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空き家で犬66匹飼育で逮捕から2カ月超

2020-09-22 05:40:45 | 動物実験・動物虐待

汚物撤去する適用法なく…排せつ物など数トン
 空き家で犬66匹飼育で逮捕から2カ月超

2020年9月11日(金) 神戸新聞NEXT


犬が多頭飼育されていた民家。天井は抜け落ち、床には犬の排せつ物や毛が積もる=三木市

兵庫県三木市の民家で6月、発覚した犬の多頭飼育問題で、汚物などがたまった民家の扱いが困難を極めている。
住民らが汚物の撤去や消毒作業を求める一方、飼い主だった男は対応せず、行政が強制的に対策を講じる行政代執行にも「根拠となる法律が見当たらない」。
相談を受ける三木市は、有効な手だてが見いだせず頭を抱えている。
(篠原拓真)

近隣住民によると、民家では5、6年前から異臭や騒音が問題に。
6月下旬には、県警生活経済課などが、排せつ物などが堆積した空き家で数十匹の犬を飼育したとして、住所不定の会社員の男(56)を動物愛護法違反の疑いで逮捕した。
犬66匹を確認したという。
県警などによると、木造2階建ての天井や床が抜け落ち、1、2階に数年分とみられる排せつ物や餌の残り、犬の毛などが堆積していた。
数トンにも上るとみられ、高さ50センチほど積もった場所もあった。
それから2カ月超。
鳴き声はなくなったが悪臭は変わらず、自治会長の男性は「早く撤去してほしい。せめて消毒だけでも」と訴える。
民家は男の所有ではなく、市は所有者や権利者の確認を進めてきた。
市の担当者は「権利者は『全面的に協力したい』と話すが、単独で復旧するのは困難と判断している」と説明。
逮捕された男は「復旧の意思はない」と打ち明ける。
解決策として残るのは、行政が強制的に撤去する代執行。
ところが、市が弁護士と相談した結果、汚物処理や消毒作業の代執行を適用する法律がないという。
動物愛護管理法第25条では、都道府県知事は動物の飼養や給餌などで生じる騒音や悪臭で、周辺の生活環境が損なわれた場合、事態を生じさせた者に必要な指導や助言ができるとされる。
しかし、所管する県の担当者は「法律は動物の適正な管理指導が目的。該当民家には動物がおらず、この法律には当てはまらない」と否定する。
放置すれば倒壊の恐れがあると「特定空き家」に認定し、空き家対策特別措置法で建物を撤去することも考えたという。
ただ、そうすると所有者らに撤去や修繕の指導、勧告、命令を出す必要があり、相当な時間がかかるという。
衛生状態が悪い中で作業を請け負う業者を探すのも難しい。
市の担当者は「このままではいけないとは分かっているが、どうすればいいのか」と声を落とした。

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