和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

特に男の方。

2012-05-04 | 短文紹介
読売新聞の古新聞をもらってくる。
うん、夕刊があるのが、ありがたい。その文化欄の楽しみ。
というか、普段は夕刊と縁がない(笑)。
4月9日の「生老病死の旅路」は古井由吉氏が登場しております。
古井由吉氏は1937年東京生れ。
ちなみに、私は小説を読んでおりません。

そこから、すこし引用。

「まず7歳のとき、東京と岐阜で二度、空襲を体験しました。子供というのはもっぱら受け身です。・・・だから、空襲という死の脅威がそのまま内側に入ってしまった。」

あと病気のお話になったりします。
そのつぎにこうあります。

「こんな少年時代だったから、その後平和になったけど、これは間違いじゃないかってずっと思ってきましたね。・・・だから、今度のような震災が起こると、実相が現れただけのような気がします。・・・」

最後も引用しておかなければ。

「今は年をとるのが難しい時代です。特に男の方。昔の年寄りのように責任感とか統率を委ねられていない。だから、見た目は若いんだけど気持が老け込みやすいんですよね。長い平和と豊かさの中で、老も病も死も考えずにいられる世の中を作ってきちゃったから、老病死が身に着かない。この国の歴史上、これほど平和が続き、豊かだった時代はない。けれど、災害が多い国で先祖はどういう心持ちで生きてきたのかを日本人は忘れてしまった。」

うん。そのあとも引用しましょう。
せっかくの古新聞です。

「空襲も震災も、人生はいつ破滅が起こるか分からない。僕は若い頃から老病死に苦しめられました。だから、こうして生きている方が自然じゃないような感じもします。だけど、生命力も死の恐怖の中にあってこそじゃないかしら。人は、そんな中でもどれだけ楽天的になれるか、前に進めるかということなんでしょう。」

あと、4月24日の高橋秀実さんの「受け身のマナー」も、よかったなあ。
と、古新聞の楽しみ。

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