山が色づきはじめ、紅葉の便りが届く頃になると、
野の花たちはめっきり少なくなって、秋の寂しさを感じる。
春からこっち、季節の移り変わりとともにおおいに目を楽しませて
くれた野山の花たちも最終章を迎える10月初旬、
ススキが群れる野原へ行ってみると。。。
野原道にはいまが盛りと
ヤクシソウウが賑やかに咲き連なり、
野菊もいろいろ秋の道。これはリュウノウギク? 朝露をまとった花びらが清々しくぎっしり、ゴマナ?
花と実をつけたメマツヨイグサ。
マツヨイグサは北アメリカ原産の帰化植物だが、竹久夢二が「宵待草」と呼んだり
「富士には、月見草がよく似合う」と、太宰治が「富嶽百景」で賛辞したこともあってか、
すっかり日本の文化に溶け込んでいる。その名のとおり夕暮れを待って咲き出す花は、
花粉を運ぶスズメガを呼び寄せるため、暗闇でも存在を目立たせる黄色の花、
さらにワインに似た強い香りを発散させるという念の入れよう、大陸育ちの逞しさよ。
長引いた暑さもようやくおさまり、
サラっと軽やかな空気が流れ、秋の陽射しが気持ちいい草原。
暑くもなく寒くもない秋の陽気は、春に比べ穏やかでしっとりしている。
蝶たちももせっせと訪花。アザミにとまるキタテハはタテハチョウ科の代表。
道端にムラサキセンブリを見つけた
スレンダーな葉に青味がかった紫色の花は、秋の花のなかでも洗練された美しさがある。
古来、高貴な色とされてきた紫色、その紫にふさわしいイメージをもつ紫千振。
秋に咲く日本の花は紫色が多い。
どうしてかと思っていたら、枯れ草のなかに映える紫色が虫を呼び寄せやすいためとあった。
なるほどね。
陽があたりはじめると花が開くリンドウ。やわらかな秋の光を感じて花びらをひろげはじめた。
草に紛れるようにしてひっそり咲いてたキキョウ。カヤ場が見られなくなったいまでは
野生のキキョウに出会うことも滅多になくて、かろうじて花を目にできてうれしい
わずかに咲き残っていたマツムシソウ。今年はマツムシソウをあまり見かけなかった。
時期的なこともあるけど、大好きな花だけに、草原の風に踊る姿を眺められなかったのが心残り。
すっぽりススキに包まれるようにして歩く野原、風サラサラ~
わぉステキな帽子を見つけた~
ハバヤマボクチ?
草の繁る根元には、まだ夏を惜しむかのようにカワラナデシコがきれいに咲いていたり、
そばかす美人のあなたは誰かしら?と、意外な出会いも楽しめる。
タチフウロの咲きそこない?? キャンディのような雄蕊がチャーミング
手前に伸びている種を飛ばしたあとの萼。
キュートなピンクのコシオガマ、ちょっとこっち向いてね、と触ったら、指先がベトベトに、、、。
全体に毛深くて、その毛先から粘液を出す半寄生植物。こっそり根から養分をもらっている。
ウメバチソウにツリガネニンジンもちらほら、、
そして林の縁で目を引く赤い実
色褪せた葉に輝く赤い実が、コントラストも美しく、秋は日ごとに深まりゆく。。
そして、いつ見ても初々しいノコンギク、インパクト大のトリカブト、
意外にもたくさんの花たちに出会えた秋の野原。
野の花を見られるのも、今年はこれが最後かなぁ~