の腕のなかでグッと重くなって息を引き取りました」(山口さん)
警戒心の強い猫は簡単には人間に馴(な)れない。
寅次郎と少しずつ距離を詰め、正面から顔をぐしゃぐしゃとなでてあげられるまで信頼を得たところ。
抱っこさせてくれたのは初めてだった。
体毛はトラ柄で、きょうだい猫の面倒見がよく、映画『男はつらいよ』の舞台に近いこともあって主人公の名前をつけた。
顔をグリグリ押しつけるしぐさをよく見せたため、「グリ」と呼ぶ住民もいる。
火葬し、かわいがってがってきたほかの住民と骨を拾った。
遺骨は自宅にもうけた祭壇に祭っており、多くの近隣住民が手を合わせに来てくれた。
「家族を失った気持ち」 と山口さんは泣いた。

◆うちに来る途中で力尽きたみたいで……
薄いしま模様の「シマちゃん」(推定10歳、メス)と「10年の付き合いだった」と話すのは古澤亜希子さん(49)。
寅次郎の死に先んじて、世話していた3匹が昨年11月下旬から立て続けに死亡した。
「シマちゃんは亡くなる2日前から様子がおかしかった。ほかの2匹と一緒に朝ごはんを食べにきたのに、まったく食べず鳴いて甘えるだけ。“どうしたの?”と心配していたら、それきり姿を見せなくなりました。  近隣宅から“うちの敷地内で猫が亡くなっている”と連絡をもらって駆けつけたら、シマちゃんが塀のそばで倒れていて体がもう硬くなっていたんです。うちに来る途中で力尽きてしまったみたいで……」
翌日には「ミーちゃん」(推定12歳)がエサを食べなくなり、食いつきのいい高級キャットフードを与えてもペロッとひとなめするだけに。
毛づやがボソボソになって動こうとせず、気づいたときには玄関先で冷たくなっていた。
その2日後には「クロちゃん」(推定5歳)が姿を消し、数日後に死亡。
死ぬ直前の様子を目撃した男性の話では、弱々しく寝そべったまま、立とうとしても立てないように見えたと話してくれたという。
「さすがにおかしくないか」 と古澤さんは感じ取り、ほかの地域猫を世話する住民らに声をかけた。
すると、うちに来る猫も最近おかしくて……と類似するケースがほかにもあると知った。

◆苦しさのあまり自分の舌を牙で貫通させて
60代の女性は、白黒模様の「げん」(推定10歳、メス)の最期が頭にこびりついて離れない。
同12月上旬、エサを食べなくなったのを心配して動物病院で診てもらうと、腎臓の数値が想定値を振り切るほど悪化しているのがわかった。
「3日入院しても回復せず、せめて最期は大好きな娘に抱っこされて死なせてあげたいと引き取ることにしたんです。娘にすごく懐いていたから。でも自宅に戻ると全身の痙攣が始まって……」(同女性)
呼吸が早くなり、ハムスターのように口をモグモグさせた。やがて犬みたいにハアハアと荒く呼吸するようになり、苦しさのあまり食いしばりすぎて自分の舌を牙で貫通させてしまった。
慌てて割りばしをくわえさせた。
女性の家族は約15時間、食事もせず、つきっきりでげんに声をかけ、体じゅうをさすったという。
「もう、かわいそうで、かわいそうで。こうなるなら安楽死させてあげればよかった」 と女性は目を赤くする。

◆猫を診察した動物病院の医師は──
70~80代の夫婦は、昨年11月半ばごろから立て続けに、「ちび」(生後半年ぐらい)、「くろ」(推定2歳)、「とら」(同)の3匹を看取った。
「ちびが急にみどり色の液体を吐いたので、病院に連れて行ったら腎臓機能がダメになっていた。亡くなる寸前には痙攣して息を引き取った。見ていられなかった、同じ生き物として。朝、昼、晩のエサやりとトイレをやってあげていて、たいへんな老後になっちゃったと思っていたけれども、1週間ごとに3匹も火葬することになるなんて。ほかにも変死した猫がいるようだし、誰かに毒を盛られたなと思っている」(80代の夫)
玄関先にはいつも5匹がエサを食べにきていたが、残る2匹も姿を見せなくなった。
「もう1匹もこないのよ。猫が嫌いな人もいるでしょうが、猫も犬も生きているんだから」(70代の妻)
ちびが死ぬ前の晩、妻は同じ布団で抱いて寝たという。

