キーケース

父のケアハウスに行く前にキーケースを買った。

このところ持ち歩かなくちゃいけない鍵がふえたのでキーケースにしたほうが持ち運びに便利なように思えたのよね。

キーケースって、持つの初めて。

鍵は大切なものなのでキーケースも奮発してお財布と同じロエベにしようかな、と表参道のロエベに行くつもりにしていた。

でもまず渋谷で降りて一般的なキーケースも見ていこうと思い東急をブラッとしたら、このキーケースを見つけた。

オレンジの色合いといい、型押しの革の質感といい、お財布とおそろいみたいじゃないのよ。

しかも値段はたぶんロエベの４～５分の１。これで充分だ。これにした。




それから父に会いに行った。

父の部屋はけっこう広くて１４畳くらいある。入所してからタンスとテレビボードとテレビとＣＤプレイヤー、ソファー、テーブルを買った。

今日行ったらこの前買ったこげ茶のソファーとテーブルが届いていた。うん、座ったり立ったりがしやすくて座り心地もよく、なかなか良いソファーだ。だんだん居心地のよい部屋になってきたな。

持って行ったエンヤのＣＤを流しながら１時間くらい父と話した。

父は今日もおだやかで落ち着いていていろんな話ができたが途中で「いったいいつまでここに拘束されるんじゃ？」と何度もくり返し聞いてきた。

そのたびに「うん、朝もちゃんと起きて夜はよく眠れているし、ご飯も３食きちんと食べてだんだん規則正しい生活になってきているから、もうしばらくじゃないかな。でもいつなのかは私じゃなくて下のクリニックの先生が決めるんだよ」と私もくり返し答えた。

すると父は「そうか」とそのたびにホッとする。

ホントはこれは正しくない答えなんだけどね。

父はすべてを忘れてしまうので、その場でホントのことを言ってガッカリさせるより、嘘も方便で安心させるほうが父の精神にはいいはずと信じたい。

今日は雨が降って外に連れ出せなかったけれど、これからは父といっしょにその辺をブラブラ散歩しよう。