乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 下』二ウ 三オ(浮気の蒲焼 下)稀書複製会 20

2019年11月04日 | 山東京傳
 

 

 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 下』二ウ 三オ(浮気の蒲焼 下)稀書複製会 20

 
 二ウ
 うきなハ
 たとへ嘘
 しんぢう二 
 でも
 くわいぶん
 わるいと
 とんだふしやうちなりしが
 此あんじをしゆびよくつとめたあと
 でハすいたおとこと沿わせてやろうと
 ゆらのすけがいふやうなせりふにて
 よふ/\とくしんさせ此あききやうげんにハ
 ゑん二郎がむ利足(ママ)にて金もとをするやくそくにて
 ざもとをたのミさくら田にいゝつけて此ことを
 じやうるりにつくらせたちかたハ門の介と
 ろかうにてぶたいでさせるつもりはたき
 そうなしばゐなり、もとよリすなをに
 身うけしてハいろおとこでないと
 かけ
 おち
  の
 ぶん
 にて
 れん
 じ
 を
 ていし
 て
 三オ
 はし
 ごを
 かけ
 二かい
 から
 身うけ
 する
 内しやう
 でハ
 どふで
 身うけ
 なされた
 女郎ゆへ
 おこゝろ
 まかせて
 なさるが
 いゝが
 れんじの
 つくろ
 い代ハ
 二百両で
 まけて
 あけませふ
 とよくしんをぞ申ける


        わかいもの共ハ
        御しうぎを
        ちやくぶくして
        にげたあとで
        ハう/″\
         いゝふらせ
         とのとの
         いゝつけ也


 二ウ
      二かいからめぐす
            りと
             ハ
      きいたが
          身うけ
        とハこれが
       はじめてじや        


 三オ
      おあぶ
     なふご
    さり
      ます
    御しづかに
   おにげ
     なさいませ


  おいらん
   ごきげん
     よふ
    おかけおち
     なさ
      れまし




 門の介 =市川門之助
  (初代) 1691-1729 江戸時代中期の歌舞伎役者。     (日本人名大辞典)
     元禄(げんろく)4年生まれ。
     2代市川団十郎の門人。
     市川長之助,市川弁次郎をへて門之助を名のる。
     江戸森田座,中村座に出演,若衆方として名を知られた。
     享保(きょうほう)14年1月25日死去。39歳。俳名は新車。)
 (二代目)1743-1794 江戸時代中期-後期の歌舞伎役者。  (日本人名大辞典)
     寛保(かんぽう)3年生まれ。都八重太夫の子。
     大坂で修業。
     宝暦12年江戸で初代門之助家の養子となり,4代市川団十郎に入門。
     明和7年2代門之助を襲名。
     若衆方から立役(たちやく)に転じ,安永のころ若手四天王のひとりといわれた。
     寛政6年10月19日死去。52歳。江戸出身。
     初名は滝中鶴蔵。前名は市川弁蔵。俳名は新車。屋号は滝野屋。

 ろかう =路考(ろこう)
      歌舞伎俳優瀬川菊之丞の代々の俳名。
 瀬川菊之丞=歌舞伎俳優。屋号、浜村屋。俳名、路考。   (大辞泉引用)
      (初世)[1693~1749]初め京坂、のち江戸でも活躍した女方の名人。初世芳沢あやめとともに女方芸の基礎を築いた。浜村屋路考。
      (2世)[1741~1773]初世の養子。宝暦・明和(1751~1772)ごろ、江戸で若女方として人気を博した。王子路考。
      (3世)[1751~1810]2世の養子。天明・寛政(1781~1801)ごろ、江戸で活躍した名女方。仙女路考。
      (5世)[1802~1832]3世の孫。文化・文政(1804~1830)ごろ、江戸で女方として活躍。多門路考。
      (6世)[1907~1976]瀬川久次郎の養子となり瀬川家を再興。前進座に属し、女方・二枚目から実悪・老け役まで広い芸域をこなした。
 瀬川菊之丞=歌舞伎俳優。屋号は浜村屋。俳名は路考。   (世界大百科事典 )
      (1)初世(1693?‐1749∥元禄6?‐寛延2) 幼名浜村屋吉次,前名瀬川吉次。1712年(正徳2)瀬川菊之丞を名のり初舞台。
       28年(享保13)2月京の市山座《けいせい満蔵鑑(まくらかがみ)》の《無間(むけん)の鐘》で大当りをとり,30年初めて江戸へ下った。
       44年(延享1)に極上上吉に位付され三都随一の女方と立てられた。
       当り役は《石橋(しやつきよう)》《道成寺》《女鳴神》など。)