◆猫たちは何者かに毒物を盛られたのか
住民に運び込まれた猫を診察した動物病院の医師は、 「故意に毒入りのエサを食べさせられたかどうかは判断できない」 としながらも、腎臓の数値は異常だったと話す。
「測定機械が想定する数値を超えていましたからね。猫は腎臓の弱い動物で、機能悪化は死に直結しうる。また徐々に悪くなってゆくケースは見たり触診してわかりますが、そうでもなかった。いわゆる急性腎不全です」(同医師)
複数の住民が別々の病院で診察を受けている。
いずれも腎臓の状態を示す尿素窒素の値が基準値を大きく上回り、基準上限の4倍以上にあたる計測不能値が出たケースもある。
どうすれば、これほど悪化することが考えられるのか。
「例えばオス猫はおしっこが詰まって急に腎臓に負担がかかることがある。しかし、この場合は見てわかります。ほかにエチレングリコール(※ジェル状の保冷剤などに使われる)や果物のブドウを食べたときなども腎臓に負担がかかることがあります。今回は、似たケースが何件かあるようですから、間違えてブドウを与え続けてしまったというのはちょっと考えづらいのではないか」(同)
毒物を摂取して死亡したかどうかは、解剖した上で、人間でいうところの科学捜査研究所(科捜研)のような専門機関に分析をゆだねるしかなく、数十万円の費用がかかる見込みという。
住民らは猫の連続不審死について、地元警察に情報提供している。
ただ、猫が食べ残した毒入りのエサや目撃証人などは見つかっておらず、なぜ、死んだのかはっきりしない。
状況をみれば、きわめて短期間に限定された地域で集中して不審死が発生しているのは確かだ。

◆犯行が徐々にエスカレートしないか心配
ほかにも、行方不明になっている地域猫は多く、「死に場所を探してどこかで息絶えているのではないか」(60代男性)などと心配する声を聞いた。
猫が死に場所を探して姿を消す習性があるかどうかは別として、体調が悪化して動けなくなったことは十分考えられる。
地元商店街の生花店『花武』では、パンダみたいな模様でよく鳴く「ナキパン」と、ゴマフアザラシに似た「ゴマ」という2匹の面倒をみていたところ、昨年12月末ごろからぱったり姿を見せなくなった。
「まるで神隠しにあったみたい。ほかにも10匹ぐらい消えていると聞いた。街からすっかり猫が消えてしまった。繁殖しないよう手術を受けているし、そんなに迷惑をかけているわけじゃないのに猫を蹴る人もいるんだって」 と男性店主。
動物愛護管理法は、猫などを対象とする愛護動物をみだりに殺したり傷つけたときは5年以下の懲役か500万円以下の罰金に処すると定めている。
故意に毒殺したのであればれっきとした犯罪だ。
「犯行が徐々にエスカレートしないか心配だ。地域猫の次は飼い犬を狙うかもしれないし、小さな子どもに手をかけるかもしれない。人情味あふれる下町なのに勘弁してほしい」(前出の60代男性)
近隣の動物病院の関係者によると、類似する猫の不審死事案は昨年末にとどまらず、年明け後も1件確認されている。そもそもこの地域では、人間と猫が当たり前に共存してきた。
昔はドブ川が流れていたためネズミが多く、民家の仏壇のお供え物を食い散らかしたり、商店の売り物にかじりつかれ困っていた。
天敵の猫は得意げにネズミをくわえて人間に見せつけたという。
多くの商店が猫を飼っていた。
子どものころからこの街で暮らす前出の古澤さんは、 「だからこそ、猫に寛容な街だった。その記憶がある年配の方ほど、猫のエサを持ってきて“食べさせてあげて”などとかわいがってくれていたんです」 と打ち明ける。
文豪・夏目漱石の小説『吾輩は猫である』で鋭く人間観察する語り手の猫は、物語の冒頭で、名前はまだない、と自己紹介している。
しかし、命を落とした8匹にはすべて名前があった。
その名前を何度も呼んでかわいがった住民がおり、突然の死に深い悲しみを抱いている。
もし、毒物を与えた犯人がいるとするならば、そのことをどこまで知っているのか。

