VIVIEN住生活総研

住生活ジャーナリストVivienこと藤井繁子が、公私を交えて住まいや暮らしの情報をお届けします!

日本の新設住宅着工戸数を推測

2006年02月23日 | 住宅業界
  (積水化学工業・住宅カンパニーが顧客に配布している、「CrastinaLife」に記事掲載)


写真の冊子で「住宅建築者がその会社と契約した理由」の1999年/2004年比較を解説した。
        ※資料:「注文住宅建築者の動向調査」(リクルート社月刊HOUSING調べ)
私も改めて驚いたのだが、建築者の年収が‘99年853万円→‘04年759.6万円と10%以上下がっており
ユーザーの若年齢化と低年収化が、土地・建物価格のデフレとの相乗効果で表れている。

結果近年は、住宅会社の選択も“予算・値引き”のような金銭的理由が上位に表れ
一方99年は、“耐震・断熱・耐久性”など性能に関するものが上位であった。

国として良質なストックを形成する為の施策が展開される中で、
この“若くても・予算が少なくても”家を建てられる環境を、手放しで喜べない気持ちになる・・・


ところで、先日トステム財団主催の「性能表示制度」に関する勉強会で
松村東大大学院助教授のレクチャーを聞いて、同様に2005年の数値を用いて今後の着工戸数を推測してみた。

【人口流入による住宅景気が良い米国を比較対照に・・・楽観値で】
             @人口千人当たりの年間新設住宅戸数  

■日本; 着工123.6万戸/人口1.277億人=@9.7戸
■米国; 着工210万戸/人口2.96億人=@7.1戸
        ⇒米国並みとすれば(諸外国は更に低い)【約90万戸】

人口に対して楽観的に当てはめると、この90万戸レベル。
多産なヒスパニック移民により人口増加中の米国と、既に人口減の日本では環境が違いすぎる・・・

別の観点からは、ストック(住宅の耐久性)から日本は建替えざるを得ない(耐震性を中心に、ライフスタイルに合わない既存住宅も多い)
住宅が多いので、単にストックの戸数が総世帯数を上回っていても
意外と建替え戸数は、経済力回復と共に維持すると思われる。

ライフスタイルの点で言えば、【街なか居住】が推進されていくので
再開発による、集合住宅の建設も発生するだろう。


なので、現在現在120万戸を超え諸外国から見れば、有り得ない住宅着工戸数であるが
近い将来、楽観的90万戸レベルでそれ以上に落ち込まず意外と長く推移するのでは無いかと推測した。





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