 れんじ =櫺子(れんじ)   (『黄表紙 洒落本』日本古典文学大系 頭注引用)
      二階にある細い木の格子

 御しうぎをちやくぶくして =ご祝儀を着服して 

 ハう/″\ =方々(ほうぼう)
           

 
                                                      

 (読み間違いはお許しください。)

 

   
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』(浮気の蒲焼 上)稀書複製会   1

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』一オ(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 2 

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』一ウ(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 3 

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』二オ(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 4   

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』二ウ(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 5

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』三オ(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 6
 
 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』三ウ(+4オ)(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 7

 
  山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』四オ(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 8
 
 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』四ウ(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 9

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』五オ(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 10

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』五ウ(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 11

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 中』一オ(浮気の蒲焼 中)稀書複製会 12

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 中』一ウ、二オ(浮気の蒲焼 中)稀書複製会 13

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 中』二ウ、三オ(浮気の蒲焼 中)稀書複製会 14

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 中』三ウ、四オ(浮気の蒲焼 中)稀書複製会 15

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 中』四ウ、五オ(浮気の蒲焼 中)稀書複製会 16

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 中』五ウ(浮気の蒲焼 中)稀書複製会 17

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 下』一オ(浮気の蒲焼 下)稀書複製会 18

 
  山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 下』一ウ 二オ(浮気の蒲焼 下)稀書複製会 19

 
山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 下』二ウ 三オ(浮気の蒲焼 下)稀書複製会 20




 ----------------- ----------------- ----------------- ----------------- 
 ----------------- ----------------- ----------------- -----------------

 上  

 

  

  

  

  

  


 中

 

 

 

 

 

 

 下

 

 

 

 

 

 

 

 


 印行三百部之内
 第三七號(第37号)

 會製複書稀(稀書複製会)          
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 下』一ウ 二オ(浮気の蒲焼 下)稀書複製会 19

2019年11月04日 | 山東京傳
 

 

 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 下』一ウ 二オ(浮気の蒲焼 下)稀書複製会 19

 
 一ウ

 ゑん二郎いよいよのりがきて
 かれこれとするうち七十五日の
 日ぎりがきれうらかたゟハ
 かんどうをゆるさんと
 まい日のさいそく
 なれども
 いまだうわきを
 したりねバ
 しんるい中の
 とりなしにて
 廿日の日のへ
 をねがひ
 どふして
 もしんぢう
 ふどうり
 きなものハ
 あるまいと
 てまへハいのちも
 すてるき
 なれども
 それでハうきなか
 ふしやうちゆへ
 うそしんぢうの
 つもりにて
 さきへきのすけと

 二オ
 しあんを
 ゆつておき
 なむあミ
 だぶつと
 いふをあいづニ
 とめさせる
 ちうもんにて
 まづうきなを
 千五百両にて
 身うけてをし
 しんぢうの道ぐ
 だてをかいあつめる
 ついの小そでの
 もよふにハかたにかなてこ
 すそにハいかりしちに
 おゐてもん下がれの
 ミといふ古かの 
 こゝろを
 まなばれたり
 これも中やと
 やまざきの
 もうけ
 ものなり


 一ウ
      ふたりが
      じせいの
      ほつくハ
       すりものに
          して
       中の丁へ
        くば
         らせる
         花らんが
 二オ
         かいたはすのゑを
            大ぼうしよへから

                  ずり
                  とハ
                  いゝ
                 おぼし
                  めし
                  つき
                   だ
        


 古かもこゝろ =古歌の心
  謡曲『邯 鄲(かんたん)』
   「不老長寿の前には日月遅しといふ心を学ばれたり」などの文勢を真似たり。(『黄表紙 洒落本』日本古典文学大系 頭注引用)
  謡曲『邯 鄲(かんたん)』
  【分類】四番目物 (雑能)
  【作者】不詳
  【主人公】シテ:盧生
 中国、蜀の国の盧生という青年が、人生に迷いを感じ、楚の国羊飛山に住む賢者に人生とは何か、問うてみようと旅に出ます。
 途中、邯鄲の里へ着き、一見の宿屋に泊まります。
 その宿の女主人は、かつて仙人の法を使う人を泊めたときにそのお礼にと不思議な枕をもらいました。その枕を使って寝ると、夢によって悟りを開くというのです。女主人は盧生の素性や旅の目的などを聞くと、食事の用意が出来る間、しばしその枕を試してみるように勧めます。
 そこで盧生も、その枕を借りて一眠りすることにします。
 うとうとすると起こす人がいます。楚の国の帝が位を盧生に譲るという勅使です。
 盧生は勅使に促されて、天にも昇る心地で輿に乗って宮殿に赴き、王位につきます。
 それから50年酒宴は続き、盧生も歓喜の舞をまい、栄華を極めた毎日を送ります。
 と、その時、宿の女主人が粟の飯が炊けたと起こしに来ます。
 目を覚ました盧生は、全ては夢であったのかと、しばらくは呆然としますが、人生何事も一炊の夢と悟り、不思議な枕に感謝しながら、自分の故郷である蜀の国へと帰っていくのでした。
 (http://www5.plala.or.jp/obara123/u1201kantan.htm)