【写真】

「140.0以上」と赤字で測定値突破が示されていた、げんの腎臓の数値


高級な魚を嗅ぎ分けるのが得意だったげん


行方不明の猫を探して車の下をのぞく山口さん

◎取材・文/渡辺高嗣(フリージャーナリスト)
〈PROFILE〉法曹界の専門紙『法律新聞』記者を経て、夕刊紙『内外タイムス』報道部で事件、政治、行政、流行などを取材。2010年2月より『週刊女性』で社会分野担当記者として取材・執筆する

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犬・猫の「数値規制」で何が変わる?

2021-02-12 05:50:10 | 新聞記事・Webニュース・テレビ・書籍・ブログなど

犬・猫の「数値規制」で何が変わる?
 ターゲットは悪質業者、弁護士に聞いた

2021年1月8日(金) まいどなニュース

ブリーダーやペットショップが飼育している犬や猫に関して、ケージの大きさや出産年齢、出産回数などを数値で定めて明確に規制する「数値規制」が施行されることになりました。
数値規制で動物たちが置かれた状況は変わるのでしょうか。
動物虐待事件やペットに関する事件を数多く手がけている弁護士の細川敦史さんに聞きました。


マスの中に入れられた犬たち、足元は金網。糞尿はホースで水をかけて流すという。(公益社団法人日本動物福祉協会 提供)

■悪質なブリーダーなどを取り締まる数値規制
――数値規制をすることで何が変わるのでしょうか。
「いままでは、悪質な業者を指導監督しようにも、自治体職員が重い腰を上げるのに十分な基準がなかったのです。狭くて苦しそうにしているとか足元が金網で痛そうだとか言っても、業者に『エサや水を与えているんだからいいじゃないか』と反論されたら、言い返せないというのが自治体職員の言い分でした。しかし、ケージの大きさや出産回数、出産できる年齢などを数値ではっきり定めることで、基準が明確になり指導しやすくなります。」

――ケージの大きさや出産回数以外に、どんなことが定められるのでしょうか。
「従業員一人当たり、何頭まで飼育できるのかという基準が定められます。無茶苦茶な繁殖場のようなものは淘汰されるでしょう。以前、私が関わった福井県の繁殖工場(パピーミル)には、従業員2、3人の施設に400頭もの犬猫がいました。しかし、数値規制がなかったので、自治体側も『違法とはいえない。問題があるとはいえない。』という感じだったのです」

■自治体職員が重い腰をあげるには
――数値規制があると、自治体も動きやすくなるのでしょうか。
「いままでは、『(数値)基準が明確じゃないから』指導できないと言ってきたのですが、明確になったので動かざるを得ないでしょう。『都市部は業者の数が多すぎるから、定期的に巡回できない』と、マンパワー不足を問題にする職員もいましたが、それは解決できない問題ではないでしょう」

――保健所の職員は警察ではないので、悪質な業者に向き合うのを嫌がるのではないでしょうか。
「実際に指導監督に行く職員が及び腰になるのも分かります。動物の業者と産廃業者に対する規制の構造は似ているところがあるのですが、産廃業者の巡回には警察OBが絡んでいます。動物に関わる行政組織にも警察OBを配置すべきという意見も出ていますが、いまのところ実現するきざしはありません。制度改革をすると重い腰をあげなくてはならないので、改革に後ろ向きということもあります。」

――法規制だけでは不十分ということですね。
「数値規制で一定の基準を示すことができたので、それを業者などにきちんと守らせるための仕組みづくりをしなければなりません。」

