乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

『風流 妖化役者附』上 二ウ 三オ(ふうりゅう ばけものやくしゃづけ) 鱗形屋孫兵衛, [江戸 明和6(1769)]  3

2019-11-12 | 草双紙:洒落本、仮名草子、黄表紙、黒本、赤本、合巻 等
 

 『風流 妖化役者附』上 二ウ 三オ(ふうりゅう ばけものやくしゃづけ) 鱗形屋孫兵衛, [江戸 明和6(1769)]   3

 

 『風流 妖化役者附』上 二ウ

 此芝居、初日はじまりハ夜の
 八ツ時丑三ツとて、ばけものがでる
 時分のよし、申つたふる一座
 のかしらの大あたま
 後見(くわけん=こうけん)となり、とうざ
 いくと扇をひらき
 。やくわんばけて茶うり
 なり、口よりつぎかける
 。ああやおこしばけてわ が
 でにうつはこかす ●中う り
 のふしめ、酒ばけてのミくいしな
 いはやく、北の木、つい大入だ
 出街につめ
 もたし
 ぬりし
 ハらかん
 へでも
 いかう
 か

「き  つ印  そ  の 


    ばん
    づけも
     とう
      り
      た
      い
   「 ばん
     よう
     まづ
    あ心さ
    ぎやの
      あ
      か
      □
      も
      ま
      い
      れ
      さ

『風流 妖化役者附』上 三オ

     さてに口上やくハま。御さだま
    まり。ついだてのがぼミせ座
    付口上に罷出△たろうハで
    たり  ますれど これより 申
 上
 まする
 ばけも
 の芝
 居ゟ
 とりたてと
 あつて夜の
 九ツゟ御出被
 下まするさん越座
        中
 べつしてたいけいにぞんし奉りまする
 さそ 何がな御地走(ちそう)のためぢくちばけ物
 と だいして役者の名に によふ
 まし たるばけ物ニ仕内を
 致させ御三急と入まする、さた
 めて御めだるいがちに
 ごさりませうが御よう
 しやのほどねがい奉り
 ます、まずハばけものきやうげん
  はじ まり、さやうにおほし めし
             ませう



 やくわん =(湯を沸かす)ヤカン
        夜間とヤカンの掛詞

 ついだてのがぼミせ座付口上に罷出
      = ついたての顔見世座付き口上罷(まか)り出で

 たろうハで
    たり  ますれど これより 申
 上
 まする
   = 太郎は(芝居に)出たりますれど、これより申し上げまする。

    夜の
 九ツゟ御出被
 下まするさん越座
 中
  = 夜の九つ(時間)よりおんいで下されまする、さんこし座中
    さんこし座中(三越座中か  )

 江戸時代の時間   (『大江戸ものしり図鑑』)
 午前
 0時-夜九ツ(子ノ刻)
 1時-九ツ半
 2時-夜八ツ(丑ノ刻)
 3時-八ツ半
 4時-暁七ツ(寅ノ刻)
 5時-七ツ半
 6時-明け六ツ(卯ノ刻)*日の出の30分前
 7時-六ツ半
 8時-朝五ツ(辰ノ刻)
 9時-五ツ半
 10時-昼四ツ(巳ノ刻) 
 11時-四ツ半
 午後
 12時-昼九ツ(午ノ刻)
 13時-九ツ半
 14時-昼八ツ(未ノ刻)
 15時-八ツ半
 16時-夕七ツ(申ノ刻)
 17時-七ツ半
 18時-暮れ六ツ(酉ノ刻)*日没の30分前
 19時-六ツ半
 20時-宵五ツ(戌ノ刻)
 21時-五ツ半
 22時-夜四ツ(亥ノ刻)
 23時-四ツ半

 べつしてたいけいにぞんし奉りまする
      = 別して大計(或いは、大慶)に存知たてまつりまする
  別して =    (古語辞典)
       《多くはあとに打消しを伴って》 《副ノ》とりわけて。ことに。特別に。
  大計  =    (三省堂 大辞林 第三版 )
        大きな計画。遠大なはかりごと。 「国家百年の-」
  大慶  = 大いに喜ぶこと

 さそ   = さぞ

 さそ 何がな御地走(ちそう)のためぢくちばけ物
 と だいして役者の名に によふ
 まし たるばけ物ニ仕内を
 致させ御三急と入まする、
   = さぞ、何がな、ご馳走のため、熟知、化け物
     と題して、役者の何によふまじ(にあった、見合った)
     たる(の)化け物に仕打ちを致させ、御さん休と入りまする。

         さた
 めて御めだるいがちに
 ごさりませうが御よう
 しやのほどねがい奉り
 ます、まずハばけものきやうげん
  はじ まり、さやうにおほし めし
             ませう
    =定めて御めだるいがちにござりましょうが、
     ご容赦の程ねがい奉ります。
     まずは化け物狂言、始まり
     さ様に思し召しましょう。
 めだるい = 【目怠い】( 形 ) めだる・し   
        1  見ていてもどかしい感じだ。まだるい。 「そんな-・いことはしてられない」
        2 目が疲れた感じだ。  
      上の「見ていてもどかしい感じ」から考えて、芝居がつまらない様と考えられる。
      昔は芝居が長く、捨て芝居というものも織り込まれていたらしいが、この芝居が捨て芝居か否かは定かではない。

 

 (読み間違いはお許しください。)
         
 



