和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

夏休みの宿題。

2024-09-05 | 詩歌
安野光雅・藤原正彦対談「世にも美しい日本語入門」(ちくまプリマー新書)
古本で購入したこの新書をパラパラとひらいています。

う~ん。「夏休みの宿題」という言葉がある。
そこを引用。

 
安野】 「即興詩人」を夏休みの宿題にするなんて、すごいですね。
   もしそれを読破できたら、もう大変な収穫ですよ。

   池田弥三郎さんがどこかの女子大に行かれたおり、
   『 入学試験は「即興詩人」の中から出す 』
   と言って話題になったことがあります。
     ・・・・・・・
   山田風太郎さんもこの本を
   『 無人島へ持って行く一冊の本 』と書かれていました。
   それを読んで、嬉しくなって
   『 私も無人島に持って行く本だと思っていたので
     嬉しかったです。返事はいりません。  』
   と、書いて葉書を出しました。
   山田さんはその葉書を捨てないでいてくださって、
   後の回顧展が開かれた時、私の葉書が陳列されていました。
                       (p24)

  う~ん。森鴎外の「即興詩人」は、読んだことがないのでした。
  読んだことがない本が、夏休みの宿題だったり、入学試験問題だったり、
  さらには、無人島に持ってゆく一冊だったりと、はたしてそれが、
  どのように繋がるのかと、未読の私にはムニャムニャ感を覚えます。

そう思っていると、この新書の唱歌の箇所には、こうあるのでした。


藤原】  ・・・そうですね。文語体は入門としていいですね。
    唱歌とか童謡には文語体が山ほどあります。
    いきなり森鴎外ではなく。
    まず唱歌と童謡でならして。

安野】 『われは海の子』という意味は、口語では言えないですね。
    舞台に上がったような気持ちで、高揚した気分になれば言える。

藤原】 童謡とか唱歌を失ったせいか、最近の子どもは歌を歌わない。
   われわれの子どもの頃は、学校の行き帰りに歌を歌ったりしましたが、
   いまでは道を歩く子ども達が誰一人歌っていません。

   ・・・・・
   明治から大正、昭和の初めにかけて、モラエスというポルトガルの
   作家が徳島に住んでいました。
   彼は日本人は歌ばかり歌っているというんですね。
   大工はトンカチを叩きながら歌う。
   お母さんは洗濯をしながら歌う。
   行商人は歌を歌いながらやってくる。
   子ども達は学校の行き帰り、歌を歌っている。
   こんな歌ばかり歌っている国民はいないとびっくりしている。

   それが今では、街から歌声が消えてしまいました。・・・・
   日本人には無類の歌好きという遺伝子があるから、
   世界語となったカラオケを発明したのでしょう。 (~p91)


はい。この新書。身近に置いてさっそくパラパラひらいてみます。
すっかり忘れてた、夏休みの宿題帳をひらく子供のような気持で。
コメント (3)
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