■先送りされた数値規制、止まない過酷な環境での飼養
――規制は犬猫の保護団体(第二種動物取扱業)にも準用される予定なのですか。
「保護団体は営利を目的としないわけですが、営利目的の有無にかかわらず、適切な飼育環境を確保する必要があるため、準用されることになります」

――今回の数値規制の主なターゲットは、悪質な業者なのですね。
「劣悪な施設で犬や猫をむやみに増やす、悪質な業者を排除することが主な目的になっています」

――いつから施行されるのでしょうか。
「原則は、2021年6月から施行される予定ですが、肝心の、飼育者1人あたりの上限飼育数に関する規制が完全に施行されるのは3年先送りされて2024年6月から、ケージの広さと雌犬、雌猫の交配年齢を6歳までとする規制の施行も1年先送りされることになりました」

――なぜそのようなことになったのでしょうか。
「ペット関連の業界団体を中心に構成される『犬猫適正使用推進協議会』が、数値規制導入により飼育が削減されると、基準を超えた13万頭の犬や猫が施設に住めなくなる、一部の業者は廃業に追い込まれるとして、環境省に省令の施行を遅らせるよう要望書を提出しました。 こうした意見もふまえ、環境省は、新たな基準に適合しない事業者が、販売、譲渡等により頭数を減らしたり、従業員を新たに雇用したりする必要があるため、ケージの規模、従業者の員数、繁殖に係る基準については、違法な遺棄や殺処分、不適正飼養を防止し、必要な準備期間を確保するための経過措置を規定するとして、当初予定より施行を遅らせました。 環境省は、ペット業界の意向に配慮して、経過措置を設けて施行時期を遅らせた可能性があります。数値規制については10年以上前から環境省でも議論検討されていた重要課題であり、将来的には導入可能性があるとしてペット業界でも対応の準備を進めていればよかったわけです。 具体的な数値自体は、2019年6月の法改正でも決まっておらず、昨年夏以降に明らかになってきたので、今年6月からの完全施行では準備期間が足りないと言われれば、理解できないわけではありません。ただ、3年というのは猶予期間として長すぎ、仮に設けるとしても1年程度でよかったと考えます。営利のみを追求する問題業者は、先送りにされた施行日のギリギリまで、犬猫にとって過酷な状態での飼養管理を続けることになるでしょう。 これまでなかった数値基準がようやくできたこと自体は評価に値しますが、最後の最後で、後味の悪さが残った感が否めません」

【写真】真っ直ぐに立つことができない小さなケージに閉じ込められた犬たち

◆細川敦史
2001年弁護士登録(兵庫県弁護士会)。民事・家事事件全般を取り扱いながら、ペットに関する事件や動物虐待事件を手がける。動物愛護管理法に関する講演やセミナー講師も多数。ペットの法と政策研究会代表、ペット法学会会員。 (まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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猫の死相次ぐ「猫の街」

2021-02-11 05:46:36 | 動物実験・動物虐待

猫の死相次ぐ「猫の街」…
 毒物?それとも…住民に広がる悲しみと不安

2021年1月14日(木) 東京新聞

東京都葛飾区鎌倉4で、地元の人たちがかわいがっていた「地域猫」が相次いで命を失った、と小学生の男児から「ニュースあなた発」に投稿があった。
地元の人に聞くと、京成小岩駅周辺の江戸川区と葛飾区にまたがる半径100メートルほどの範囲で昨年11~12月、少なくとも8匹の地域猫が死んだ。
一帯は、児童文学「ルドルフとイッパイアッテナ」の舞台となった「猫の街」。
原因ははっきりしておらず、猫を見守ってきた人たちは心を痛めている。
(佐藤大)


地域でかわいがられていた猫のうちの一匹=東京都葛飾区で(山口忍さん提供)

◆昨年11月から次々と…
地元の人たちによると、最初に地域猫が死んだのは昨年11月末。
葛飾区鎌倉4の古沢亜希子さん(49)方の軒先で、地域の人らがかわいがってきた猫が急にぐったりした状態となり、2日後に死んだ。


