迦羅求羅虫

小さな寺の日々の出来事

親の心

2011-10-27 08:31:47 | 家族
報恩講の折り、家族皆が集まりました。

札幌在住の次男も、7月に生まれた長女をともなって、帰ってきました。

お嫁ちゃんと赤ちゃんは、一足先に実家の方で1週間ほど過ごし、

次男が合流して、それから私たちが迎えに行ったのです。

実家といっても、避難先の仮住まいなので、

お嫁ちゃんも心中複雑だったろうなあ。



札幌に帰る前に、みんなで写真を撮ることになりました。

まずは本堂でお参りをして、記念撮影を。

カメラは、私のビミョーなコンパクト1眼なんですけど。

2歳のつくりん初め、赤ちゃん二人。

そして大人が7人。

まあ、揃わないこと 

何とかチャチャッと撮った後、予約していた写真館へ。

そこでもてんやわんやの大騒ぎがあったことは、言うまでもありません。



ところで、写真を撮るにあたり、赤ちゃんにうぶ着を掛けてあげました。

しばらく前に、確か、子どもたちが生まれたときに、作ってもらった着物があったはず、

と、あちこち探していたところ、

まだ処分しきれずにそのままになっていた、母の着物の間から、

古いたとう紙に包まれた、見たことも無いうぶ着が出てきました。



黒羽二重の五ツ紋。

しつけ糸もそのままの立派な着物でした。

柄ゆきはいかにもな昔のもの。

はて、これはいったい誰の?

その時、思い出したのです。

生後ひと月に満たず夭逝した私の弟のことを。

寺の跡継ぎとして生まれた男子を喜び、母の実家の、つまりは私の祖父祖母が

贈ってくれたものだったのでしょう。

弟が亡くなった後は、娘が三人。

都合四姉妹のわが家でした。



30年近くたって、長男が生まれた時、

なぜこれを出してくれなかったのかなあと、思いましたが、

あのときは、早々に夫の実家が仕立てて用意してくれていたんだった。



忘れていたのか、言いそびれたのか、見せたくなかったのか、

弟の着物は、母の手元で、ずっと眠ったままで、

でも今、袖を通されるのを待っていたように、

姿を現しました。

母の心中を察することはできませんが、

男子を産む、寺の跡継ぎを産む、っていうことが、

女性にとって、けっこう重かった時代の話ですね。



これからの時代、今の社会状況の中、大震災、原発事故を経験した中で、

寺はどうなっていくのだろう。

ただ次に譲っていくだけでは済まない、

そのことは、はっきりしています。


柔らかな絹の手触り、それはとても温かくて、

切ない親の愛を感じます。










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2 コメント

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Unknown (オッチャン(山猫))
2011-10-31 20:27:37
いろいろなことが想像できて…
しかし、勝手に憶測してはいけない領域のように思いました。

赤ちゃん、とても可愛いです。
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オッチャンさま (坊守)
2011-11-01 00:41:51
有難うございます。
某所は開店休業中です。
たぶん、いずれ閉めます(T_T)

こちらも、見守ってて下さいませ。
有難うございました。<(_ _)>
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