和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

春日の神の後ろ姿。

2023-09-09 | 古典
はい。とりあえず鴨長明著「発心集」下巻の現代語訳を読みました。
一日数ページなので、時間ばかりかかりました。
うん。読みかえしてはいないのですが、上巻より下巻のほうが
私には楽しく味わえた気分です。

とりあえずは、一箇所引用。
『夢の中でそのお姿を拝すること度々』という箇所。

「永朝僧都は春日の社にいつも参籠していたが、
 神の感応があらたかで、夢の中でそのお姿を拝することが度々になった。

 しかし、後ろ姿ばかり見て、向かい合って下さることがないので、
 不本意で不思議に思い、特別思いを籠めてお祈り申し上げた。

 その時、夢の中で
 『 お前が恨むのはもっともだ。
   ただ、いとおしいと思うものの、
   全く私に後世のことを願わないので、
   お前と向かい合って見ることはできないのだ 』
 とおっしゃると見えた。

 末世の者たちの能力に合わせて、
 仮りに神として姿を現していらっしゃるが、本来のところでは
 衆生を教え導こうとのお志から発していることなので、
 現世のことばかりお祈り申し上げるのが、
 春日の神には不本意に思われたにちがいない。  」(p297)


まったくもって、現世の言葉ばかりを拾い集めようと期待し、
この『発心集』をめくってた私には手痛い指摘となりました。
下巻になって、ようやく私は見当違に気づかされたのでした。

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