 中やと =中宿(なかやど→なかじゅく)   
      1602年(慶長7年):徳川家康の命により中山道が整備され、伝馬制度により板橋宿が中山道の江戸日本橋側より最初の宿場として設置される。
      板橋区の南東部に位置する。
      狭小な町域を持ち、北端で石神井川に接する。
      北で石神井川を隔てて本町および稲荷台、東で加賀、南で板橋、西で氷川町と隣接する。
      西辺を国道17号(中山道)および首都高速5号池袋線が南北に通じる。
      南端に東京都道317号環状六号線(山手通り)の終点がある。町域は旧街道沿いを中心に商業地域となっている。 (ウィキペディア引用)

 ほつく =発句

 花らんがかいたはすのゑを大ぼうしよへからずりとハ
 いゝおぼしめしつきだ =花魁が描いたはずの絵を大奉書へ空摺りとは、いい思し召し付きだ
        大奉書 =大判の奉書紙。縦約40センチ、横約55センチ。 
        空摺り =からずり
             版画技法の一種。
             凸版、凹版にかかわらず、版面にインクをつけずプレスなどで圧力を加え、紙に凹凸を刷り出す方法。
             またはそのようにして刷ったもののことをいう。
             エンボッシュという、いわゆる空押しも空刷りと同義語。
             浮世絵版画では伝統的に空摺りと書き、ばれんで圧力を加えて衣服のひだや文様、波文や鳥の羽毛などを無色の凹線であらわす
             画面をより精緻に表現する手法として、錦絵の草創期に鈴木春信によって盛んに用いられ、その後も摺物や絵本など小画面の彩色摺に用いられた。
             広義には色刷を終えた画面を凹版にあて、裏面から圧力を加えることで浮彫風に画面を盛り上げるいわゆる木目込(きめこみ)技法を含む。



        空摺りは浮世絵の好きなかたには馴染みの言葉だと思う。そういう私も多少ではあるが、江戸時代!の浮世へを集めている。
        昔おもしろい方に巡り合ったことがある。
        空摺りで有名な浮世絵師の一人、鈴木春信の雪の中傘をさす二人の美人画のこと。
        その紳士所蔵の明治にすられた外人向けお土産品用の品で、ごねられた。

           鈴木春信は空摺りではい。鈴木春信は○○刷りが特徴であると書物に書いてありました。だから素人は怖い(笑)、と。

        確かに雪の部分は真綿を使い質感を出しておられたが、二人美人の着物の部分は、丹後縮緬の地織りの質感を表すために、空摺りがなされている。
        私は素人だが、出身地がら、着物に触れる機会が多かった。
        一見紳士風に思えたが、知的に見えても怖い人がいるものだと感じた。
        空摺りという言葉が出てきて、ふとそのようなことを思い出した。



 文中に、        
      ふたりが
      じせいの
      ほつくハ
       すりものに
          して
       中の丁へ
        くば
         らせる   
とあるが、故勘三郎さんが演じられた『浮かれ心中』を思い浮かべた。
 彼の役どころは売れない草紙作家で、山東京傳(本書の作家)に憧れている。
 彼は、江戸時代に流行った心中にちなみ、心中の狂言を体当たりではって草紙にすれば売れると考えたのだが…
 結論として女だけ生き残り、売れない草紙作家は本当に亡くなってしまったと言った芝居であった。
 そんなこともふと思い出した。
           

 
                                                      

 (読み間違いはお許しください。)

 

   
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』(浮気の蒲焼 上)稀書複製会   1

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』一オ(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 2 

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』一ウ(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 3 

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』二オ(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 4   

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』二ウ(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 5

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』三オ(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 6
 
 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』三ウ(+4オ)(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 7

 
  山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』四オ(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 8
 
 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』四ウ(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 9

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』五オ(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 10

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』五ウ(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 11