猫がぐったりしていた場所を示す古沢さん(左)と山口さん=東京都葛飾区 で

同じ場所や近くで、翌週と翌々週も別の猫がぐったりして、後に死んだ。
そのほか、鎌倉4や100メートルほど離れた江戸川区北小岩6で、少なくとも猫計5匹が死んだ。
ほかにも、急に姿を現さなくなった地域猫もいるという。

◆「腎臓にあり得ない異常」
住民に運び込まれた猫を診察した動物病院の医師は取材に「普通に生活していたらあり得ない腎臓の数値だった。毒物を食べた可能性はある」と答えた。
別の動物病院の医師は、腎臓の数値が高かったとした上で「野良猫なので診察の履歴がなく、原因は分からない」と話す。
多くは、野良猫の殺処分を減らそうと、捕獲して避妊手術を施した後、地域に戻された猫たち。
手術後に耳の先をV字にカットすることが多く、「さくら猫」とも呼ばれる。
古沢さんによると、自身が幼い頃から、一帯はいつも野良猫の歩く街だったといい、「こんなに猫がいないことは初めて」と困惑する。
一緒に猫をかわいがってきた山口忍さん(51)は「猫と共存する街に戻ってほしい」と願う。
住民たちは管轄する葛飾署と小岩署に相談している。

◆児童文学やアニメにも描かれる
 
地元の千代田通り商店街には「ルドルフとイッパイアッテナ」の石碑が置かれている

「ルドルフとイッパイアッテナ」は、北小岩出身で現在、亜細亜大教授を務める斉藤洋さん(68)の作品で1987年に出版されたロングセラー。
岐阜から北小岩にやって来た黒猫「ルドルフ」と、「イッパイアッテナ」たち猫や人々との交流を描いた心温まる物語で、京成小岩駅周辺の商店街などが舞台となっている。
2016年には同名のアニメ映画が全国上映され話題となり、地元には作品に関連する石碑も設置されている。


コロナ禍でペット需要増える一方で6000匹の犬が捨てられた(英)

2021-02-10 05:48:01 | 新聞記事・Webニュース・テレビ・書籍・ブログなど

コロナ禍でペット需要増える一方で6000匹の犬が捨てられた、英専門家が苦言

2021年2月3日(水) FRONTROW

新型コロナウイルスの影響によって新しい日常を送る人が増えるなか、ペットたちの生活にも影響が出ている。
(フロントロウ編集部)

◆コロナ禍でペットを求める人が増加
新型コロナウイルスによって日常が変化してから、約1年が経った。
リモート勤務になったり、休日は家にいることが増えたりした人は多く、趣味などの過ごし方も含めて多くの人が新しい日常の過ごし方を模索した。
レストランなどの飲食業などは大きな打撃を受けている一方で、各国で売り上げが伸びたと報告されている業界もある。
それは、ペットに関する業界。

単純に家にいる時間が増えたからといった理由もあれば、家にいることで鬱状態になるのを避けるためにといった理由まで、さまざまな思いからペットを飼い始めた人は多いようで、米ニールセンが行なった調査によると、2020年3月から7月の間で1匹以上の犬か猫を迎えた回答者は20%にのぼった。
2019年の調査では、その割合は5%以下だったという。
また、ペットグッズの売れ行きも好調で、例えば犬用のひものセールスは2月から8月の間で13%もあがったという。
イギリスでも同様のことは起こっており、動物のマーケットプレイスであるPets4Homesによると、子犬を求める声は51%増えたという。



