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山口県で多頭飼育崩壊相次ぐ

2021-07-02 05:52:50 | 動物実験・動物虐待

「そのうち死ぬから」と子猫を放置
 雌雄を隔離するためリードにつなぎ飼育
  山口県で多頭飼育崩壊相次ぐ

2021年6月18日(金) まいどなニュース

山口県内の民家で数十匹の猫を小屋に閉じ込めるなど劣悪な環境下で繁殖を繰り返し、適正な飼育ができなくなる「多頭飼育崩壊」が2件相次いで起きていたことが分かりました。
1つは、美祢市内の民家で母屋に隣接する小屋などに合わせて30匹を超える猫を閉じ込めて飼育していたとのこと。
さらに、萩市内の民家では屋内に避妊・去勢手術をしないまま20匹ほどの猫を飼っていたといいます。


山口県美祢市内の民家で母屋に隣接する小屋や畑に建てた小屋に合わせて30匹を超える猫を閉じ込めて飼育していたという(提供写真)

いずれも5月中旬ごろ、保護団体「ちびたまのしっぽ愛(まな)の会」代表・山下未愛(みのり)さんのところに相談が入り発覚。
現在、山下さんたちが保健所の協力などを得ながら、猫たちのレスキューや避妊・去勢手術などに取り組んでいるそうです。
山下さんは「まずは美祢市内の民家に入り、妊娠した猫や生まれた子猫たちなど緊急性の高い猫たちを先に保護しました。今、順次猫のレスキューを行っており、同時に里親さんを募集しているところです」と話します。

◆飼い主は高齢男性、2カ所の小屋で猫30匹以上飼育
山下さんによると、美祢市内の民家に住んでいるのは独り暮らしの高齢男性。
母屋に隣接した小屋のほかに、畑にも小屋を建てて複数の猫を閉じ込めたまま飼育していました。
特に母屋から離れている畑の小屋は日よけなどがないため夏は炎天下にさらされ、さらに近くに川も流れていることから冬は冷え込む場所だといいます。


畑の小屋は日よけなどがないため、夏は炎天下にさらされる状態でした

また、その猫たちの中には警戒心が強いのか、人が近付くと隠れる猫が多いそうです。
このような劣悪な飼育状態の上、猫がいる小屋の周りにたくさんの野良猫が集まるなど近所から苦情も出ていたといい、見るに見かねた隣人から相談が寄せられました。
「(高齢男性宅に)たくさんの猫がいる。その中に妊娠している2匹の猫もおり、これ以上増えたら大変です」
そこで、まずは妊娠している猫の保護に乗り出した山下さん。
すぐに男性宅を訪れたところ、1匹は既に出産していました。
生まれた3匹の子猫を保護しようとしたところ、高齢男性から「置いておけばいい。そのうち死ぬから」などと言われたそうです。
そんな心ない言葉を吐かれ驚きつつも、山下さんは急いで子猫たちを保護したといいます。

◆高齢男性「猫は好きじゃない」 子猫を母猫から取り上げて…
高齢男性について「猫が好きだから飼っていると思いきや、ご本人は『猫は好きじゃないが、成り行きでそうなった(飼うようになった)』と言っており、がく然としました。おそらく独り暮らしをされていて寂しくて、何となく野良猫に餌をやっているうちに増えてしまったのではないでしょうか」と山下さん。
さらに「まるで猫を物として扱っているように感じました。男性はいつも生まれた子猫を母猫から取り上げて、そのまま放置して餓死させたあと、山に埋めたり、川に流したりしていたとか…今回も生まれた子猫を餓死させて捨てようと思っていたようです。命をなんだと思っているのでしょう」と深いため息をつきます。
6月には、畑の小屋で新たに猫が出産。
4匹生まれましたが、他の猫に頭をかじられるなどして2匹が亡くなりました。
残り2匹を隣人が保護。
しかし、その2匹も山下さんが引き取ったその日に亡くなったとのこと。
劣悪な環境に赤ちゃん猫たちも耐えられなかったようです。
こうして妊娠・出産した猫たちのレスキューをひととおり終えたあと、母屋に隣接する小屋の猫から順次保護して避妊・去勢手術などを進めています。

◆2人暮らしの親子 複数の雄猫をケージに閉じ込めて飼育

萩市に住む親子宅でケージで飼われていた雄猫たち(提供写真)

一方、萩市内の民家に住んでいたのは、2人暮らしの親子(母娘)。
最初は2、3匹の野良猫を飼い始めたそうですが、避妊・去勢手術をしなかったために徐々に猫の数が増えてきたとのこと。
最近は子猫が生まれないようにと雌と雄を隔離するため、雌猫たちを自由に動き回らないようにリードにつないだり、雄猫たちをケージに閉じ込めたりするなど劣悪な飼育状態だったそうです。


自由に動き回らないように雌猫たちをリードを付けて飼育していたという(提供写真)

今年に入り、母親が入院。
娘さんは1人で猫たちの世話をすることが難しくなり、初めは萩健康福祉センター(以下、萩保健所)に「全部猫を引き取ってほしい」と相談したといいます。
そのあと、知人を通じて保護活動をしている山下さんにも相談しました。
最終的に、萩保健所が一時的に雌7匹を収容することに。
収容されると通常は1週間ほどで殺処分となるそうですが、収容期間を最長1カ月まで延ばしてもらい、その間、山下さんが雌猫たちの里親を探すことになりました。


現在、萩保健所に収容されているという雌猫たち(提供写真)

◆保護団体代表「8月までに全ての猫たちの里親さんを見つけたい」
これらの多頭飼育崩壊に直面し、本業の傍ら連日猫たちの保護と里親探しをこなす山下さん。
今後の見通しなどについてこう話します。
「妊娠した猫がいるなど緊急性の高かった美祢市内の民家から避妊・去勢手術を着手していますが、萩市内の民家も雌猫たちの収容期間が1カ月という期限があるため、里親探しも同時に行っています。8月までには全ての猫たちを避妊・去勢して、里親さんを見つけられたらと思っています。 他の多頭飼育崩壊の現場にも共通するのですが、今回の事例も避妊・去勢手術を施すことなく放置するなど飼育方法に問題がありました。野良猫を次々と拾ってきたり、野良猫に餌をやったりと、全て人間の身勝手な振る舞いが招いたものです。だからこそ、私たち人間がこの子たちのためにやれることを全てやってあげたい。ただ、それだけです」

   ◇   ◇

里親募集に関する問い合わせは、山下さんのメールアドレス y.gumi1998@gmail.com まで。

 (まいどなニュース特約・渡辺 晴子)

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