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 中』一オ(浮気の蒲焼 中)稀書複製会 12

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 中』一ウ、二オ(浮気の蒲焼 中)稀書複製会 13

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 中』二ウ、三オ(浮気の蒲焼 中)稀書複製会 14

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 中』三ウ、四オ(浮気の蒲焼 中)稀書複製会 15

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 中』四ウ、五オ(浮気の蒲焼 中)稀書複製会 16

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 中』五ウ(浮気の蒲焼 中)稀書複製会 17

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 下』一オ(浮気の蒲焼 下)稀書複製会 18

 
  山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 下』一ウ 二オ(浮気の蒲焼 下)稀書複製会 19

 ----------------- ----------------- ----------------- ----------------- 
 ----------------- ----------------- ----------------- -----------------

 上  

 

  

  

  

  

  


 中

 

 

 

 

 

 

 下

 

 

 

 

 

 

 

 


 印行三百部之内
 第三七號(第37号)

 會製複書稀(稀書複製会)          
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画『MW-ムウ-』5,1★/5★ 手塚治虫作品 監督:岩本仁志 脚本:大石哲也、木村春夫  玉木宏 山田孝之 石橋凌 石田ゆり子 鶴見辰吾

2019年11月04日 | 映画

    映画『MW-ムウ-』5,1★/5★
    手塚治虫作品 監督:岩本仁志 脚本:大石哲也、木村春夫
    玉木宏 山田孝之 石橋凌 石田ゆり子 鶴見辰吾





 映画『MW-ムウ-』

 5,1★/5★ (満点以上)


 とにかく話の筋書きが面白い。
 1970年代頃を思わせる作品の作りで始まる本映画は、色彩が思い出色から始まる。
 作品は徐々に現代の色使いに変わる。

 学生時代に、手塚治虫氏の講演をお聞きしたことがある。
 お茶の水博士さながらのお顔立ちの手塚治虫氏は、ディズニーのキャラクターにおけるアウトラインについて語られて、日本のアニメーションに与えた影響を語られて居たような気がする。

 今回の映画を見て、非常に手塚治虫作品らしい映画に仕立て上げられた監督と脚本家のお二人に敬意を送りたい。
 私は、子供の頃、マーブルチョコを買っては鉄腕アトムのシールを集めていた。
 あまり漫画に馴染みにない私でさえ手塚治虫氏には親しみを感じている。
 そしてこの映画を通じて、昔流行ったSFの世界に広がりを見せるともいえる話の展開にワクワクした。
 手塚治虫氏はかなり昔に、すでにこのような話の展開を構成され、感心した。
 手塚治虫氏らしく大掛かりでありながらも細やかな配慮をされた実験器具などにも懐かしみを覚え、心は踊った。

 俳優さん、女優さんたちは熱演であった。
 石橋凌は良い味を出されていた。
 山田孝之さんは役柄に応じて、性格を考慮されていた。声質(艶のある美声をおとしておられた)まで変え、あくまでも影と負い目があり控えめで真面目な牧師に徹しておられた。そして牧師がヘリからムウ-を持って海に身を投げる場面で、私の琴線は切れた。それは心地のよう涙であった。

 そして、国家のあり方、ラストの展開は見逃せない。

 
 日本の誇りとも言えよう懐かしさを感じる手塚治虫作品に加えて、監督、脚本家、美術監督、撮影、音楽、大道具、照明、そして俳優陣たちが揃って初めて造ることのできる秀作だと感じる。

 よって、私はこの映画は好きです。
 
 

 

 手塚治虫の名作の中でも異彩を放つ傑作を映画化。
 16年前の事件の関係者に復讐する男を描くピカレスクロマン。
 玉木宏がダークヒーロー役に挑み、山田孝之が共演。

 制作年/2009
 制作国/日本
 内容時間/131分


 玉木宏
 山田孝之
 鶴見辰吾
 石田ゆり子
 石橋凌

 監督:岩本仁志
 脚本:大石哲也
 脚本:木村春夫
 撮影:石坂拓郎
 音楽:池頼広

 
 TV・映画の「のだめカンタービレ」シリーズなど好青年役が似合う玉木が、16年前にある島で起きた大量虐殺事件の謎に挑む主人公役に挑戦。
 その幼なじみの神父役で「指輪をはめたい」の山田が共演。手塚原作のエッセンスを強く残しながらも、アクション場面満載というハリウッド映画ばりの大作に仕上げたのは、TV界で「ナースのお仕事」「女王の教室」など、ヒット作を数多く手がけた岩本仁志監督。
 中でもタイでロケをしたカーチェイス場面は、アメリカ映画「フレンチ・コネクション」をほうふつとさせる迫力だ。  (wowow公式HPより引用)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする