跳箱

跳び箱でも飛箱でも飛び箱でもとびばこでもいいけどそこはそれ跳箱なんです。体育日和のお供にどうぞ。

老いたネグポン迷走す。

2006-12-07 17:43:54 | 収集品
昨年5月から時たまぽつぽつと記事が流れてくるネグポンことニコラス・ネグロポンテ教授の100ドルPCプロジェクトについて最新の動向が伝わってきたのでフォローしとこう。

CNETによると今、教授は100ドルPCを貧困国(跳箱は国連統計に準拠して、教授が導入を図ろうと考えている国々は中進国に分類しますが)に導入するための財源を先進国に負担してもらおうと動いている模様。要するにひも付きじゃないODAを今すぐ実施してほしい、ということなのだろうけど、それはかなり難しいだろうと(嘆息交じりに)思う。実兄であるジョン・ネグロポンテに知恵を貸してもらっていないのだろうか?

さて、ソフトウェアコストを削れば100ドルPCは実現可能なのではないかと非常に楽観的な予想の元に同プロジェクトがぶち上げられた際、跳箱はコスト積算がザル過ぎると感じたものですが、その後、やっぱり250ドルくらいかかりそう、と話は後退した。その後、コストは漸進的に削減していくと現実的なところに落ち着きだしたけど、相変わらず、財源について根拠が無かった。(生産手法、生産場所についてもね)どうも機材を受け取る側の国に負担してもらおうと考えていたらしい。

で、今回の報道ではコストを先進国に負担してもらおう、となった模様だが、自分たちが信じる自分たちの教育観(と製品開発計画)を実現するために他者に負担を求める、という独善的なアプローチで、100億ドル単位のカネを引き出そうとしても実現はほとんど絶望的なまでに困難でしょう。

導入対象についても2006年4月の段階では、

インド、中国、ブラジル、アルゼンチン、タイ、エジプト、ナイジェリアの各国

に導入したいと言っていたが、今回の記事では、

メキシコ、パキスタン、フィリピン、そして中米8カ国のグループと交渉中

と中米以外は面子が入れ替わっています。教授の話を断ったインドの指摘は非常にリーズナブルで、

同プロジェクトを批判するインドの教育長官などは、100ドルあったらコンピュータハードウェアより従来からある教材に投資した方が良い

と発言したとのこと。跳箱も同感です。この批判に対する教授の反論は、

栄養失調だ、飲料水がない、病気だという子どもになぜノートPCを与えるのだろうか?ノートPCを教育という言葉で置き換えて考えてみると良い。そうすれば、2度とそのような質問はしないだろう」

と、トンチンカンなことこの上ない。上述の各国に貧困がまったく無いとは言いません(つうか先進国にだって貧困はある)が、一人当たり国民所得500ドル級の最貧国ならいざ知らず、8000ドル級の中進国に対して導入を薦めている教授の口から栄養失調~などという発言が出てくるとは...。

老いたネグポンの独善が悪臭を放つプロジェクトと評しておきます。

P.S.
蛇足ながら断っておくと跳箱としては教授の思いは崇高とは思うが、教授のアプローチは現実的では無いと考えているんであって貧困国に教育は必要ないと考えているわけではありません。

最新の画像もっと見る