和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

よーくきいてごらん。

2023-05-01 | 短文紹介
安野光雅・藤原正彦対談「世にも美しい日本語入門」 

( ちくまプリマ―新書・2006年 )

この新書の最後に、引用作品一覧が載っていました。
安野光雅関連では

芥川也寸志編纂、安野光雅画「歌の絵本—日本の唱歌より」講談社1977年
安野光雅著「大志の歌」童話屋2005年
安野光雅著「絵本歌の旅」講談社2005年

なんて絵本が並んでおりました。
唱歌を、絵で表現するっていうのが何だか気になるので
とりあえずは、一番最初の本を注文しておきました。

さて、この新書のなかに

安野】 唱歌は学校で習い、童謡はラジオなどから流れてくる。
    でも、私が子どもの頃は、ラジオはたくさんありませんでした。

   ・・・この二つ(唱歌と童謡)は、うがった見方をすると、
   経済問題が背景にあったんじゃないかと思います。

  文部省唱歌は学校で習うものですから、それが広く歌われたところで、
  誰も儲かるものはいません。あれほど広く歌われても
  印税問題はありませんし、作者不詳の世界なのです。

  しかし童謡は、レコードとか、作詞者の印税、歌手の印税など、
  いろいろな商業的な問題がありますので、いきおい流行(はや)
  らせる手だてということも考えたのではないでしょうか。  (p96)


うん。この新書の第五章は、全部引用しておきたくなるのですが、
こらえて(笑)。あと一か所引用しておくことに。

    ・・・・安野先生は唱歌の本を前にも作られていましたが。

安野】 芥川也寸志(やすし)さんと編集した
   『 歌の絵本ーー日本の唱歌より』がそれです。

    芥川さんは懐かしいですね。あの人は思ったより進歩的で、
   『藤村(とうそん)の『朝』なんかいいじゃない』と言うと、
   『あれは国民歌謡の手あかがついているから』と言うので敬遠しました。

   また、『 あれ松虫がないている 』と歌う
   『 虫の声 』が好きだと言っていました。

  むかし長谷川一夫が大石良雄に扮したNHKのドラマ
  『赤穂浪士』のテーマ曲を彼が作曲しました。

  『 よーくきいてごらん、〈月の砂漠〉の変奏曲の部分があるから 』
   というので聞いてみると、なーるほど
  〈 月の砂漠 〉のメロディが感じられるところがありました。

藤原】 先生のあの本はまた絵がいいです。

安野】 ありがとうございます。やはり唱歌は、
    題材としてはいいけれど、絵を描くには意外と問題があるのです。

    絵と音楽は違うものなので、歌詞の内容を絵解きしても始まらないし、
    もともとできない相談だと思った方がいいんです。・・・
                        ( p99~100 )


はい。というわけで、『 歌の絵本ーー日本の唱歌より 』を
古本でさっそく注文しちゃいました(笑)。



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