乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 下』四ウ 五オ(浮気の蒲焼 下)稀書複製会 22

2019-11-05 | 山東京傳


 

   山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 下』四ウ 五オ(浮気の蒲焼 下)稀書複製会 22

 

 四ウ
 仇氣やゑん二郎 
 浮名やうきな
        きゃうがさめはだ
    道行興鮫肌
 
         ゆうべ しす
♪朝に色をして夕に死とも可なり
 とハさてもうハきなことのはぞ、それハろん
 ごのかたいもじ、これハぶんごのやわらかなはだと
 はたりのふたりしてむすびしひもをひとりして
 とくにとられぬうたがひハふしんの土手のたかミから
 とんとおちなバ名やたゝん、どこの女郎しゆかしらミ
 ひも、むすぶのかミもあちらむかさん、しよじようゆの
 やきずるめ、ぴんとひぞるも今ハはやむかしと
 なりし中の丁、そと八もんじもこふなれバ、うち七もんじニ
 たどりゆく、なミだにまぢる水ぱなに、ぬっさん
 さんそでハもたぬゆへ、下たのおびをぞしぼりける
 身にしミてたるこちかぜに、とりはだだらし、此すえだ、
 とのごのかほハうすゞミにかくたまづさとミる
 かりにたよりきかんとかくにふミのかなでかなてこ
 すそも  よふゆかりのいろも七ツやのなになかれ
 たる   すミだ川たがいにむりをいをざきの
 かねハ四ツ目や長命 寺、きミにハ

 五オ
    むねをあくるひのまた
    四ツ過のひじりめん
    ふんどし
    ながき
    はるの
    ひの
    日高
    の
    てら
    に
    あらすして
    はだかのてやい      
    いそき行
          引三重


 うしハねがいからはなを
 とふすとゑん二郎が
 わるあんじのしんぢう
 此とき世上へぱつと
 うきなたちしぶうちハの
 ゑにまで
   かいていだしけり


     おれハほんのすいきやうで
               した
     事だからぜひがないが
      そちらハさぞさむかろう
   せけんの道行ハきものをきて
    さいごのばへ行くがこつちのハ
     はだかでうちへ道行とハ
     大きなうらはらだ
     ひじりめんのふんどしが
      こゝで
       はへたも
      おかしい/\





 さてもうハきなことのはぞ =さても浮気な言の葉ぞ

 ぶんご =豊後(大分)
      豊後節の曲調の柔らかさをかけた
      当時のことわざ
     「河東上下、外記袴、半太羽織に義太股引、豊後はいかに丸裸」を次の裸に聞かせた。
 豊後節   (大辞泉)
    1 浄瑠璃の流派の一
     享保(1716~1736)の末ごろ、都太夫一中の門人、宮古路国太夫(豊後掾(ぶんごのじょう))が京都で創始。
     特に江戸で流行したが、元文4年(1739)風俗を乱すとの理由で禁止された。
    2 1およびそれから分派した常磐津(ときわず)節・富本節・清元節・新内節・薗八(そのはち)節・繁太夫(しげたゆう)節などの総称。
     豊後浄瑠璃。豊後諸流。
    3 2のうち、特に常磐津節・富本節・清元節の三派。
     豊後三派。豊後三流。
 豊後節   (大辞林)
    浄瑠璃の流派の一。1720年代の京都で、国太夫くにたゆう節と呼ばれた都国太夫半中が宮古路みやこじ豊後(後に豊後掾ぶんごのじよう)と改名したのに始まる。
    30年代に江戸に進出し、心中物を得意として大流行したが、風紀上の理由で官憲に弾圧された。
    狭義の豊後節は一代限りで絶えたがその影響は大きい。
    この門流から薗八そのはち節・繁太夫しげたゆう節・新内節・常磐津節・富本節・清元節などの諸流が派生した。
    それらをも含めて広義で豊後節(または「豊後諸流」など)ということが多い。
 豊後浄瑠璃の言及 【常磐津節】より (世界大百科事典)
    おもな保持者は8世文字太夫,清勢太夫,4世文字兵衛,政寿郎,文字登和,文字増らであり,近年は若い後継者も増えつつある。
   [特色]
    男女の心情を美声で写実的に細やかに語って成功した豊後節の良さを継承
    さらに歌舞伎所作事にあうように間拍子を正確にし,時代物(合戦,仇討にいたる経緯,変化(へんげ)の見顕し等)には重厚な節。
    世話物(廓話,口説,道行等)には情緒豊かな節を付けるようにくふうを加えた曲調。

    豊後浄瑠璃中最も中心となるべきものである。
    三味線は中棹(ちゆうざお)を用いるが,胴の棹の付け根近くの撥皮(ばちかわ)の部分を皮と撥との角度を小さくして弾く。
    しかも糸を打つように,打った後すぐにはね返すようにする弾き方は,高い音から低い音まで,重厚な感じから軽妙な感じまでを表す。
    これが語りを十分助けることになっている。

 こちかぜ =私の好きな菅原道真の歌
      「東風吹かば にほひをこせよ 梅の花、主(あるじ)なしとて春を忘るな」を
    東風=こち

 引三重 =浄瑠璃の三味線の技法

 しぶうちハ =渋うちわ
        柿の渋を塗り、強くした紙。
        江戸時代は河童としての上着にも使用された。
        今でも、京都の染色工芸ではのりおきや型染めに使用されているのではないだろうかと思う。



 
                                                      

 (読み間違いはお許しください。)

 

   
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』(浮気の蒲焼 上)稀書複製会   1

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』一オ(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 2 

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』一ウ(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 3 

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』二オ(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 4   

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』二ウ(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 5