 話の続き方
 1
 『風流 妖化役者附』上 一オ(ふうりゅう ばけものやくしゃづけ) 鱗形屋孫兵衛, [江戸 明和6(1769)]   1
    ↓

 2
 『風流 妖化役者附』上 一ウ 二オ(ふうりゅう ばけものやくしゃづけ) 鱗形屋孫兵衛, [江戸 明和6(1769)]   2
    ↓

 3
 ((今回の記録))
 『風流 妖化役者附』上 二ウ 三オ(ふうりゅう ばけものやくしゃづけ) 鱗形屋孫兵衛, [江戸 明和6(1769)]   3

    ↓

 4
 『風流 妖化役者附』上 三ウ 四オ(ふうりゅう ばけものやくしゃづけ) 鱗形屋孫兵衛, [江戸 明和6(1769)]   4 
    ↓

 5 6








 
 『風流 妖化役者附』上 一オ(ふうりゅう ばけものやくしゃづけ) 鱗形屋孫兵衛, [江戸 明和6(1769)]   1

 
 『風流 妖化役者附』上 一ウ 二オ(ふうりゅう ばけものやくしゃづけ) 鱗形屋孫兵衛, [江戸 明和6(1769)]   2

 
 『風流 妖化役者附』上 二ウ 三オ(ふうりゅう ばけものやくしゃづけ) 鱗形屋孫兵衛, [江戸 明和6(1769)]   3 

 
 『風流 妖化役者附』上 三ウ 四オ(ふうりゅう ばけものやくしゃづけ) 鱗形屋孫兵衛, [江戸 明和6(1769)]   4 


 『風流 妖化役者附. 上』(ふうりゅう ばけものやくしゃづけ)
  鱗形屋孫兵衛, [江戸 明和6(1769)]
  19cm

 黒本
 書名は題簽による 版心書名:役しや 角書付書名:風流妖化役者附
 墨書入あり
 和装


 黒本(くろほん、くろぼん)とは
 江戸時代に書かれた挿絵が描かれた本、草双紙の一種。
 子供向けの赤い表紙の赤本が発展して、青少年向きの黒い表紙の黒本になった。
 題材は、浄瑠璃、歌舞伎、英雄伝、戦記が多い。草双紙 黒本



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乱鳥徒然  絵巻物が好きになったきっかけは、尊敬する民俗学者の宮田登氏のおかげであったか…

2019-11-12 | 乱鳥徒然 Rancho's room.

 

 時間がかかるのは承知の上で、本ブログのカテゴリーの分類をしてみた。

 欲しかった書物を手に入れることができたので、思い切って整理したというわけだ。


 2006年から始めたブログだが、本日たまたま4950日目に当たる。

 今年中には五千日を迎え、新春には祝いの門出を迎えるという、誠喜ばしいブログである。


 ブログを作った当初は、半ばパン作りと雑多な記録で、毎日飽きもせで、おかずパンや菓子パンや食パンを焼いていた。

 焼いては写真を突りブログにアップしては家族に食べさせる。

 共同作業の賜物のようなブログであった。

 何年かして、パンの生地じゃ全て消去させていただいた。

 が、今でもお料理は家事の中心的イベントというくらいに好きな青遊ぶなので、毎日機嫌よく料理をこなしている。


 その頃は今よりも盛んに歌舞伎や能楽を見ていたが、芝居ファンや舞台のファンの中傷を避けて、カタカナや抜け落とし文字で題名と出演者のみ程度の記録をつけていたことが懐かしい。

 ただ、カタカナやローマ字で書いても、検索すればヒットする場合があるということを、のちになって知ることになったのだが‥‥‥。


 本ブログのカテゴリーの分類に当たって、過去を振り返り、当時のことを鮮明に思い浮かべる生地のタイトルも多くあった。

 また、その時期により、読書の好みが集中している傾向にあり、何時頃には何に関心があったかを改めて把握できた。


 読書一つを取り上げてもその変化は面白い。

 この十数年を通して、中国、イラン、民俗学、心理学、健康、経済、詩歌、和歌、昔読んだ懐かしい小説、木木高太郎、古典、歌舞伎浄瑠璃、謡曲、説経節、古文書、絵巻物、和本(陰影本含む)
と、私の読書歴を感じる。

 面白いのは民俗学関係の赤松啓介氏、彼の全集(全六巻)は全て読了したが、記録を省いていること注目したい。私も、ブログの半ば頃は、心は乙女であったのか?(笑)

 齢を重ねた今や、カテゴリーにさへ柳田國男氏と肩を並べて書いているというのに、である。


 面白いことを発見した、

 私の絵巻物が好きと言った原点は、もちろん古典や絵画が好きと言ったことを基本としているが、大きな影響を受けた本が民俗学者である、私の尊敬する宮田登氏(共著)の一冊がきっかけとなった。

『日本異界絵巻』という本だが、今回整理したカテゴリーの「絵巻物、縁起絵巻、巻物、絵解き掛け軸」分野では、一番初めに記録されていた。

 『日本異界絵巻』宮田登 小松和彦 鎌田東二 三人による共筆
 「絵巻物、縁起絵巻、巻物、絵解き掛け軸 」カテゴリー一覧
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 今年も余すところ五十日前後となった。

 毎年書いているかもしれないが、11月12月は私にとって重要な予備の期間である。

 1月から10月までのように自分の時間を目一杯楽しむと言ったスタイルを保ちつつ、新たな心地良い年を迎えるため準備と努力の怠らず準備をするという、予備とはいえ大変に忙しいやりがいのある日々を過ごすことになる。

 昨年の12月には多少無理が生じ、原付ミニバイクでこけ、今も多少の後遺症は残るが、今年は安全第一をモットーに頑張りすぎず全力で満足のいく日々を過ごそうと思う。

 
 ブログにより十数年の過去の志向や生活の一部を振り返ることができ、新たに前に進むことができよう。

 今考える、これからの人生ややりたいことを見つめる上で、大変参考になった。


 日々可被精進為遊楽也
     

 

 
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