シリア反体制派地域 飢餓深刻化で犬猫も食料に
2013年10月18日 東京新聞
【カイロ=今村実】
シリア内戦で、首都ダマスカス近郊に広がる反体制派の支配地域を政府軍が包囲し、住民らの飢餓が深刻化している。
兵糧攻めを乗り切るため、地元のイスラム教指導者は、犬や猫の肉を食べることを認めるファトワ(宗教見解)を出した。
インターネットを通じて本紙取材に答えた首都近郊マダミーヤ周辺の女性活動家によると、この地区では政府軍の包囲が今年に入り始まった。
当初は政府軍に現金を渡せば住民は出入りできたが、数カ月前から封鎖。
外に出ようとすると、狙撃兵に狙われるという。
男性活動家は「九月は周辺で子どもや女性九人が餓死した。今は宗教的に許されるかどうか判断できる状況を越え、人々は植物など何でも口にしている」と話す。
この活動家は以前入手して乾燥させたイチジクを一日二個ずつ食べてしのいでいる。
朝に半分、昼に一個、夜に半分。
住民は木の葉でスープをつくっている。
イスラム教で不適切とされる犬の肉や、爆撃で死んだ牛の肉を口にする住民もいると明かす。
別の地区の男性活動家は「カビの生えたパンでも食べる。小麦粉、ミルク、薬…、何もない。人々は治るはずの病気で死んでいる」。
非政府組織(NGO)が支援物資を最後に運び入れたのは二カ月半前だという。
AFP通信などによると、赤新月社は十三日、マダミーヤから女性や子ども約千五百人を避難させた。
だが、住民の大半は閉じ込められたまま。活動家の一人によると、十六日にはさらに二千人を脱出させようとしたが、銃撃が起きて断念したという。
一方、アサド政権は「反体制派が住民を人質にしている」と主張している。