和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

50年の多少。

2009-02-24 | 前書・後書。
古本で注文した上田篤著「日本人の心と建築の歴史」(鹿島出版会)が届いたので、とりあえずは、あとがきを見ました。こうあります。

「本書は、わたしの50年間の研究生活の総まとめといった性格をもっている。高校時代に反レッドパージ斗争をやり、大学四年間は学生運動に没頭し、おかげで卒業したけれど就職はなく、しかたなしに何の目的もなく大学院に進学したわたしではある。しかし昭和30年(1955)4月に『新都市』というテーマでパリでおこなわれた第三回国際建築学生会議にむけての『日本レポート』の作成のために京都市の調査を15人の学友たちとおこない、日本の都市というものがひとつのまとまりでなく本書中で『ブドウの都市』とよんでいるような『多数の住区の複合体』であることを知ったのが建築学研究の出発点であった。それを50年後のいまもあいかわらず論じているのであるから、わたしの学問もあまり進歩していない、といえる。とはいえその間におおくのことを勉強した。・・・そしてこれらにかんして出版した本は単著で21冊、主要な共著・共篇をふくめると100冊をこえる。・・こうやってならべてみると何ともいろいろなことに触手をのばしたものである。・・手当りしだい、といってもいいほどにいろいろな学問分野に立入ってきたが、しいてこれらの研究や著述における共通点をさがすと『日本人の生活空間』ということがいえそうである。やっぱりわたしの学問における関心はそのへんにあったのかな、とおもう。そこであらためて『日本人の生活空間の歴史をまとめよう』とおもって書きはじめたのが本書である。書いているうちに『こういろいろな研究分野への越境もどうやら年貢の納め時だ』とおもったが、終ってみると『やっと日本文化のことが多少わかってきたのかな』という感想をもつ今日このごろである。・・・」(2005年11月)
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