和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

児童漫画の読者たち。

2023-07-14 | 短文紹介
藤子不二雄著「二人で少年漫画ばかり描いてきた 戦後児童漫画私史」
 ( 毎日新聞社・1977年 )を古本で購入。

いろいろな漫画家が登場しております。
パラパラめくっていると、こんな箇所がありました。

「 はじめは漫画への激しい意欲と情熱を燃やして描いたものが、
  次第に職業的熟練で処理していくようになる。

  大人漫画はいざしらず、児童漫画でこうなったら、
  その漫画家の生命はもう終りつつあるといっていい。

  少年読者は実に敏感に、作品を通して、その作者の
  エネルギーの減退をかぎとるからだ。

  現代の若者やこどもたちはシラケの世代だといわれる。
  たしかに彼等の行動や発言からはそれを感じさせる。

  だが、少なくとも児童漫画の読者たちは、
  漫画にシラケを求めてはいない。

  彼等が漫画に期待するのはホットな連帯感なのだ。
  まわりがシラケの環境であればあるほど、
  漫画の世界だけには熱い感情のたかぶりを求めるのだ。 」(p169)

これは、石ノ森章太郎を語った箇所にありました。
ついでに、石森章太郎はどう紹介されていたかも引用しときます。

「なんせ、つい最近まで、『趣味は?』と聞かれると、
『 漫画を描くこと 』と平然と答えた男(石森)だ。
 本業が『漫画を描くこと』で、
 趣味も『漫画を描くこと』。これはツヨイワ!
 漫画を描くことが面白くて、楽しくてしょうがないのである。
 ・・・・オトロシー。 」(p169)


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