和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

歌集『本所両国』

2024-01-24 | 詩歌
鷲尾賢也著「新版編集とはどのような仕事なのか」の
最後の著者紹介箇所をひらくと、
「 1944年、東京の下町に生まれる。・・・・」
とあって最後の方に
「 また編集者の顔とは別に、小高賢の名で歌人としても活躍。
  歌集『本所両国』で第5回若山牧水賞受賞・・・・
  2014年2月、脳出血により死去。 」


はい。この歌集の題名『本所両国』に惹かれまして、
以前に古本で買ってありました。それを、本棚からとりだす。
歌集のあとがきに、こうありました。

「歌集名の『本所両国』は、芥川龍之介のタイトルから借りた。
 周知のように死ぬ直前、といっても私よりずっとずっと若い
 35歳のとき、自分の育った地域を巡った印象深いエッセイである。
 ・・・・   」(p197)

パラパラと歌集をひらいていたら、
関東大震災と東京大空襲という言葉がでてくる。
歌の前書きに

「 ——関東大震災を母は被服廠で、東京大空襲を父は墨田川で助かった 」

この言葉のあとの歌4首を引用。

  焼夷弾に追われたりけん大川に父の3月10日の夜空

  30歳代火の粉まみれの身を沈め川に一夜をすごしたる父

  一度だけしかばね浮かぶ隅田川を酒にまぎれて父はもらしぬ

  大川端百本杭はきれぎれに亡父の記憶に添いかがやけり


はい。せっかくひらいたのですから、最後は、次のページをひらいて一首引用。

  
   1月1日一生懸命リハビリの老いに出会いぬ河岸の道

  
        ( p160∼163 小高賢歌集『本所両国』雁書館・2000年 )



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