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』三オ(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 6
 
 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』三ウ(+4オ)(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 7

 
  山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』四オ(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 8
 
 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』四ウ(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 9

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』五オ(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 10

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』五ウ(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 11

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 中』一オ(浮気の蒲焼 中)稀書複製会 12

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 中』一ウ、二オ(浮気の蒲焼 中)稀書複製会 13

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 中』二ウ、三オ(浮気の蒲焼 中)稀書複製会 14

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 中』三ウ、四オ(浮気の蒲焼 中)稀書複製会 15

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 中』四ウ、五オ(浮気の蒲焼 中)稀書複製会 16

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 中』五ウ(浮気の蒲焼 中)稀書複製会 17

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 下』一オ(浮気の蒲焼 下)稀書複製会 18

 
  山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 下』一ウ 二オ(浮気の蒲焼 下)稀書複製会 19

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 下』二ウ 三オ(浮気の蒲焼 下)稀書複製会 20

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 下』三ウ 四オ(浮気の蒲焼 下)稀書複製会 21

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 下』四ウ 五オ(浮気の蒲焼 下)稀書複製会 22




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 中

 

 

 

 

 

 

 下

 

 

 

 

 

 

 

 


 印行三百部之内
 第三七號(第37号)

 會製複書稀(稀書複製会)          
 
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山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 下』三ウ 四オ(浮気の蒲焼 下)稀書複製会  21

2019-11-05 | 山東京傳
 

 

 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 下』三ウ 四オ(浮気の蒲焼 下)稀書複製会 21

 
 三ウ
         さいごのばも
         いきなばつとした
         ところとの事にて
         三めぐりのどてと
         きめよが老けてハ
         きミが悪いから
         よいのうちの
         つもりにて
         ゑん二郎につとめ
         ちややふる宿
        たいこまつしやげい
        しやどもだい/″\
        こうのおくりの
        やふニはつま
        はおりにて
        大川ばしまで
        おくり申たゞの
        やくしの
      あたりして  
      ミな/\にわかれ 
 ゑん二郎ハ日ごろのねがい
 かるいしとこゝろうれしく
 道行をしてゆきこゝこそ
 よきさいごばとはくおきの

四オ
 わきざしをぬいてすでに
 こうよとミへ
 なむあミだぶつといふを
 あいずニいなむらのかげゟ
 くろしやぞくの
 どろぼう
 ふたりあら
    われ
     い
     て

 ふ
 た
 り
 を  
 まつ
 ぷたつに
   して
 はぎ
  とる


  わいらハ
  とふで
  しぬものだ
     から
 おいらが
  かいしやく   
     して
  やろ
   う


三ウ
    これ/\
     はやまるまい
     われ/\ハ 
     しぬための
     しんぢうでハ
     ない、こゝへ
     とめてが
      でるはづだ
     どふま
      ちがつた
         か
       しらん

         きものハミんな
        あげましやう
       からいのちハ
        おたすけ/\

四オ
         もうこれニ
         こりぬ事ハ 
          ござり
            ません


            此いで
             こんな
             おもい
             つきハ

            せないか
            /\
          

三ウ
         どうでこんなことゝ
             おもいん
                した




 だい/″\こう =太太講   (大辞林 第三版)
    太太講 =伊勢太太講
         室町時代以後、無尽のような仕組みで、交代で伊勢参りをして太太神楽だいだいかぐらを奉納する費用を積み立てた組合。
         江戸時代に盛行。伊勢講。太太講。



 此処はあまり言葉を調べる必要がないので、芝居がかったゑん二郎の行動の面白さに注目したい。

 黒装束の泥棒はといえばおかるのちとやから金を盗む『仮名手本忠臣蔵』の定九郎を思い浮かべる。
 こやから手を出し、殺したおかるの親の懐から金を抜き取り、右手でその重みを測り一言曰く、
「ごじゅぅりょぉう〜(五十両)」
 悪者だが、定九郎のこの場を待ち望んでいる観客は少なからずいらっしゃるであろう。

 本文では黒装束の泥棒は二人と書かれているので、『仮名手本忠臣蔵』の定九郎のその場とは違うが、そんなことを思い浮かべた。


 狂言心中は江戸時代には多かったのか。
 江戸時代には心中が流行り、心中に憧れる女性も多かったという。
 狂言自殺で、本当に死んでしまったら、どうしようもない。
 この草紙ではそこのところは気をつけているようだ。

 それにしてもモテない男がモテようとするこの話は面白い。
 微笑ましささえ感じるゑん二郎の書かれた顔の鼻は、京傳鼻(京伝鼻)という。


 
                                                      

 (読み間違いはお許しください。)

 

   
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』(浮気の蒲焼 上)稀書複製会   1

 
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 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』一ウ(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 3 

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』二オ(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 4   

 
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  山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』四オ(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 8
 
 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』四ウ(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 9

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』五オ(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 10

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 上』五ウ(浮気の蒲焼 上)稀書複製会 11

 
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 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 中』二ウ、三オ(浮気の蒲焼 中)稀書複製会 14

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 中』三ウ、四オ(浮気の蒲焼 中)稀書複製会 15

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 中』四ウ、五オ(浮気の蒲焼 中)稀書複製会 16

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 中』五ウ(浮気の蒲焼 中)稀書複製会 17

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 下』一オ(浮気の蒲焼 下)稀書複製会 18

 
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 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 下』二ウ 三オ(浮気の蒲焼 下)稀書複製会 20

 
 山東京傳作 ゑとむまれ『艶氣樺焼 下』三ウ 四オ(浮気の蒲焼 下)稀書複製会 21


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 印行三百部之内
 第三七號(第37号)

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