松田哲夫著「縁もたけなわ」(小学館・2014年)に
小沢信男さんが登場する場面がありました。
読んだこともない方なのですが、
何だか小沢さんの本が読みたくなり気になるのでした。
「自他ともに許す『筋金入りの怠け者』である小沢さん・・」(p157)
とあります。松田さんとの付き合いがはじまる場面では
「小沢さんとつきあうようになってわかったのだが、
この人は視点がいい、文章がいい、その上、人柄がいい、
まさに三拍子揃った作家なのだ。・・」(p156)
松田さんは、小沢さんに本を書かせたいと面とむかっていうのでした。
「ぼくは、そういう小沢さんが歯がゆくてならなかった。
彼が70歳になったころに、酔った勢いで、
『 小沢さん、もういい年なんだから、
いつまでも命があると思っちゃあダメ。
ライフワークを書くべきです 』
などと失礼なことを口走ってしまった。
小沢さんは、ニコニコ笑いながら、盃をなめていた。 」(p156~157)
こうして、「評伝『 裸の大将一代記 山下清の見た夢 』が
2000年に完成し刊行された。72歳にして、初の書き下ろしとなった。」(p157)
「82歳になった小沢さんは、さらに『東京骨灰紀行』を書き下ろす。」
はい。わたしはそのどちらも未読。
そもそも小沢信男さんというのを知らない癖して、
最後の箇所を読むと、何だか同時代性を感じます。
それは、この箇所。
「ますます元気な小沢さんを訪ねてみた。
すると、若い頃は、
『 ・・・親のスネをかじっていたので、どこかで
≪おりてる≫という感覚だった 』という。
では、老年の旺盛な執筆の理由はと聞くと、
『 60代後半に出会ったワープロ(パソコン)のおかげ。
原稿用紙に向かうプレッシャーがないし、いくらでも
書き直せるので、書くのが楽になった 』という。・・ 」(p158)
お歳はだいぶ違うのですが、そうそう
『 原稿用紙に向かうプレッシャー 』という感じを、
このところ、学校以来ですが久しく忘れておりました。
ということで、松田さん「縁もたけなわ」をひらけば、
いろいろと本の紹介にもなっていて、選べるのですが、
ここは一番、『裸の大将一代記』を読むことにします。
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