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和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

信仰と美学

2025-04-24 | 古典
とりあえず、はじめて読んだ
曽野綾子著「心に迫るパウロの言葉」(海竜社)
の感想は、今回でおしまい。
再読すれば、また別のことが思い浮かぶのだろうなあ。

本の最後のほうで、曽野さんはこう書いております。

「 受け身の美学というものは、もの心ついて以来、
  私の心の中心にある。私は一応は運命に対して
  口答えも反抗もするのだが、実はほんとうは
  世の中のことはどっちへ転んでもいい、と思っている。
  ・・・・自分からはあまり積極的でない。・・

  ・・強いパウロに、このような控え目な、
  運命や時の力にスタートラインも成り行きも任せよう、
  むしろその中に、神の意志を見よう、
  という態度があることは意外であるとも言える。・・・  」(p294)


具体的な例が印象深いのでした。そちらも引用。

「 私の身近にも、何人か、洗礼を受けながら、
  それを世間に公表しない人がいる。・・・・

  こういう人たちは決まって、ひそかに
  洗礼を受けた後、今まで通りの非キリスト教的な
  行動をしてかまわないだろうか、と心配する。
  たとえば或る家には、お姑さんがいて、元旦には
  必ず浅草寺と成田山にお詣りする。洗礼を受けた後、
  そういうことができなくなると、家の中に
  波風が立つと心配するのである。

  しかしカトリックは決してそのようなことを禁じない。・・
  そこに私はカトリックの信仰の一つの明確な姿勢を見るのである。

  これは、信仰はいかなる人をも、強制しないということである。
  むしろキリスト者は運命に対して全体的に受け身でいなければならない。
  ただその受け身の姿勢で受けた自分の運命の中で、
  どれだけキリスト者的でいられるか、
  ということだけが問題なのである。

  私(曽野綾子)の母も父に隠して洗礼を受けた。
  律儀な母もその時同じように心配し、
『 日曜日に主人がミサに行くことを禁止しましたらどうしましょう 』
  と私の学校のシスターに聞いていた。するとそのシスターは
  ためらうことなく、答えていらしたのを、
  私は今でもありありと覚えている。

『 たとえ、一生に一度ももう教会にいらっしゃれなくても、
  そんなことを少しも心配なさることはないんですのよ。
  それよりもご主人さまのお望みになるようになさいませ 』 」
                       (p292~293 単行本)

この例を語ったあとに、曽野さんはこう書くのでした。

「 受け身の美学というものは、もの心ついて以来、
  私の心の中心にある。・・・・・・・

  私は自分がそのように感じることを、
  自分の生理的な特徴から出たものであって、
  キリスト教とは別のもののように長いこと思っていたが、
  実はむしろ偶然に全くキリスト的なものであった。

  どちらが先なのか分からないが、
  私は自分の信仰と自分の美学が対立しなかったことに、
  恋愛が成就したような嬉しさを感じるのである。   」(p294)


うん。こんなことは、ほんの一回読んだからといって、
分る筈もないのですが、それでも、こういう風に考えるのか?
ということは読み取れました。
だからって、自分がどうするわけでもないのですが、
それにしても、信仰と美学というのは何だか貴重なテーマ
なのだと、思うことしきりです。

はい。これで『心に迫るパウロの言葉』の初読感想はおわり。

ちょうど、4月22日に、公民館の推進委員の方が見えまして、
年一回の講座日時を7月23日(水曜日)午前中10時から12時までと
とりあえず決定。今回は講義ぽい座学となります。
場所は町のコミセンの3階とそこも決定。
題は変わりばえしませんが『 安房の関東大震災 』です。

もう一度、昨年のブログに記してた文の読み直しからはじめます。
正確に記録から再現するために、資料冊子は厚くなりそうです。
公民館職員の方は、そんなに資料費用が出せないようで、
ここはひとつ、資料冊子を有料にして参加者に購入してもらおう。
そんなことを思い描いております。まずは、
買ってもよいと思えるような、買いたくなる資料冊子をつくる方が先決。
ということを思って、講座当日に、言い忘れがないようにと、
いまから資料記録の再読です。



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