和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

キノコ取リニ行キマシタカ。

2024-09-07 | 前書・後書。
安野光雅・藤原正彦著「世にも美しい日本語入門」(ちくまプリマ―新書)。
はい。今回この新書をひらいて、そこから購入したのが
安野光雅著「絵本歌の旅」(講談社)だったのでした。
それから、もう一冊注文した本がありました。

それは、新書の初めの方にあった安野さんの言葉で注文しました。
まずは、その安野さんの言葉を引用。

「 私はむかしから、『戦没農民兵士の手紙』という岩波新書の
  一冊を大切にしています。今は手に入りません。
  図書館などにあるでしょう。文章は拙(つたな)いが、
  それだけに読んでいて涙がでます。その中に残っている。
  飯盛正さんから弟の孝志(たかし)君にあてた手紙の
  一部分をあげてみます。

 『 ブタノ子ガ タクサン生レテ居ルンダッテネ。
  ヤギハイナイデスネ。ウサギハ大キクナッタデショウネ。
  タカシハ キノコ取リニ行キマシタカ。
  今ハ雪ノシタ(キノコの名)ガ盛ンデスネ。 』   」(p21)

注文したら、今は新刊で手に入りました。
昨夜届いたのには「 2023年8月18日 第22刷発行 」とあります。

あとがきをひらくと、そのはじまりには、こうありました。

「私たちがこの手紙を集める運動をおこしたのは昭和34年の秋10月・・
   ・・・・
 仏壇の上の鴨居にかけられた、軍装姿も凛々しい兵隊の写真、
 私たちは農家のあちこちで、何度そうした写真を見かけ、
 やっぱりこの家も・・と、何度思わされ、
 生きて帰れたわが身と思いくらべ、複雑な感情を抱かされて
 来たことだったろうか。写真が私たちに何かを語りかけている。
 私たちはその訴えを聞かねばならぬ、何度そのような
 思いに駆られて来たことだったろうか。・・・・・・・ 」(p221)

 このあとがきの最後には
「   1961年6月    岩手県農村文化懇談会  」とありました。

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