◆コロナ禍でペットを捨てる人も増加…
シェルターから多くの犬が引き取られたことは良いことだけれど、一方で、残念ながら、犬が捨てられる件数も増加している。
英国動物虐待防止協会(RSPCA)によると、パンデミックが始まってから、5,955件の通報を受けたという。
RSPCAの専門家は英Sky Newsの取材に対して、「(ペットの)放棄は、人々が気まぐれに子犬を手に入れて起こります。そういった人たちは長年犬を飼うことを先延ばしにしていたけれど、突然時間が出来たり、家で過ごす時間が増えたりしたから、今が犬を飼うタイミングだと思うのでしょう」と厳しくコメントする。
また、イギリスで犬の保護活動を行なうチャリティ団体のAll Dogs Matterの共同創設者は、現在の状況を利用してお金儲けを狙う悪質な業者についても、強く批判した。

原因は他にも、不安定な社会状況のなかで経済的支援が行き届いていない場合、ペットを飼い続けることが困難になってしまうこともあるかもしれない。
さらに、感染症への恐怖が飼い主を突き動かす場合も。
シンガポールでは、ある飼い主が、飼い猫が新型コロナウイルスを自分に移すかもしれないとして、4匹の猫を捨てた。
その出来事はすぐに発覚し、飼い主は罰金を科せられることとなった。
そして、新型コロナウイルスの影響で、家庭内暴力(DV)を受ける女性が増えている。
そこで注目したいのは、DV被害者を受け入れているシェルターの多くが、ペットの同伴を受け入れていないということ。
愛するペットが一緒に来られないなら、とシェルター入りを断念する被害者もいる。
ペットフードブランドのPurinaによると、アメリカにあるDVシェルターのうち、ペットも受け入れているのは10%。
一方で、シェルターに滞在した女性で、その加害者がペットも傷つけたことがあると答えた割合は70%に及ぶ。
RSPCAの専門家は、犬を飼う前に一度立ち止まって、しっかりと考えてから行動すべきだと話した。
(フロントロウ編集部)


野犬に襲われる事案多発

2021-02-09 05:51:47 | 新聞記事・Webニュース・テレビ・書籍・ブログなど

野犬に襲われる事案、減らない理由は「餌やり」…
 被害突出の市「同情しても不幸な犬増えるだけ」

2021年1月16日(土) 読売新聞

山口県周南市内で市民が野犬にかまれる事案が相次いでいる。
元日には同市古泉で飼い犬を散歩中の女性がかまれて軽傷を負い、今年度の咬傷(こうしょう)被害は3件となった。
県と市は檻(おり)による捕獲を強化しているが、捕獲数は微増にとどまっており、対応に苦慮している。
(大野亮二)


周南緑地の道路を歩く野犬(7日午後)

住宅地に囲まれた都市公園「周南緑地」。
計80ヘクタールの敷地にスポーツ施設や緑地が広がる憩いの場だが、野犬がすみ着き、目撃情報が相次いでいる。
市は公園が広大なために犬が身を隠しやすく、捨てられた犬が繁殖したとみている。
7日午後3時頃に訪ねてみると、国道2号線側の東緑地内に中型の4匹が出没した。
いずれも体は茶色で、顔は黒っぽい。
舗装された道を横切り、植え込みに入っていった。
近くの工事現場で交通整理をしていた男性は「毎日のように見かける。これまでに襲ってきたことはないが、気持ちが悪い」と話した。
市によると、出没が相次ぐようになったのは2014年頃から。
同年度は県全体で捕獲された1322匹の犬のうち、周南市内が518匹と4割を占めた。
県全体に占める市の割合が突出して高い状態は続いており、19年度も市内で841匹が捕獲され、全体の5割を超えた。
一部は迷子の犬が含まれるが、ほとんどが野犬という。
市民が野犬にかまれる被害は17年度が1件、18年度が4件、19年度が2件と、毎年発生。
今年度は昨年10月、12月、今年1月と相次いでいる。
野犬の捕獲は保健所を管轄する県の業務だが、19年5月に就任した藤井律子市長は「市が率先して対策を講じる」と言明。
同7月には県、周南署と連絡協議会を設立し、周南緑地付近の大型檻を1基から7基に増やすなど対策を強化した。
しかし、1年間の捕獲数を強化前(18年8月~19年7月)と強化後(19年8月~20年7月)で比べると、強化前の792匹に対し、強化後は811匹で、2・4%の微増となっている。
市環境政策課によると、捕獲数が増えない理由の一つが、一部の人による餌やりだ。
餌があれば食べ物を求めて檻に入らず、檻が置かれた状態が続けば犬が警戒し始める。
設置の効果が薄れるというわけだ。
餌やりを防ぐため、市は週4回のペースで職員2人態勢によるパトロールを実施。
餌やりを注意したり、放置された餌を撤去したりしている。
橋本俊彦課長は「同情して餌をやるほど、不幸な野犬が増えるだけだ。餌やり禁止を粘り強く伝える」と話す。
むやみな餌やりは、市迷惑行為禁止条例で禁止されており、命令に従わない場合は名前を公表できる規定がある。
しかし、実際に公表した事例はなく、実効性は乏しい。
最近、効果を発揮しているのが、スマートフォンのアプリを活用した市民からの犬の目撃情報の通報。
目撃情報を入力すると、画面上の地図に位置が表示される。
開始した昨年9月10日から12月末までに延べ740件の情報が寄せられた。
通報をもとに鳴いている子犬を見つけるなど、捕獲に役立てているという。
ただ、野犬を怖がる市民の声もアプリに届く。
コメント欄には「ずっと吠(ほ)えられ怖かった」「いつまで我慢をしなければならないのか」と切実だ。
藤井市長は6日の記者会見で、相次ぐ被害に対し、「市民が襲われることになり、申し訳なく思う」と陳謝。
「これからも野犬対策に全力で取り組む」と述べた。


