殺害された飼い主を待ち続ける秋田犬
世話できる場所へ連れて行こうとしても動かず ウクライナ・マカリウ
2022年4月12日(火)
ロシアから侵攻を受けるウクライナの“ハチ公”が戦場の人々の涙を誘っている。
首都キーウ(キエフ)の西方約50キロに位置するマカリウで、秋田犬「リーニー」が殺害された飼い主の女性の帰りを家の前で待ち続けている。
<ハチ公・ウクライナ・SNSから>家から動かずに飼い主を待ち続けているという犬(ヘラシェンコ内相顧問のテレグラムから)
キーウ州で10日までに確認された民間人の死者は計1222人。
マカリウでも射殺された132人の遺体が見つかったと当局者が明かしている。
ロシア軍の侵攻で40%が破壊され、多くの建物が修復できない状態。
約1万5000人だった人口は1000人を下回ったという。
リーニーは飼い主テティアナさんと“2人暮らし”だった。
玄関前にたたずむリーニーの画像を10日に投稿したヘラシェンコ内相顧問のSNS「テレグラム」によると、3月15日にテティアナさんは避難のために友人と待ち合わせしていたところ、ロシアの援軍に来ていたとされるチェチェン共和国の兵士に殺害された。
隣の家に連れ去られて性的暴行を受けた後、喉を切り裂かれたという。
テティアナさんは2012年からマカリウで夫とリーニーと暮らし始めたが、2年前に夫が新型コロナウイルスに感染したことで他界していた。
ヘラシェンコ氏は「リーニーは9歳。飼い主のテティアナは無残に殺害された。リーニーはそのことを知らずに彼女を待ち続けている」とつづった。
犬種は東京・渋谷駅のシンボルとしても知られる「忠犬ハチ公」と同じ秋田犬。
「マカリウのハチ公」とも呼ばれている。
マカリウはロシア軍に占領されていたため、約1カ月間、誰もリーニーの世話ができず、ロシア軍撤退後に近隣住民が食事を与えるなど世話をして、引き取り手を探している。
リーニーは家から離れようとせず、世話のできる場所へ連れて行こうとしても動かないという。
国外への避難者450万人を含め、1200万人以上が戦火から避難する中、ペットの置き去りが問題となっている。
リーニーのように、飼い主が犠牲となってしまうケースもあり、英BBCによると、先月の時点で犬、猫、ワニや蛇など数千匹以上の動物が“独りぼっち”で残されていると推測されている。
ロシアの侵攻は、ウクライナ国民だけでなく、動物にも大きな被害を与えている。
家から動かずに飼い主を待ち続けているという犬