鷲尾賢也著「新版編集とはどのような仕事なのか」の
最後の著者紹介箇所をひらくと、
「 1944年、東京の下町に生まれる。・・・・」
とあって最後の方に
「 また編集者の顔とは別に、小高賢の名で歌人としても活躍。
歌集『本所両国』で第5回若山牧水賞受賞・・・・
2014年2月、脳出血により死去。 」
はい。この歌集の題名『本所両国』に惹かれまして、
以前に古本で買ってありました。それを、本棚からとりだす。
歌集のあとがきに、こうありました。
「歌集名の『本所両国』は、芥川龍之介のタイトルから借りた。
周知のように死ぬ直前、といっても私よりずっとずっと若い
35歳のとき、自分の育った地域を巡った印象深いエッセイである。
・・・・ 」(p197)
パラパラと歌集をひらいていたら、
関東大震災と東京大空襲という言葉がでてくる。
歌の前書きに
「 ——関東大震災を母は被服廠で、東京大空襲を父は墨田川で助かった 」
この言葉のあとの歌4首を引用。
焼夷弾に追われたりけん大川に父の3月10日の夜空
30歳代火の粉まみれの身を沈め川に一夜をすごしたる父
一度だけしかばね浮かぶ隅田川を酒にまぎれて父はもらしぬ
大川端百本杭はきれぎれに亡父の記憶に添いかがやけり
はい。せっかくひらいたのですから、最後は、次のページをひらいて一首引用。
1月1日一生懸命リハビリの老いに出会いぬ河岸の道
( p160∼163 小高賢歌集『本所両国』雁書館・2000年 )
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