豪雨被災犬・クレアが警察犬に

2021-02-08 05:47:39 | 新聞記事・Webニュース・テレビ・書籍・ブログなど

豪雨被災犬・クレアが警察犬に
 仮設で離れ離れも「電話越しの鳴き声」支えに乗り越え

2021年1月6日(水) まいどなニュース

西日本豪雨で被災した岡山県倉敷市真備町の会社員田中久子さん(48)の愛犬「クレア」が、岡山県警に嘱託警察犬として採用された。
「支えてくれた人たちに恩返しがしたい」。
生活再建のため訓練がままならない時期もあったが、2度目の挑戦となった昨年の審査会で合格。
苦難を乗り越えたコンビは、出動に備えて訓練を重ねている。


審査会に合格して岡山県警の嘱託警察犬になったクレアと田中さん

クレアは、牧羊犬種として知られる「ベルジアン・タービュレン」の雌で5歳。
犬好きだった田中さんが2015年に飼い始めた。
どんなにおいも興味津々で嗅ぎ回るため、警察犬に向いていると感じ、18年1月に自らも初めてとなる訓練をスタート。
本腰を入れようとしたところで7月の豪雨に見舞われた。
当時、田中さんは同県総社市の妹宅に避難していて無事。
クレアも同県浅口市の訓練所に預けていて難を逃れたが、自宅は全壊した。
被災後は自宅の片付けに追われ、訓練所にいるクレアと離れ離れの生活が続いた。
8月に岡山市内のみなし仮設住宅に入居したが、クレアの世話まではなかなか手が回らず、迎え入れることができたのは19年の1月になってから。
「体力的にも精神的にもつらい日々。電話越しのクレアの鳴き声だけが支えだった」
この間はクレアとの訓練は完全にストップ。
それでも、被災地で活動するボランティアの姿に「自分も人の役に立つことで恩返しができたら」との思いが強まったという田中さん。
同年5月の審査会は訓練不足もあって合格ラインに届かなかったが、その後にリフォームが完了した自宅に戻ってからは猛特訓を重ねた。
そして、2度目の挑戦となった昨年11月の審査会を見事に通過。
新型コロナウイルスの影響で当初予定より半年遅れての開催となり、「パフォーマンスを保つのに苦労したが、本番は伸び伸びとやってくれた」と田中さんは振り返る。
クレアの任期は今月1日から1年間。県警の要請を受け、犯人の追跡や行方不明者の捜索などに出動する。
(まいどなニュース/山陽新聞)